380 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[saga] - 2012/01/06 23:29:58.11 hgKuaz5co 1/1210レスもらいます
黒子は正義のじゃっじめんと
みんな仲良し
タイトル「おむかえですの」
「もしもし、黒子? うん、少し遅くなりそうだから。傘? え、雨降ってる? んー、なんとかするわよ。じゃあね」
お姉さまに傘を届けますの
黒子は耐寒完全装備。マフラーだって装備している。
だから、もっこもこ。
このマフラーは先日寮監に借りていたものだけど、ジャッジメントの活動のご褒美だ、と言って寮監がプレゼントしてくれた。
いまでは黒子のお気に入り。
行ってまいりますの
「あれ? 黒子ちゃん、どこ行くの?」
……?
きょろきょろと辺りを見回す黒子。
周囲には誰もいない。
「こっちこっち」
テレパシーですの
「違う違う。そんなことしないから」
玄関口の視覚から姿を見せるのは、見知った姿。
食蜂さま?
「今からお出かけ?」
学園都市第五位、心理掌握こと食蜂操祈だ。
普段は学校以外、寮から出る事なんてほとんど無いのに、こんな所にいるのは珍しい。
はい、ですの
「ふーん。御坂さんは部屋かしら?」
お出かけ中、ですの
「むーっ、残念。たまには、と思ったんだけど~……代わりに付き合わない?」
お出かけですの
ふるふると首を振る黒子。
「あーん。操祈、また黒子ちゃんに振られちゃったぁ、悲し~なぁ、ぐすん☆」
ごめんなさい、ですの
深々と頭を下げる黒子に、慌てて手を振る食蜂。
「あれ、違うの、違うのよ? 私がわかってて無理言ってるだけだからね、いっつもいっつも黒子ちゃんの忙しそうなときばかりに声かけて、こっちこそごめんね?」
黒子に頭を上げさせると、それじゃあ、今度こそ、御坂さんも入れて三人でケーキでも食べましょうね、と約束して食蜂は去っていく。
その後ろ姿を見送った黒子は、マフラーを巻き直して玄関を出た。
雨が降っている。
黒子は傘を差す。
ちゃぷちゃぷと水たまりを踏みながら歩いていくと、普段は通り過ぎるコンビニから小さな影が走り出してきた。
驚く黒子は咄嗟に避けるが、小さな影はそれとは関係なく転んでしまう。
「あうっ」
そっと近づくと、小さな女の子。
金髪の、西洋人だろうか? とても可愛らしい子だ。
大丈夫?
「あうう、大体平気。にゃあ」
雨の中に走り出して、さらに転んだために泥だらけだ。
平気じゃないですの
黒子は女の子を屋根のある場所まで引っ張ると、横にしゃがみ込む。
じっとしててくださいまし
ひゅんひゅんと、テレポートで飛ばされる泥土や汚水。
「お姉ちゃんすごい。にゃあ」
でも、テレポートで全ての汚れが消える訳じゃない。
黒子がレベル5だったら、「人体以外を飛ばす」というやり方で考えれば出来るかも知れないけれど。
レベル4の黒子では、それぞれ汚れを指定しなければならない。それでは、完璧に汚れを除去するのは無理だ。
少し待っててくださいまし
少女を置いてコンビニに入ると、黒子は包みを一つ。
そこからタオルを出して、少女の足や手を拭き始める。これで、服の汚れ以外はおおかた取れてしまった。
さらに、包みの中からもう一つ。
召し上がれ
ほかほかのアンマンが一つ。
「えっと、食べていいの?」
召し上がれ
「いただきます」
食べ始める少女に、黒子は名前を尋ね、自己紹介。
少女の名前はフレメア・セイヴェルン。
「黒子お姉ちゃん、大体覚えた」
急に走り出してきたこと、雨の日なのに傘も差していないことを合わせて注意しようとすると、
「温かくて甘いもの、ごちそうさま。にゃあ」
再びフレメアが走り出そうとする。
お待ちなさい
テレポートでその正面に立つと、ビックリしてフレメアは立ち止まる。
「お姉ちゃん、能力者?」
そうですの
「お兄ちゃんの敵?」
敵?
……フレメアの敵ではありませんの
「……だったら、お兄ちゃんの味方?」
はて、お兄ちゃんとは誰のことなのか。
黒子にはわからない。
そもそも敵味方といきなり言われても。
黒子の敵は治安を乱す不逞の輩である。
ではフレメアのお兄ちゃんは不逞の輩? そうは見えない。フレメアは良い子に見える。お兄ちゃんも悪人ではないだろう、多分。
でも……
少なくとも、フレメアの敵ではありませんわ
「にゃあ」
フレメアが一枚のメモを差し出した。それは手書きの地図。
簡略されすぎていて一見なんだかわからないけれど、ジャッジメントとして街の隅々まで目を凝らしている黒子にはわかる。
ここにフレメアのお兄さまがいますの?
「大体、いる。にゃあ」
では、参りましょう
黒子はフレメアの手を引いて歩き出す。
すると、くちゅん、とフレメアがクシャミ。
黒子はマフラーを外すと、フレメアにしっかりと巻き付ける。
マフラーぬっくぬく、ですの
「ぬっくぬく、にゃあ」
そして二人は再び歩き始める。
「……駒場、遅いな」
「だったら、俺らも行くか?」
「行くかって……俺らはここ任されてるしなぁ」
「なに、心配ないだろう。あいつだったら、そこらの能力者程度じゃびくともしないからな」
「ああ、そっちの心配はしてねえよ」
「フレメアのほうか?」
「まさか迷子になるとはなぁ……うまいこと見つかりゃいいけど」
「お前が目を離すからだ、浜面」
「すまん」
ここですの?
「大体、あってる。にゃあ」
未知の声と特徴ありすぎる既知の声が一つずつ。
浜面と半蔵は咄嗟に銃を構えると声の主へ向ける。
さっきまで確かに気配はなかった。
二人とも、それについては断言できる。
「能力者か」
じゃっじめんと、ですの
「浜面にゃあ」
「フレメア?」
「黒子のお姉ちゃんが連れてきてくれた。にゃあ」
「ジャッジメントは、迷子の案内もしてくれるってか?」
走り寄るフレメアを半蔵に任せ、浜面は銃の照準を外さない。
「で、ここがどこだかわかってるんだよな?」
黒子はきょろきょろと辺りを見回す。
いつの間に合図したものか、周囲はチンピラ……いや、スキルアウトだらけだ。
「黒子のお姉ちゃんは……」
「フレメア、すまん。ちょっと黙ってろ」
半蔵がフレメアをその場から離れるように連れて行く。浜面は動かない。
「あの子のことは感謝するが、それとこれとは話は別だ。この場所を知られたのはこっちのミスだが、むざむざ教えたままってのも、困るんでな」
連れて行かれるフレメアの視線を向ける黒子。
そして、そのまま浜面をじっと見る。
迷子は届けましたの
「それで済むと……」
「……世話をかけた」
ぬう、と浜面の反対側、出口のほうから巨体が姿を見せる。
「話は聞いた。知り合いが世話になった。礼を言う」
「いいのか、駒場」
「……その気なら、最初から大人数で乗り込んでくる」
よほどの実力者でない限りな、と駒場は続けた。
黒子は駒場を見上げる。そして浜面。いつの間にか戻ってきた半蔵を。
そして、尋ねた。
ロリコン、ですの?
「違えっ!」
思わず叫ぶ浜面。
何か色々なものが台無しになった瞬間だった。
「浜面、お前、女っ気がないと思ったら……」
「……フレメアに手を出すなよ」
「なんでアンタ達もそこでノって来るんだよっ! つか、俺に全部なすりつけるなぁっ!!」
じゃっじめんと、ですの!
「あんたも、そこでジャッジメント言うなっ!!!」
幼女の敵、ですの
「違えっ!」
ざわっ ざわっ とスキルアウトたちに動揺が広がる。
「お前らも本気で動揺するなーーーっ!」
ざわっ ざわっ
「いい加減にしろ! 俺には、滝壺理后という歴とした……」
「なん……だと……」
「……浜面に女が?」
ざわっ ざわっ ざわっ ざわっ
「なんで動揺が増えてんだよ!! ロリコンよりそっちのほうに納得できねえのかよっ!」
虐められっ子、ですの
「誰のせいだーーーっ!」
「よし、今から浜面裁判だ、野郎ども、集まれ」
「え。なに、それ」
「……仕方あるまい」
「いや、待て。なんでそうなる、おい」
ざわっ……もげろ ざわっ……もげろ もげろ もげろ 爆発しろ
「お前らどんだけ、女に縁がないのっ!?」
「そういうわけでジャッジメントの嬢ちゃん、これから立て込むんで、今日の所はこれで帰ってくれ」
「……フレメアのこと、重ねて礼を言う」
失礼しますの
黒子は身を翻すと、やや駆け足でその場を去る。
やや経って、その背後から壮絶半分愉快半分の悲鳴が聞こえたかどうかは定かではない。
黒子は急ぐ。
お姉さまを迎えに行く予定が、迷子の相手をして随分遅れてしまっている。
「あれ? 黒子? 迎えに来てくれたの?」
雨宿りをしているお姉さまがいた。
傘、ですの
「ありがとう。……あれ?」
美琴の視線が黒子の首筋で止まる。
???
「黒子、マフラーは?」
そこでようやく黒子は気付く。
マフラーをフレメアに渡したままであることに。
お貸ししましたの
「マフラーを?」
迷子がいましたの
そして黒子はフレメアのことを美琴に話す。
スキルアウトのことはオマケのようにちょっとだけ。
「そっか。ご苦労様。それじゃあ……」
美琴は自分のマフラーを半分外して、黒子に回す。
二人で一本のマフラー。
「これで、帰ろうか」
ぬっくぬく、ですの
「うん。ぬっくぬく、ね」
そして二人は、相合い傘で帰っていった。
391 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage saga] - 2012/01/06 23:36:09.36 hgKuaz5co 12/12以上、お粗末様でした
黒子可愛いよ、黒子