526 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] - 2012/01/11 23:19:30.29 DZvKZW7IO 1/9

禁書SSと言っていいのか……?
何レスか頂きます

元スレ
▽【禁書目録】「とあるシリーズSS総合スレ」-35冊目-【超電磁砲】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1324178112/
527 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] - 2012/01/11 23:20:16.44 DZvKZW7IO 2/9

はいむらー宅

はいむらーは自宅でゲームをしていた。
毎回毎回新刊の度に、鬼畜とも思える数の新キャラのデザインなどを原作者に任されていたのだが、今回はいつもよりその鬼畜さ、もとい新キャラの数が少なかったため早めに仕事が終わったので、こうしてMHP3をプレイしていた。

初めて挑むモンスターに苦戦しながらも、自然とはいむらーの口角は吊り上っていた。

と、そこへ、
プルルルルルルルル、とすぐ近くに置いてあったケータイが着信音を鳴らす。

ピクッと、はいむらーの肩が小さく跳ねる。
ケータイを手に取り、通話モードに切り替え、耳に当てて……

「ギャハハハハハハハハハハハハ!!元気かな?はいむらー!」

あまりにも予想通りすぎて、頭の血管が切れるかと思った。

「なぁんの用かな、かまちークン?」

「そこらへんにさぁ、原案の小さいメモとか落ちてねえ?この前ソッチ行ったとき置いといたんだけどさ!まだだったら探してみろって。ギャハハハハハハハ!!」

下品な笑い声がスピーカーから聞こえる。

机の下に頭を突っ込むと、ソレはすぐに見つかった。

「送信装置(ファックス)ってのは便利だよなぁ。ヒトの家にアイディアぶち込めるなんざフツーじゃねえよ!ハハッ!」

んでよ、と、かまちーは言葉を区切り、

「これからテメェのケータイにダンボール数十箱分の山積みの原案写メって送ってやるから楽しみにしとけよ!」

「で、オレは何てリアクションすりゃいいんだ?」

「あ?」

「腹ぁ抱えて笑ってやるのが正解かな?売れっ子クン?」

528 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] - 2012/01/11 23:21:19.76 DZvKZW7IO 3/9

「おいおい、状況判断能力が壊れちまったのか、オマエ」

「そっちこそ、マジメにやってんのかよ。『コレ』が単にオレを悔しがらせるためのものなら、こんな回りくどい方法なんて取らねえ。」

はいむらーは続ける。

「みきてぃは『ぶっ倒れない程度に仕事させろ』なんて涙溢れる台詞を吐いちゃいねぇよな?にも拘らず、ブルっちゃってファックスの送信ボタンに指一本触れられないオマエは何なのよ」

「死ね」

ブツッ、と唐突に通話が切れた。

「上等じゃねぇか」

最後な残ったのは、笑みだった。
深い深い笑み。

そしてはいむらーは、来るべき原案に備え、ファックスの前に待機するが、

「……………、」

何分待っても一向に来ない。
もしやみきてぃが持ってくるのか?とも思い、じゃあコーヒーでも淹れようかと台所へ向かおうとした次の瞬間、

ゴバッ!!!と、玄関のドアが強引に蹴破られた。

「ッ!?」

「あーあーあーあー、売れっ子イラストレーターのクセに、セキュリティが全然なってねぇ。甘々だぜ。」

529 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] - 2012/01/11 23:31:55.40 DZvKZW7IO 4/9

女の子だった。
サラサラとした金髪。
うっすらと輝いているようにも見える薄く青い瞳。
更に、それらのパーツを全てぶち壊すような白いマスク。
見た目6~7歳くらいだった。

現れたのは、当然。

「かまちー………!!」

「ギャハハハハハ!!原作者のご登場ぉーーーってなぁ!そんなわけで、死んでくれやクソッタレ!」

言うと同時、かまちーの両手から幾千幾万幾億ものアイディアが生み出され、はいむらーに襲いかかり、容赦なくその身体を叩く。

┣¨┣¨┣¨┣¨ドドドガガガガガガギギギガガガガガゴッ!!と、圧倒的ともいえる暴力によって、はいむらーの身体がくの字に折れ曲がり、ノーバウンドで数メートル吹き飛ばされ、リビングの壁に激突する。

肺の中の空気を全て吐き出さされ……
音が消えた。

「………っはぁ!!はあ、ぜえ……」

数秒、本当に息が止まった。

「ごっ、があああああああああああ!?」

悲鳴、というより絶叫が口からこぼれる。はいむらーが床に伏した状態でもなお、かまちーは攻撃を続ける。

朦朧とした意識の中で、ふと目を動かすと、1メートルほど横に、床にぞんざいに置かれたMHP3があった。

「(しまっ!?隠すのが間に合わ…!?)」

530 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] - 2012/01/11 23:33:15.44 DZvKZW7IO 5/9

と、はいむらーの視線の先にあるモノに気づいたのか、かまちーが両手からアイディアを噴出させながら言う。

「おいおいおい!冗談じゃねぇぞ!こっちは書いても書いても頭ん中のアイディアが抜け切らないってのによお。そちらさんはノンキにゲームですかぁ?あぁ?」

そして、かまちーはしばらく考え事をするような素振りをしたあと、さも良いことを思いついた、とでも言いたげな顔を浮かべた。

そこには、嫌な予感しかなかった。

「じゃあよお、そんなもん全部ぶっ壊しちまえば、テメェの居場所は無くなるよなぁ!ギャハハハハハハ!!」

叫ぶと同時、かまちーは右手をはいむらーの胸からPSPへと向けようとしたが、

「や、めろ……………」

仕事の合間、コツコツとプレイしていって。やっともうすぐクリアできそうだというのに。

「やめろおおおおおおおおおおおお!!」

ここで粉々にされてたまるかッ!

噴出を喰らいながらも、力強い足つきで立ち上がるはいむらーを見て、かまちーの右手の動きが止まる。

そして、はいむらーは今まで交差させ、防御だけに使っていた両手を、かまちーのように前に突き出す。

更に、両手からペンと白紙を生み出し、かまちーのアイディア群へと手を付けるッ!

「お、おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおあお!!」

ザザザザザゾゾゾゾゾゾザザザザ!!!という、ペンが紙の上を走る(凄まじい)音が部屋全体に響く。

531 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] - 2012/01/11 23:33:55.99 DZvKZW7IO 6/9

早くも描き終えたアイディアは悉くはいむらーの後ろへと吹き飛んで行く。

しかしーそれはかまちーの手から生み出される全てではない。多くとも、5分の4ほどだ。
残る5分の1は依然としてはいむらーの胸や腹を叩いている。

それでも、はいむらーは腹の底から叫ぶ。

「ナメ、てんじゃねぇぞ三下がァァああああああああああああああああああ!!!」

より一層指の動きを繊細に、かつ素早くするッ!

と、そこでパッとかまちーの噴出が中断される。

前傾姿勢をとっていたため、はいむらーは思わず前につんのめる。

532 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] - 2012/01/11 23:34:38.94 DZvKZW7IO 7/9

かまちーは、呆気に取られたような顔をしていた。

「オマエ、ラノベ界の速筆の中でも、さらに突き抜けた頂点と言われてるこのオレに向かって『三下』だぁ?」

聞き捨てならないというふうに、かまちーが言う。

かまちーの身体の奥底から、熱いモノが湧き上がってくる。そして、かまちーは、それに逆らわずーーーー。

轟!!!と、今度は両手だけでなく、かまちーの身体全体からアイディアが噴出、いや、吹き荒れる。

あるアイディアはストーブを貫通して爆発させ、
あるアイディアは床を抉ってその内部構造を露出させ、
あるアイディアは液晶テレビの角を弾き飛ばした。

しかし、その破壊の中心点に立つかまちーは、内の感情とは裏腹に、目を細め、肩の力を抜き、深く、ゆっくりと息をしていた。
その表情は、精悍、とは違ったものだった。

退屈そうだった。
この程度は当然の所業だとばかりに、むしろこんな事もできなかったはいむらーを蔑むように嘲笑っているだけだった。

「ムカついたかよ、絵師」

驚愕に染まるはいむらーに、かまちーはくだらなさそうに言う。

533 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] - 2012/01/11 23:35:11.90 DZvKZW7IO 8/9

「これが作家だ」

ここまでやってまだ作家。ならばかまちーが思い描く売れっ子作家とは一体どこまでのレベルを要求されているのか。

「ッッッ!!テメェに酔ってんじゃねーぞ、かまちィィいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!」

直後、ドバン!!!という爆音が炸裂する。
お互いの交差は一瞬。
それで、作家と絵師の勝負は決した。

かまちーは道端に転がっている空き缶でも見るように床のはいむらーのPSPを見る。
そして屈んでディスクを取り出すと、

バキャッ!と、『足で踏み砕く』。

メモリーチップも同じようにし、最後にPSP本体も粉々に砕くと、ゆったりとした足取りではいむらーの家から出て、今度はポケットからケータイを取り出す。

「もしもし、三木さんですか?はい、鎌池です。灰村さんの仕事量、これからは3倍に増やしてもいいですよ。大丈夫ですって。アイツ今までモンハンやってましたもん」

534 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] - 2012/01/11 23:36:40.93 DZvKZW7IO 9/9

おわり