687 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage saga] - 2012/01/20 23:07:19.85 X+2n2TSDo 1/12
10レスほど戴きます
黒子は正義のじゃっじめんと
みんな仲良し
今日は日曜日。
常盤台はお休み。そしてジャッジメントも非番の日。
「黒子、一緒にお出かけしようか」
はい、ですの
そそくさと支度を済ませる黒子。
お姉さまのお誘いを断るなんて、そんなの白井黒子じゃない。
だから、二人で一緒にお出かけ。
まずはお昼ごはん。
お姉さまは、メニューを見て悩んでいる。
黒子は、パスタセットにしますの
「じゃあ私は……うーん……」
店員が注文を取りに来ても悩み続けている美琴。
お姉さま?
黒子は席を立って、美琴の持っているメニューを覗き込む。
するとそこには、
(お子様ランチ・ご注文のお客様にはもれなくゲコ太人形付)
黒子納得。美琴まっしぐら。
「えーと、あの、これを……」
さすがに「お子様ランチ」と口にするのは恥ずかしいのか、美琴はメニューを指さす。
店員はニコっと笑い、
「お客様。申し訳ありませんが、お子様ランチは13歳までのお客様にのみ提供することになっておりまして」
御坂美琴14歳。
「え、あの。私、実は……」
「失礼ですけれど、御坂美琴さんですよね?」
常盤台のエース。
学園都市第三位。ファミレス店員だって知っている。
有名人は辛いのだ。
そこで黒子が手を挙げる。
お子様ランチは私ですの
「かしこまりました」
お姉さまは、パスタセットですの
「……ゴメンね、黒子」
違いますの
美琴は少し考えて、そして微笑む。
「そうね。ゴメンじゃなくて、ありがとう」
やがて運ばれてくるパスタセットとお子様ランチ。
黒子の前にはお子様ランチ。美琴の前にはパスタセット。
「こちら、お子様ランチにオマケのサービスのゲコ太人形です」
ぽつねん、とテーブルに置かれるゲコ太人形。
人形の目は黒子に向いている。
黒子も人形を見た。
二人の視線が合う。
ゲコ太人形はお姉さまのお気に入り。
これはきっと今夜、お姉さまと一緒に眠るのだ。
しゃああああっ
黒子は思わず威嚇する。
お姉さまと同衾予定のカエルなので容赦しない。
ノートレランスですの
カエルの分際で、僭越はなはだしいですの
「それじゃあ、ありがたくゲコ太人形は貰うわね」
そのまま、お子様ランチも自分の側に持っていく美琴。パスタセットは黒子の前へ。
「いただきます」
いただきますの
お昼ごはんを食べ終わったらお茶を飲んで。
ケーキを食べて。洋服を選んで。
くるんくるん
黒子のツインテールも楽しげに揺れている。
その様子に美琴も微笑む。
「うん。私も。久しぶりよね、黒子と二人は」
お姉さまとデートですの
「そうね。デートよね」
黒子の手を引く美琴と、その顔を見上げて笑う黒子。
どこからどう見ても、常盤台のベストパートナー。
「あら、美琴じゃない」
「あ、麦野さん」
そんな二人がばったり出逢ったのは、学園都市第三位、原子崩しこと麦野沈利。
そして、
「こんにちは。えーと……」
麦野に寄り添う小柄な女の子。
「こんにちは。絹旗です」
窒素装甲こと絹旗最愛だった。
「この子も、麦野さんのチームに?」
「そう。なかなかの能力持ちよ」
「えーと、麦野さんのチーム、アイレムだっけ」
「スペランカーは作ってねえよ」
「アイテル?」
「十時からなら、って、店やってんじゃねえから」
「なんだっけ?」
「アイテム。いい加減覚えなさいよ」
「ごめん」
でも、チームって羨ましいな、と美琴。
「美琴だって、チームみたいなものじゃない。ほら、そのこと、あと二人。花飾りのジャッジメントと黒い長髪の子」
「あー、初春さんと佐天さんね」
「それなりのチームなんでしょう? いくつかの事件に立ち向かったって聞いてるわよ」
「まあ、たまたまね、たまたま」
謙遜しつつも、満更でもなさそうな美琴。
「チーム名、ないんでしょ? 巷じゃ、『超電磁砲組(レールガンズ)』なんて言われているみたいだけど」
「それね……」
美琴はその名前が気に入っていない、なぜなら、その名前ではあたかも美琴のワンマンチームのようだから。
佐天、初春、黒子。この中の誰が欠けたって駄目なのだ。だから、自分一人のワンマンチームのような名前は好かない。
「案はあるんだけどね。佐天さん達に却下されちゃうから」
「どんなのよ」
聞きつつも、麦野はなんとなく予想がついている。
「ゲコ太団、とか」
正解、麦野さん正解です。
「うん、それは私でも断る」
「ゲコ太、可愛いのにね」
「どう考えても、ワンマンチームより酷い名前よ?」
こくこく
黒子が必死に頷いている。
「……アンタも結構苦労してるのね」
麦野の手が黒子に伸びた。
他意はない。頭を撫でようとしただけ。
だが。
「駄目ですよ、麦野」
絹旗が麦野の手を取った。
「ホクロの癖に超生意気です」
そのまま黒子に向かって自分の手を伸ばす絹旗。
黒子は頭を押されて、後ろによろけてしまう。
きゃう
ぽすん、と黒子の身体を受け止める美琴。
「大丈夫?」
もあいが押しましたの
「モアイじゃありません! 最愛です」
黒子だって、ホクロじゃありませんの
「絹旗。あんたが悪い」
麦野が絹旗の頭を押さえた。
「だって!」
「だってじゃないでしょ。最初に手を出したのはあんた。わかってる?」
ううう、と絹旗は唸る。
だって、と続けて。
「でも」
「は?」
「でもでもでも」
「あのねー、あんたいい加減にしないと……」
ああ、と美琴は頷いた。
「麦野さん、ちょっと」
「なに?」
「耳貸して」
そして耳打ち。
麦野は神妙な顔で聞いていたが、やがて難しい顔になり、そして頷いた。
「んー。そっか……」
複雑な顔で、それでも半分笑いながら、麦野は絹旗の頭に手を伸ばす。
「あんた、ヤキモチしてたんだ」
「なっ」
「そう言えばそうよね。滝壺は浜面に取られたし」
「ち、超違います!」
「フレンダはフレメアばっかりだもんね」
絹旗の頭を撫でる麦野の顔は、半笑いからニヤニヤに変わっている。
「それで、私まで黒子ちゃんを可愛がったらもう堪忍袋の緒が切れたって?」
「だから、超違いますって!」
麦野の手から頭を引き離す絹旗。
「いいのいいの。そっか。絹旗、可愛いね」
ううううう、と唸る絹旗の顔は真っ赤だ。
その絹旗の肩を誰かが叩く。
振り向くと、そこには黒子。
「……なんですか」
黒子は手を伸ばしていた。
その手が、絹旗の頭に触れる。
ニッコリ笑って、
おともだち、ですの
「!!」
今日から、おともだち、ですの
絹旗は何も言わず、黒子にされるがまま立っている。
黒子は、絹旗の頭を撫でている。
「麦野さん、ちょっとお願い。コンビニに行って来るから」
突然の美琴の言葉。二人をニヤニヤと眺めていた麦野は思わず聞き返す。
「コンビニ?」
「うん。コンビニ。麦野さんは肉まんとあんまん、どっちがいい?」
「……中華まん」
「わかった」
ほんの数分で戻ってくる美琴。手には温かそうな包みを抱えている。
「はい、麦野さん、中華まん。絹旗さんと黒子はあんまんね」
三人にそれぞれ渡すと、自分はピザまんを手に取った。
「何これ、美琴?」
「ん? 寒いから温かいものがいいかなって」
「いや、そうじゃなくて」
「黒子と絹旗さんの仲直り記念」
「……ま、いいけど」
いただきますの
「あ、ありがとうございます」
「熱いから、気をつけてね」
ぽとり、と落下音。
四人の目は黒子の足下へ。
「あ」
「あー」
「あら」
落としましたの
呆然と、黒子は自分の足下を見つめている。
そこには落下したあんまん。
地面に倒れ臥すあんまん。
お姉さまから貰ったあんまん。
ほっかほかのあんまん。
温かいあんまん。
美味しいあんまん。
甘いあんまん。
今はもう、食べられないこのあんまん。
きっと明日はありさんのご飯。
ありさんに黒子からのプレゼント。
その名はあんまん。
ありさん「黒子さんありがとう。これでキリギリスさんと一緒に冬が越せます」
どういたしまして、ですの
大事にお食べになってくださいな
「しょうがないですね」
予期せぬ言葉に、俯いていた黒子は顔を上げる。
そこにはあんまん。
きれいに半分に割られたあんまん。
絹旗が黒子に向けて差し出している。
「仕方ないから、超半分個です」
黒子はハーフあんまんを見、そして美琴を見る。
美琴はニッコリ笑って頷いた。
戴きますの
ハーフあんまんを受け取って、黒子は頭を下げる。
もぎゅ
おいしい、ですの
「超美味しいです」
もちろん、ですの
美琴と麦野は顔を見合わせ、満足そうに頷いた。
数日後……
「あれ、黒子、おでかけ?」
絹旗さんの所に行ってきますの
「行ってらっしゃい。門限は守りなさいよ」
はい、ですの
黒子と絹旗はお友達。
698 : 「なかよしですの」[sage saga] - 2012/01/20 23:13:05.90 X+2n2TSDo 12/12以上、お粗末様でした
さらに続きが思いつくようならスレ立てるかも知れない