687 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage saga] - 2012/01/20 23:07:19.85 X+2n2TSDo 1/12


10レスほど戴きます

 黒子は正義のじゃっじめんと
 みんな仲良し


元スレ
▽【禁書目録】「とあるシリーズSS総合スレ」-35冊目-【超電磁砲】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1324178112/
688 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage saga] - 2012/01/20 23:07:45.62 X+2n2TSDo 2/12

 今日は日曜日。
 常盤台はお休み。そしてジャッジメントも非番の日。

「黒子、一緒にお出かけしようか」

 はい、ですの

 そそくさと支度を済ませる黒子。
 お姉さまのお誘いを断るなんて、そんなの白井黒子じゃない。
 だから、二人で一緒にお出かけ。
 まずはお昼ごはん。
 お姉さまは、メニューを見て悩んでいる。

 黒子は、パスタセットにしますの

「じゃあ私は……うーん……」

 店員が注文を取りに来ても悩み続けている美琴。

 お姉さま?

 黒子は席を立って、美琴の持っているメニューを覗き込む。
 するとそこには、

 (お子様ランチ・ご注文のお客様にはもれなくゲコ太人形付)

 黒子納得。美琴まっしぐら。

「えーと、あの、これを……」

 さすがに「お子様ランチ」と口にするのは恥ずかしいのか、美琴はメニューを指さす。

 店員はニコっと笑い、

「お客様。申し訳ありませんが、お子様ランチは13歳までのお客様にのみ提供することになっておりまして」

 御坂美琴14歳。

689 : 「なかよしですの」[sage saga] - 2012/01/20 23:08:17.80 X+2n2TSDo 3/12

 
「え、あの。私、実は……」

「失礼ですけれど、御坂美琴さんですよね?」

 常盤台のエース。
 学園都市第三位。ファミレス店員だって知っている。
 有名人は辛いのだ。

 そこで黒子が手を挙げる。

 お子様ランチは私ですの

「かしこまりました」

 お姉さまは、パスタセットですの

「……ゴメンね、黒子」

 違いますの

 美琴は少し考えて、そして微笑む。

「そうね。ゴメンじゃなくて、ありがとう」

 やがて運ばれてくるパスタセットとお子様ランチ。
 黒子の前にはお子様ランチ。美琴の前にはパスタセット。

「こちら、お子様ランチにオマケのサービスのゲコ太人形です」

 ぽつねん、とテーブルに置かれるゲコ太人形。
 人形の目は黒子に向いている。
 黒子も人形を見た。
 二人の視線が合う。

 ゲコ太人形はお姉さまのお気に入り。
 これはきっと今夜、お姉さまと一緒に眠るのだ。

690 : 「なかよしですの」[sage saga] - 2012/01/20 23:08:43.55 X+2n2TSDo 4/12

 
 しゃああああっ

 黒子は思わず威嚇する。
 お姉さまと同衾予定のカエルなので容赦しない。

 ノートレランスですの
 カエルの分際で、僭越はなはだしいですの

「それじゃあ、ありがたくゲコ太人形は貰うわね」

 そのまま、お子様ランチも自分の側に持っていく美琴。パスタセットは黒子の前へ。

「いただきます」

 いただきますの

 お昼ごはんを食べ終わったらお茶を飲んで。
 ケーキを食べて。洋服を選んで。

 くるんくるん

 黒子のツインテールも楽しげに揺れている。
 その様子に美琴も微笑む。

「うん。私も。久しぶりよね、黒子と二人は」

 お姉さまとデートですの

「そうね。デートよね」

 黒子の手を引く美琴と、その顔を見上げて笑う黒子。
 どこからどう見ても、常盤台のベストパートナー。

「あら、美琴じゃない」

「あ、麦野さん」

691 : 「なかよしですの」[sage saga] - 2012/01/20 23:09:37.77 X+2n2TSDo 5/12

 
 そんな二人がばったり出逢ったのは、学園都市第三位、原子崩しこと麦野沈利。
 そして、

「こんにちは。えーと……」

 麦野に寄り添う小柄な女の子。

「こんにちは。絹旗です」

 窒素装甲こと絹旗最愛だった。

「この子も、麦野さんのチームに?」

「そう。なかなかの能力持ちよ」

「えーと、麦野さんのチーム、アイレムだっけ」

「スペランカーは作ってねえよ」

「アイテル?」

「十時からなら、って、店やってんじゃねえから」

「なんだっけ?」

「アイテム。いい加減覚えなさいよ」

「ごめん」

 でも、チームって羨ましいな、と美琴。

「美琴だって、チームみたいなものじゃない。ほら、そのこと、あと二人。花飾りのジャッジメントと黒い長髪の子」

「あー、初春さんと佐天さんね」

「それなりのチームなんでしょう? いくつかの事件に立ち向かったって聞いてるわよ」

「まあ、たまたまね、たまたま」

692 : 「なかよしですの」[sage saga] - 2012/01/20 23:10:04.64 X+2n2TSDo 6/12

 
 謙遜しつつも、満更でもなさそうな美琴。

「チーム名、ないんでしょ? 巷じゃ、『超電磁砲組(レールガンズ)』なんて言われているみたいだけど」

「それね……」

 美琴はその名前が気に入っていない、なぜなら、その名前ではあたかも美琴のワンマンチームのようだから。
 佐天、初春、黒子。この中の誰が欠けたって駄目なのだ。だから、自分一人のワンマンチームのような名前は好かない。

「案はあるんだけどね。佐天さん達に却下されちゃうから」

「どんなのよ」

 聞きつつも、麦野はなんとなく予想がついている。

「ゲコ太団、とか」

 正解、麦野さん正解です。

「うん、それは私でも断る」

「ゲコ太、可愛いのにね」

「どう考えても、ワンマンチームより酷い名前よ?」

 こくこく
 
 黒子が必死に頷いている。

「……アンタも結構苦労してるのね」

 麦野の手が黒子に伸びた。
 他意はない。頭を撫でようとしただけ。
 だが。

693 : 「なかよしですの」[sage saga] - 2012/01/20 23:10:31.65 X+2n2TSDo 7/12

 
「駄目ですよ、麦野」

 絹旗が麦野の手を取った。

「ホクロの癖に超生意気です」

 そのまま黒子に向かって自分の手を伸ばす絹旗。
 黒子は頭を押されて、後ろによろけてしまう。

 きゃう

 ぽすん、と黒子の身体を受け止める美琴。

「大丈夫?」

 もあいが押しましたの

「モアイじゃありません! 最愛です」

 黒子だって、ホクロじゃありませんの

「絹旗。あんたが悪い」

 麦野が絹旗の頭を押さえた。

「だって!」

「だってじゃないでしょ。最初に手を出したのはあんた。わかってる?」

 ううう、と絹旗は唸る。
 だって、と続けて。

「でも」

「は?」

「でもでもでも」

「あのねー、あんたいい加減にしないと……」

694 : 「なかよしですの」[sage saga] - 2012/01/20 23:10:59.64 X+2n2TSDo 8/12

 
 ああ、と美琴は頷いた。

「麦野さん、ちょっと」

「なに?」

「耳貸して」

 そして耳打ち。
 麦野は神妙な顔で聞いていたが、やがて難しい顔になり、そして頷いた。

「んー。そっか……」

 複雑な顔で、それでも半分笑いながら、麦野は絹旗の頭に手を伸ばす。

「あんた、ヤキモチしてたんだ」

「なっ」

「そう言えばそうよね。滝壺は浜面に取られたし」

「ち、超違います!」

「フレンダはフレメアばっかりだもんね」

 絹旗の頭を撫でる麦野の顔は、半笑いからニヤニヤに変わっている。

「それで、私まで黒子ちゃんを可愛がったらもう堪忍袋の緒が切れたって?」

「だから、超違いますって!」

 麦野の手から頭を引き離す絹旗。

「いいのいいの。そっか。絹旗、可愛いね」

 ううううう、と唸る絹旗の顔は真っ赤だ。
 その絹旗の肩を誰かが叩く。
 振り向くと、そこには黒子。

「……なんですか」

695 : 「なかよしですの」[sage saga] - 2012/01/20 23:11:27.73 X+2n2TSDo 9/12

 
 黒子は手を伸ばしていた。
 その手が、絹旗の頭に触れる。
 ニッコリ笑って、

 おともだち、ですの

「!!」

 今日から、おともだち、ですの

 絹旗は何も言わず、黒子にされるがまま立っている。
 黒子は、絹旗の頭を撫でている。

「麦野さん、ちょっとお願い。コンビニに行って来るから」

 突然の美琴の言葉。二人をニヤニヤと眺めていた麦野は思わず聞き返す。

「コンビニ?」

「うん。コンビニ。麦野さんは肉まんとあんまん、どっちがいい?」

「……中華まん」

「わかった」

 ほんの数分で戻ってくる美琴。手には温かそうな包みを抱えている。

「はい、麦野さん、中華まん。絹旗さんと黒子はあんまんね」

 三人にそれぞれ渡すと、自分はピザまんを手に取った。

「何これ、美琴?」

「ん? 寒いから温かいものがいいかなって」

「いや、そうじゃなくて」

「黒子と絹旗さんの仲直り記念」

「……ま、いいけど」

696 : 「なかよしですの」[sage saga] - 2012/01/20 23:11:57.14 X+2n2TSDo 10/12

 
 いただきますの

「あ、ありがとうございます」 

「熱いから、気をつけてね」

 ぽとり、と落下音。
 四人の目は黒子の足下へ。

「あ」

「あー」

「あら」

 落としましたの

 呆然と、黒子は自分の足下を見つめている。

 そこには落下したあんまん。
 地面に倒れ臥すあんまん。
 お姉さまから貰ったあんまん。
 ほっかほかのあんまん。
 温かいあんまん。
 美味しいあんまん。
 甘いあんまん。
 今はもう、食べられないこのあんまん。
 きっと明日はありさんのご飯。
 ありさんに黒子からのプレゼント。
 その名はあんまん。

ありさん「黒子さんありがとう。これでキリギリスさんと一緒に冬が越せます」

 どういたしまして、ですの
 大事にお食べになってくださいな


697 : 「なかよしですの」[sage saga] - 2012/01/20 23:12:24.76 X+2n2TSDo 11/12

 
「しょうがないですね」

 予期せぬ言葉に、俯いていた黒子は顔を上げる。
 そこにはあんまん。
 きれいに半分に割られたあんまん。
 絹旗が黒子に向けて差し出している。

「仕方ないから、超半分個です」

 黒子はハーフあんまんを見、そして美琴を見る。
 美琴はニッコリ笑って頷いた。

 戴きますの 

 ハーフあんまんを受け取って、黒子は頭を下げる。

 もぎゅ

 おいしい、ですの

「超美味しいです」

 もちろん、ですの

 美琴と麦野は顔を見合わせ、満足そうに頷いた。



 数日後……

「あれ、黒子、おでかけ?」

 絹旗さんの所に行ってきますの

「行ってらっしゃい。門限は守りなさいよ」

 はい、ですの
 
 黒子と絹旗はお友達。

 

698 : 「なかよしですの」[sage saga] - 2012/01/20 23:13:05.90 X+2n2TSDo 12/12

以上、お粗末様でした

さらに続きが思いつくようならスレ立てるかも知れない