934 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[saga] - 2012/02/02 18:00:24.66 msTuC8NO0 1/14

12レスほど貰いますよ
ステイン注意、キャラ崩壊注意

元スレ
▽【禁書目録】「とあるシリーズSS総合スレ」-35冊目-【超電磁砲】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1324178112/
935 : 当方に迎撃の用意なし[saga] - 2012/02/02 18:01:38.87 msTuC8NO0 2/14


「……あの、ごめん。もう一回言って?」


そびえ立つ長身から居丈高に見下ろしてくる神父へと、インデックスはおそるおそる言葉を発した。


「何度も聴きたくなるほど耳に心地よい言葉だったかな」

「そういうことじゃなくて」

「冗談だよ。まあ、繰り返すことに僕もやぶさかではないがね」


顧みるに自分の前ではいつでも、この男はこんな飄々とした態度だったな、とインデックスは思う。
ただ、常どおりのっぺりとしたその表情から紡がれた淡々とした語調が、告白の内容とあまりに“違い”すぎた。
だからインデックスは思わず聞き返したのだった。
今のは空耳なのだろうと、一縷の望みを懸けたのだった。



「僕は、君が好きだった」



だが駄目だった。
やはり幻聴ではなかった。



「そして、今も君が好きだ」



インデックスにできるのは、お手上げとばかりに頭を抱えることだけだった。

936 : 当方に迎撃の用意なし[saga] - 2012/02/02 18:02:38.74 msTuC8NO0 3/14


どうしてこうなった。
頭の中でぐるぐると踊り踊る文字列から目を逸らすベく、インデックスはほんの十分ほど前の情景に思いを馳せる。

冬ののどかな、休日の朝だった。
魔術師が襲来することもなければ科学者の陰謀に巻き込まれることもない、実に平和な一日の始まり。
インデックスは同居人にして養育者、保護者かつ想い人である上条当麻の用意してくれた朝餉を思うさま貪って、人心地ついているところだった。


「とうまー、たまにはどっかに遊びにいこうよー」

「上条さんちの家計事情を思いやるんならこうしてウチでのんびりしてるのが一番です」

「とうまのけち」

「誰のせいだと…………ん? はいはい、いま開けまーす」

「ちぇっ」


他愛もないやりとりを交えてじゃれ合っているところに、無機質な電子チャイムが鳴り響いた。
大事な時間を妨げられたインデックスは不満げに口を尖らせて、玄関先へ急ぎ足で向かう上条の背中と、武骨な鉄製のドアとを同時に睨みつける。


「どちらさまで……げっ」

「とうま? ……うわ」


上条がドアを開けると、黒い壁があった。


「やあ上条当麻、インデックス。素敵な朝の挨拶をありがとう。おかげで僕の機嫌はちっともよろしくなくなったので、ごきげんようの定型句は省略させてもらうよ」


壁の正体は、二人もよく知るイギリス清教の神父さんだった。

937 : 当方に迎撃の用意なし[saga] - 2012/02/02 18:03:44.90 msTuC8NO0 4/14


「……何の用事?」


挨拶代わりに嫌味を一発かましてきたステイルに負けず劣らず低い声で、インデックスは威嚇するように唸った。
二人きりの団欒を邪魔されて不機嫌だった、というのもある。
しかしそもそもそれ以前に、インデックスはこの男に並々ならぬ警戒心を抱いていた。
ステイル=マグヌス――――ひいてはイギリス清教と関わり合いになると、上条はたいていロクな目に遭わない。
上条本人は窮地にある誰かを救えるのならと気にした風でもないが、傍から見守るインデックスとしては気が気でない。
ゆえにインデックスの目にはステイルの纏う黒一色の神父服が、鴉の濡羽よろしく不吉の象徴に見えてならないのであった。


「心配ご無用、今日は仕事じゃあない。このみすぼらしいあばら家をわざわざ訪れたのは、僕の極めて私的な事情からだ」

「「へ?」」


間の抜けた声が唱和する。
ステイルがプライベートで自分たちに接触を図ってきたことなど、上条とインデックスのそう長くはない生涯においても初めてのことだ。


「じゃあなんだよ、お茶でもしにきたのか?」

「宣戦布告だ」

「「はあ?」」


呆気にとられる部屋の住人たちを無視して、ステイルはズカズカと室内に――靴はしっかり玄関で脱いだ――上がりこむ。
家主の了解も案内も待たずに短い廊下を抜けた長身が、こたつでぬくぬくしていたシスターの脇で足を止めて佇立した。


「君に、話がある」

938 : 当方に迎撃の用意なし[saga] - 2012/02/02 18:05:08.81 msTuC8NO0 5/14


「…………私?」

「どういうことだよ、ステイル」

「繰り返すが、これは公用ではない。上条当麻、君は同席してくれても、してくれなくてもどちらでも構わない。どのみち僕の布告の中身は変わらない。これは、そういう類の話だと思え」

「…………ふうん」


困惑するインデックスを尻目に何事か得心いったような上条が、顎に手を当てて目を瞑った。
しばらくすると軽く嘆息しながら、踵を再び玄関先に向ける。


「十分ぐらい、そのへんうろついてくるよ」

「とうま!?」

「五分でいい。どうせすぐに終わる」

「十分で戻る」

「とうま、ちょっと待って」

「インデックス。お前はいっぺん、そいつとちゃんと向き合っとくべきだ」

「そんなこと、言われても……」

「これだけは言っておくぜ。そいつは絶対に、お前を傷付けるような真似はしない。ステイルってヤツはそういう」

「余計なお世話だ、消えると決めたならとっとと失せろ」

「おおこわいこわい。じゃあインデックス、ステイル、行ってくるな」

「……いって、らっしゃい」


にかりと人懐こい笑みを浮かべながらダウンを羽織り、上条当麻はドアを押し開いて冬晴れの学園都市へと姿を消す。
そうして上条家には、純白のシスターと黒衣の神父だけが残された。

939 : 当方に迎撃の用意なし[saga] - 2012/02/02 18:06:51.25 msTuC8NO0 6/14


気まずい沈黙に口を塞がれる前にインデックスは、仕草だけでこたつに入ってはどうかと促す。
物珍しげに日本特有の暖房器具を眺めていたステイルは、ややあってから無言で首を横に振った。
無視しがたい違和感が、どこかで脳をくすぐってくる。
しかしその正体は杳として知れない。
仕方なくインデックスは天板の上の蜜柑に手を伸ばし、器用に皮を剥いて頬張ろうとする。
その時だった。


「君と奴は、付き合ってないのかい?」

「ぶ!? ん、けほ、かほっ!!」

「その様子だとまだのようだね。それは好都合」

「こ、好都合……? んぐっ、こほ」


こたつの向こうから投げ入れられたのは特大の爆弾だった。
派手にむせたインデックスに特段感情をあらわにするでもなく、ステイルは無表情に「好都合だ」と喜んだ。
その意味するところを計りかねているところに、



「インデックス、僕は君が好きだった。そして、今なお君が好きだ」



そして時間軸は冒頭に戻る。

940 : 当方に迎撃の用意なし[saga] - 2012/02/02 18:07:51.99 msTuC8NO0 7/14


困ったことになった。
必死で逃げ道を探り探り、まずはインデックスが声を上げる。


「あなたが好きなのは、“前”の私じゃないの……?」

「君とあの子をまったく、一%たりとも重ねていない、とまでは言いきれない。それは認める。なにせ僕の初恋の子と君は、同じ顔をしているんだから」

「だったら」

「しかしこれは、熟考に熟考を重ねた末の結論だ。僕は“君が”好きだ。一人の男として君を守りたい」


衝動的にインデックスは、ヴェールの上から頭を掻き毟った。
そんなことを言われても、


「そんなことを言われても困る。私が好きなのは上条当麻ただ一人だ、他の男なんて眼中にない。だからあなたには興味がない。気持ち悪い、もう私に付きまとわないで。…………嫌なら嫌と、はっきり言ってくれればいい。それならば僕は、この先二度と君の視界には入らないと誓う」


ステイルの右手が口許に運ばれ、立てられた人差し指と中指が空を切る。
その様を振り仰いでインデックスは、ようやく違和感の正体に気が付いた。

今日の彼は、煙草を吸っていない。

941 : 当方に迎撃の用意なし[saga] - 2012/02/02 18:09:28.00 msTuC8NO0 8/14


「逆に言えば、そのくらい明確な拒絶の言葉をもらえなければ、僕は一縷の希望を抱いてしまわずにはいられない、というわけだ」


忙しなく唇の前の空間を行き来する指先は、よく見ればかすかに震えている。
その小さなわななきを目の当たりにして、インデックスは急速に落ち着きを取り戻した。
同時に現実を受け入れるべく頭脳が正常な回転を始める。


――――ステイル=マグヌスが、自分を好いている。


「……迷惑だとはわかっていた。君じゃない君を好きだった男の告白など、君の重荷にしかならないだろうと、そう思っていた時期もあった……いや、今この瞬間だって、二割ぐらいはそう思ってる自分がいるかな」


慌ててインデックスは頬に手をやった。
偽ることのない本心が、表情に透けて出てしまっていたのだろうか。
そうとしか思えないようなステイルの述懐だった。

インデックスは苦しむ弱者に平等に手を伸ばす。
たとえ相手が顔も名前も知らぬどこかの誰かさんだろうと手を伸ばす。
平等に、公平に、神聖に――――例外がいるとすればこの世でただ一人、インデックスのヒーローだけである。
つまりインデックスにとってステイル=マグヌスとは、助けを求められれば力を貸すことにやぶさかではない、その他大勢の一人でしかあり得ない。
なにがあっても傷付いてほしくない、インデックスにとっての唯一の人ではない。

だから、インデックスはステイルの好意には応えられない。


「…………わた、しは」

「だけど、僕はもう決めたんだ。利己的になる、自己中心的になってやるってね」


躊躇いがちに告げようとした聖女の琴線を、何気ない一言がくすぐった。

942 : 当方に迎撃の用意なし[saga] - 2012/02/02 18:10:45.11 msTuC8NO0 9/14


「利己的って……そんなのおかしいんだよ。す、好きな人に好きって告白するのは、人としての、正しい行いかも」

「それがたとえ、不貞じみたものであっても?」

「不貞、って! わ、私は結婚なんてしてないし、そもそも結婚できないし」

「だってそうだろう? 僕の行いを客観視すればいっそ明らかだ。好きな女の子を救えなかった惨めな男が、その子を救ってくれた恩人である男から、こともあろうに、恥知らずにも略奪愛を狙っている。これはそういう類の話だ」


確かに、言葉にしてしまえばそういうことになる。
これまで自分に一歩引いた態度で接してきたのは、“それ”が理由だった。
そう仮定すれば色々な辻褄が合う。


「だったら、なんで今日は……?」


インデックスの疑問はそこに尽きた。
一年以上も散々素っ気ない態度に終始しておきながら、なぜそれを今になって翻すのか。
インデックスの問いかけに対し、ステイルは徐に視線を窓の外の寒空に流す。
そして横顔を向けたまま、決然と口を開いた。




「君が、欲しくなった」





943 : 当方に迎撃の用意なし[saga] - 2012/02/02 18:12:43.96 msTuC8NO0 10/14


パクパク、と金魚が餌をついばむような音が耳の近くで鳴っている。
自分の口が開閉する音だ、とインデックスが悟るのにしばらくかかった。


「遠くから見ているだけでは我慢できなくなった。君の心の平穏と僕の内側の欲望を秤にかけて、僕は手前勝手にも我欲を取った。そう解釈してくれて構わない」


相も変わらず恬淡とした口調。
表面に熱の伝わってこない抑揚のなさ。
裏腹に、心臓の奥で脈打っていることを言の葉に乗せて如実に報せてくる、深い深い愛の火照り。
トンデモないことを言っているという自覚は、果たしてこの男にあるのだろうか。


「……すまない、少しの間だから、立ってくれるかな」


意味ある単語を発話することさえできず、ああ、うう、と呻きながらインデックスは、こたつから脚を引き抜いた。
ステイルはカチコチになって立ち尽くすインデックスのすぐそばまで歩み寄ると、


「失礼」

「ひゃん!?」


恭しく手のひらをとって膝を付いた。
その姿はまさしく、女の子の頭の中の絵空事にしか登場しない、主君に忠誠を誓う騎士さながらだった。
そんなありきたりな感慨で頭を満たすので精一杯だった。

944 : 当方に迎撃の用意なし[saga] - 2012/02/02 18:13:53.56 msTuC8NO0 11/14





「君がたとえすべてを忘れてしまっていても」




「僕の為すべきはなにひとつ変わらない」




「僕はこれからも、なにひとつ忘れずに」




「君のために、君のためだけに――――」





945 : 当方に迎撃の用意なし[saga] - 2012/02/02 18:15:49.30 msTuC8NO0 12/14


「――――ここから先は、一方的に捧げるには重すぎる十字架だね。いつか君を上条当麻から奪えたのなら、その時告げることにするかな」


かち合う視線の角度が、再び上下逆転した。
つい先ほどまで真摯に己を見上げてきた紅い瞳は、すくと立ち上がった巨体のてっぺんからこちらを見下ろしている。
ただその色が、温度が、うって変わって途方もなく優しいものに見えてしまって、インデックスはわれ知らず目を伏せていた。


「では、今日のところは失礼するよ」


言われて、慌てて壁時計に目線をやった。
上条が退出してから、十分どころか五分も経っていない。
信じられないほど長い五分だった、とインデックスはぼんやり思った。
その間にもステイルは、未練はないとばかりに躊躇なくインデックスに背を向けて帰り支度を整えている。
あれよあれよという間に彼は玄関のドアノブに手を掛けていた。


「僕は急がない。待つのは慣れているからね。僕を突っぱねるのか、“候補”の末席にでも加えてくれるのか。君の思うまま、後悔のないように選択してくれ」


最後の瞬間までステイルは、なんやかんやと言いながらインデックスの意思を尊重する言葉を残した。
その態度が逆にずるい、とそう思わせた。

あたたかい慮りと優しさを覗かされて、インデックスという少女がほだされないはずがない。
ステイルは自分のそんな性質を承知の上で、自分を迷わせる言葉を選んでいたのではないか。
相手の自由意思を尊重する精神というものは往々にして、下手な強制よりも相手の思考を制限するものである。

946 : 当方に迎撃の用意なし[saga] - 2012/02/02 18:17:40.15 msTuC8NO0 13/14


「……卑怯者」


二度三度、息を大きく吸って吐いて、自分に向かって確かめる。
決まっている。
決まりきっている。
自分が好きなのは上条当麻だ。
ステイル=マグヌスは自分にとってどうでもいい人間にカテゴリーされる、はずだ。
はずなのに、どうして――――


「自覚はあるよ」


どうしてこんなにも、頬が、胸が、熱くて仕方がないのだろう。




狭苦しい学生寮の一室に静寂が帰ってきた。
インデックスはステイルが消えたドアとは真逆の、ベランダに繋がる引き窓に手を掛ける。
上条が帰ってくる前に、一刻も早く頭を冷やしたかった。
倒れるようにベランダに滑りこむと、心地よい冷気に身を委ねながら、空を悠々と泳ぐ白雲をなんとなしに眺める。
視線の先には空の青を薄く薄く透かした、広くたなびく絹雲の群れ。


(……あ。あのかたち、たばこの煙みたい)


無意識の思索が意味するところにインデックスが気が付くのは、背後から家主の帰宅を告げる声が掛けられた後のことだった。


――――END

947 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[saga] - 2012/02/02 18:19:21.02 msTuC8NO0 14/14


誰だこの攻めイル
ホントなんていうかすいませんでした
でもステイルちゃんはこれぐらいしたってバチは当たらないと思うのですよ
でも本人はバチ当たりとか分不相応とか考えてるに違いありません
厨二病もいいところですね