382 : 一方通行と鏡の中の百合子ちゃん[saga] - 2012/02/26 18:33:10.73 gO1MH7/Mo 1/16

14レスお借りします
捏造と妄想力の強い一方通行注意
名前欄を使います
一方通行が鏡の中の自分を双子の姉と認識してたらおいしいな
と思ってこうなりました

元スレ
▽【禁書目録】「とあるシリーズSS総合スレ」-36冊目-【超電磁砲】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1328256460/
383 : 人の代わりに手鏡に話しかけてみた日[saga] - 2012/02/26 18:34:42.75 gO1MH7/Mo 2/16


一方「今日ね、色ンな人に囲まれちゃったの」

一方「えェ!?
    大丈夫だった?」

一方「うン、僕は大丈夫だった。
    だけどたくさんの人を傷つけちゃった」

一方「しょォがないよ、
    それが君の能力だったンだから」

一方「うン、
    それならしょォが……ないのかなァ」

一方「そォだよ、大丈夫、
    私は君の味方だからね!」

一方「うン、ありがとう!」

一方「それじゃ、おやすみなさい」

一方「おやすみなさァい」


一方「…………」

一方「……バカみてェ」フッ


そうして僕は手鏡をしまう。

384 : ソレをただの手鏡だと思えなくなった日[saga] - 2012/02/26 18:36:19.80 gO1MH7/Mo 3/16


一方「久しぶり」

一方「久しぶり!
    元気にしてた?」

一方「うン、でも最近実験が増えてきた」

一方「そっかァ、それは大変だね」

一方「うン、大変。
    泣いちゃいそう」

一方「泣いても、いいよ?」

一方「でも僕、男の子だもン…」

一方「いいよ、私はお姉ちゃンだから。
    お姉ちゃンの前では甘えてもいいンだよ」

一方「……ふ、ゥぐ、うェ、ふェェ、ふェェェェン……」ポロポロ

一方「よし、よし…
    あ、ンっく、なンか、うェ、私も、もらい泣き…ふェェェン……」ポロポロ

一方「ェっぐ…ひっぐ…ふ、うゥゥ……」ボロボロ

一方「あ、ゥああ、ァあああああン……」ボロボロ

一方「…ふ、ゥう、ありが、と」

一方「大丈夫、私は、ずっと君の味方、だから。
    双子だもン、ね」

一方「うン、双子だもンね。
    おや、すみ、百合子」

一方「おやすみ、なさァい」


一方「…………」

一方「…………」ギュッ


そうして僕は手鏡を抱きしめる。

385 : 手鏡に映るのが自分じゃなくなった日[saga] - 2012/02/26 18:37:43.03 gO1MH7/Mo 4/16


一方「今日、木原くンと喧嘩したの」

一方「え、どォして?」

一方「僕がそンな実験はイヤだ、って言ったらね」

一方「うンうン」

一方「僕の価値は実験なンだ、って言われた。
    実験しなきゃ僕は生きてる意味ないンだって」

一方「そ、そンな事ないよ!」

一方「そォ、かな?」

一方「そォだよ!
    君は存在するだけで充分価値があるンだよ」

一方「だと、いいなァ」

一方「……泣いても、いいよ?」

一方「ン、僕、男の子だから、がンばる」

一方「そっかァ、それなら私は応援してるね」

一方「うン、ありがとう、百合子」

一方「うン、ゆっくり休ンでね、おやすみなさい」

一方「おやすみィ」ギュッ


そうして僕は百合子を抱きしめる。

386 : 完全に双子の姉が生まれた日[saga] - 2012/02/26 18:38:56.23 gO1MH7/Mo 5/16


一方「僕ね、超能力者になったよ」

一方「本当!?
    すごいね、頑張ったね、おめでとう!」

一方「えへへ、ありがとォ。
    でもね、今以上にみンなが話しかけてくれなくなっちゃった」

一方「それは、ちょっと、嫌だね…」

一方「木原くンまでオドオドするよォになっちゃったの」

一方「え、あの木原くンが?」

一方「うン…」

一方「そっかァ…」

一方「でも、僕には百合子がいるもンな!」

一方「うン、大丈夫だよ、私はずっと君の味方だからね!」

一方「ありがとォ」

一方「それじゃ、おやすみなさァい」

一方「おやすみなさァい…」


そうして僕は自分達に毛布をかけた。

387 : 百合子から離れなきゃと思い始めた日[saga] - 2012/02/26 18:39:49.25 gO1MH7/Mo 6/16


一方「最近、実験の頻度が変わってきたンだ」

一方「少なくなってきたの?」

一方「うン、なンか長期的に記録する実験しか残ってないンだって」

一方「そっかァ。
    だから私と話すのも少なくなってきたンだね」

一方「いつも実験終わってからしか話さないもンね」

一方「ねー」

一方「でも、僕は百合子の事、大好きだから」

一方「私も君のことが大好きだよ、大丈夫だよ」

一方「ありがとう」

一方「いつも傍にいるから、安心してね」

一方「うン!」

一方「それじゃ、またね」

一方「うン、またね」


そうして僕は百合子をしまう。

388 : 一人で生きると決意した日[saga] - 2012/02/26 18:41:27.26 gO1MH7/Mo 7/16


一方「これからしばらく実験ないンだって」

一方「そうなンだ、よかったね!」

一方「うン、僕も研究所じゃなくて普通に寮に入ることになったンだ!」

一方「憧れの一人暮らし、ってやつ?」

一方「うン、これからは一人で暮らすンだ」

一方「私は応援、してるからね」

一方「うン、だから今まで、ありがとう」

一方「わかってる、それじゃ、バイバイ」

一方「大好きだよ」

一方「私も君のことが大好きだよ」

一方「今まで僕を支えてくれてありがとう、お姉ちゃン」

一方「当然のことをしたまでだよ」

一方「ありがとう、さよなら、百合子」

一方「さよォなら」


一方「…………」

一方「……ふ、ゥあ、ェっく、グスっ、うェェえン…」ポロポロ

一方「うェ、うわァァァンっ、あああああン……!」ボロボロ


そうして僕は手鏡をしまった。
もう彼女と会うことは二度と無いだろう。
僕はこれから一人で生きていかなければならない。

389 : 懐かしい面影を見てしまった日[saga] - 2012/02/26 18:42:35.45 gO1MH7/Mo 8/16


一方「……もォ二度と無いと思ってたンだけどな」

一方「だが、さっきチラッとガラスに映ったのは紛れも無く百合子だった」

一方「まァた馬鹿げた実験始めたからか?」

一方「バッカみてェ…」

一方「でも、それほど俺も限界なンだろォな」


一方「…………」

一方「百合子は引き出しの中にある」

一方「でも、一人で生きるって言った手前、ちょっとな」

一方「アー、複雑だが、そこら中に映るようになっても困るだろォし…」

一方「例えば人形共のゴーグルの中とか」


一方「…………」

一方「出すか」ガラッ


そうして俺は手鏡を取り出した。

390 : 無駄な鏡が部屋いっぱいになった日[saga] - 2012/02/26 18:43:43.42 gO1MH7/Mo 9/16


一方「最近人形共の数が増えた」

一方「あァ、一度に戦う人数が?」

一方「そォだ」

一方「まァ、一人ずつやっていくのには限界があるもンね」

一方「勿論、シチュエーションとかは全部違うけどな」

一方「そォじゃないと実験の意味が無いしね」

一方「だな」

一方「うン」


一方「…………」

一方「……疲れてるなら寝た方がいいよ?」

一方「今はそンな気分じゃねェンだ」

一方「そっか、それなら私はずっとそばにいるね」

一方「悪いな」

一方「姉弟だもン、いいンだよ」

一方「ありがとう」

一方「いえいえ」


そうして俺は鏡に囲まれた部屋で立ち尽くす。

391 : 百合子が傍にいないと自分を保てなくなってきた日[saga] - 2012/02/26 18:45:31.08 gO1MH7/Mo 10/16


一方「さっきはなンで私を出さなかったの?」

一方「よく考えると実験中は危ないからな」

一方「そっかァ」

一方「おォ、怪我でもしたら困る」

一方「私にまで能力は及ばないもンね」

一方「アァ、だからこれからは実験中は俺が守ってやる」

一方「わァ、頼もしい!」

一方「……」

一方「ふふ、ほっぺた赤くなってるよ」

一方「オマエだって」

一方「え、えへへ」

一方「…ふン」


「アイツ、何をしてるんだ?」


一方「それでさァ…」


男2「絶対ヤバイ奴だって、見てないふりしとけ」


一方「へェ…」


そうして俺達は会話を続ける。

392 : 百合子が現実に存在すると思うようになった日[saga] - 2012/02/26 18:47:25.67 gO1MH7/Mo 11/16


一方「次から実験、外になるンだってよ」

一方「外かァ、人に見られるとちょっと厄介だね」

一方「だな、その時はどォにかする」

一方「うン、君は最強だからね!
    敵無しだから大丈夫だよ!」

一方「まァな、どンな状況でもなンとかなるだろ」

一方「そォだね!」


芳川「…さっきから君は何をしているの?」

一方「姉と話してるだけだ」

芳川「あ、姉?」

一方「そォだ、そこにいるだろ」

芳川「……そうね、確かにいるわ」

一方「だろ?
    話、終わったンなら帰らしてもらうぜ」

芳川「はいはい、それじゃあね」

一方「じゃァな」


芳川「…………」

芳川「最近妙に声が高くなったと思ったら、ねぇ」

芳川「…やっぱり甘いわね、私」


そうして俺は百合子の手をとり外へ出る。

393 : 百合子無しでは生きていけなくなった日[saga] - 2012/02/26 18:48:32.08 gO1MH7/Mo 12/16


一方「さっきなァ」

一方「なァに?」

一方「今日の実験外だったろ?」

一方「うン」

一方「超電磁砲が来た」

一方「え、あの?」

一方「おォ、あの第三位だ」

一方「それでどォしたの?」

一方「ちょっと遊ぼうかと思ったら、人形共に止められた」

一方「そォだったの、怪我はない?」

一方「大丈夫だ」

一方「それならよかった」

一方「どォも」

一方「……あ、コンビニ通り過ぎたよ」

一方「っと、危ねェ危ねェ」


そうして俺は鏡を買い足す事を心に決める。

394 : 最後の実験の日[saga] - 2012/02/26 18:50:15.76 gO1MH7/Mo 13/16


一方「実験までちょいっと時間があるから話すか」

一方「うン、いいよ」

一方「アイツらも殺されるってェのになンか無いのかね」

一方「さァね、それは本人にしか分からないンじゃないかな」

一方「そォかねェ」

一方「そォだよ」


御坂妹「……それはもしかしてミサカの事を話しているのでしょうか?
     とミサカは尋ねます」

一方「おォ、なンか無いのか?」

御坂妹「特には無いです、それがミサカの義務ですから。
     それよりも、もうすぐ時間ですがよろしいでしょうか?
     とミサカは暗に所定の位置に移動することを促します」

一方「オマエつっまンねェな」

一方「まァ、そういう物なンだよ、しょうがないよ」

一方「そォいうもンかねェ…
    ンじゃ、またな」

一方「うン、また後でね」


御坂妹「これより第10032次実験を開始します」


そうして百合子は俺の胸に。

395 : 俺が最強じゃ無くなった日[saga] - 2012/02/26 18:51:58.71 gO1MH7/Mo 14/16


御坂「……救急……こっち……はや……」

「ガヤガヤ…」

「ガヤガヤガヤガヤ……」


一方「…………」

一方「……ハハッ」

一方「負けちまったぜ」

一方「俺、最強じゃなかったンだな」

一方「本当、今まで何してたンだろォな、俺」

一方「なンつゥか、笑いしか出てこねェぞ」ケタケタ


一方「…………」

一方「……俺が今まで見てきた世界って、狭かったンだなァ」

一方「俺より強い奴がいる、なンて考えたことも無かった」

一方「人形共にも、ちゃンと命がけで守ってくれるような奴らがいて」

一方「そいつらにとって俺は、悪者だった」


そうして俺は一人地面で笑う。

396 : 大好きだよ、百合子[saga] - 2012/02/26 18:55:10.31 gO1MH7/Mo 15/16


一方「アーちっくしょォ」

一方「おかしすぎて涙が出てきやがった」ポロポロ

一方「なァ、百合子…」

一方「百合子!?」ガバッ

一方「あ……」

一方「百合子…割れて…」


一方「…………」

一方「ああ、でも俺」

一方「今度こそオマエと話せなくなっても大丈夫だ」

一方「勿論、オマエがいたから俺はここまでこれた」

一方「まァ、色々めンどォな事もあったけどよ」

一方「俺の色ンな幻想をぶち殺してくれる相手に出会えた」

一方「そして俺の中の幻想は全て俺に突き付けられた」


一方「…………」

一方「だから、これからは前を向ける」

一方「もォ二度と会えねェけど、出来るさ」

一方「オマエは俺の心にいる、俺は一人じゃねェ」

一方「さっきの野郎は、俺にソレを気づかせてくれた」

一方「だから」

一方「これからは、別の形で、よろしくな」

一方「百合、子……」ポロポロ


そうして俺は百合子の残骸を抱きしめた。
彼女は俺の心の中にいるから、もう彼女を拒絶する事も、幻想にすがりつくこともない。
今日はいつもより星が綺麗に見える気がした

397 : 一方通行と鏡の中の百合子ちゃん[] - 2012/02/26 18:56:21.18 gO1MH7/Mo 16/16

こちらの都合で投下に間が空きすぎました、ごめんなさい
以上です