748 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[sage saga] - 2012/03/26 14:38:02.07 WUShgzC10 1/31

20レスほどいただきます
無題です
戦闘メインで中身のない話を書いてた者です
今回もまたそんなのを

元スレ
▽【禁書目録】「とあるシリーズSS総合スレ」-36冊目-【超電磁砲】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1328256460/
749 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[sage saga] - 2012/03/26 14:39:54.97 WUShgzC10 2/31

深夜の学園都市を一人の男が歩いていた。年齢は五十代後半から六十代前半。
荒れた髭、伸ばしっぱなしの髪。
まさしく『数式と結婚した』という言葉がふさわしい人物だ。

「博士、どうしたんです?こんな時間に呼び出したりして」

いつの間にか人影は二つになっていた。話しかけたのは新たに出現した少年だ。
少年の名は査楽。他者の背後限定で瞬間移動する能力を持っている。

「ああ、新しいプロジェクトについて話がある。作戦会議のようなものだ」

男は答えた。
学園都市暗部組織『メンバー』は、彼らのアジトに集まっていった。



750 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[sage saga] - 2012/03/26 14:40:59.96 WUShgzC10 3/31

「『樹形図の設計者』二号?」
「どうしたんです?御坂さん」

いつもの場所で、三人の女子中学生が、パソコンの前で話し喋っていた。
いつものメンバーである白井黒子は、風紀委員関連の事情でこの場にはいなかった。

「なんでわざわざ二つ目なんか作るんだろ?あんなの一個あれば十分じゃん」

御坂御琴の友人、佐天涙子は尋ねた。彼女の友人初春飾利も不思議そうな顔をしている。
『樹形図の設計者』が破壊されたことは極秘だ。
学園都市暗部に関わりの無い彼女達が知らないのも当然である。
しかし、御坂は知っている。『樹形図の設計者』が既に破壊されていることを。
そして、それが再び作り出されることが、何を意味するかを。

「ちょっと急用を思い出した」

そう言って御坂は駆け出した。


751 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[sage saga] - 2012/03/26 14:44:59.60 WUShgzC10 4/31

御坂はまず携帯を取り出し、先ほどまで三人で覗いていたページを呼び出す。
御坂の能力は電気を操ることだ。単純ながら非常に応用性に富んでいる。
能力をうまく使えば、ネット上のデータを発信者の下までたどることさえ可能なのだ。

「見つけた」

索敵を始めてから数秒で、追跡する相手を発見。御坂は電波をたどって走り出した。


752 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[sage saga] - 2012/03/26 14:46:53.75 WUShgzC10 5/31

「準備はできた。仕事に取り掛かってくれ」

メンバーの一員、馬場芳郎は彼が雇った二人の男に声をかけた。

「わかった」
「任せてくれ」

彼らの素性を考えると、信頼できる相手とはとても思えなかったが、
馬場は任せることにした。

「博士、こちらはうまくやりました。後は彼らの成功を祈るのみです」

二人が行動を開始すると、馬場はメンバーに連絡した。


753 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[sage saga] - 2012/03/26 14:48:11.04 WUShgzC10 6/31

何故、このタイミングで馬場は、御坂のみをおびき寄せることができたのか?
『樹形図の設計者』が破壊されたことは白井黒子も知っている。
もちろん御坂は、自分の後輩を危険にさらすことはしないだろう。
しかし、白井黒子は御坂のためならどんな危険にも進んで飛び込む人間だ。
今回のメンバーの作戦上、『樹形図の設計者』が破壊されたことを御坂にのみ知らせることが重要なのだ。
そこで、馬場は事前に準備をしていた。
風紀委員  支部から情報――各風紀委員のスケジュール――を盗み出したのだ。
しかし、そこには{ゲートキーパー}初春飾利がいる。ハッキングでの情報収集は不可能だった。
馬場はいかにして情報を盗んだのか?
答えは簡単。単純に『見た』のだ。
馬場は博士の手によって作られた小型の偵察ロボットを支部に侵入させたのだ。
ダイレクトにカメラで『見る』という行為は、その単純さ故、逆に気づかれにくい。
馬場はその盲点をついたのだ。


754 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[sage saga] - 2012/03/26 14:50:02.33 WUShgzC10 7/31

御坂は情報が発信された場所を突き止め、そこに到着した。
二つの廃墟となったビルに挟まれた空き地だった。

「よう」

突然男が現れた。まさに『出現した』としか言い様がない登場だった。

(!? 何コイツ…?)

御坂が驚いたのは、男が急に出現したからではない。
瞬間移動能力を持つ者であれば、このような芸当はたやすくやってのける。
そして、瞬間移動はポピュラーな能力の一つだ。
学園都市では人間が急に出現することは不思議ではない。
だが、目の前の男の能力は、瞬間移動とは全く異質なものだった。

(存在が無い!?)

御坂の『自分だけの現実』は周囲の電波を感知することだ。
そして御坂は、無意識に放っている電波とその電波の反射から、周囲の物体の位置を観測することができる。
しかし、この男からは、跳ね返ってくる電波が全く感じられないのだ。
これが意味することは一つ。目の前の男は『そこに存在していない』

「不思議に思うことは無い。俺の存在が無いのは、俺が能力で消しているからさ
俺の能力は『幽霊化』だ。この状態ではお前に干渉することはできないが…」

男はにやりと笑って宙に浮き上がった。そして横にある廃ビルの側面に手をやった。
すると、次の瞬間、男が手をやった部分は粉々に砕けた。壁を構成していたコンクリートが、上方向から御坂に襲い掛かる。

「邪魔」

御坂の声に危機感は無かった。
超電磁法を使いコンクリート片を打ち抜く。ただ狙っただけでは落下物から身を守ることはできないだろう。だが、そこは常盤台のエース、落下運動の計算等朝飯前だ。

「いきなり攻撃してくるってことは、敵ってことでいいのよね」
「まあな、うまいこと誘い出されてくれてありがとよ」
「やっぱり罠だったのね」

目の前の男はへらへら笑っているだけだ。

(それにしても、コイツの能力って何なの? 私を始末するためだけにあの書き込みを?)

両方の問いに対する答えは、いまだ得られなかった。
『幽霊化』という男の言葉を信じていたわけではなかったが、男の能力は不可解で謎が多い。さらに、『樹形図の設計者』が破壊されていることを知っているということは暗部の関係者だろう。不用意な行動は避けなければならない。

「俺の能力は『幽霊化』自分以外の生物は幽霊にできないが、身につけたもの、触れたものは幽霊にできる」
「そういうのはどうでもいいから、なんでわざわざ私を誘い出してまで攻撃してきたの?」
「ちょっとした仕事でね。あんたにうらみは無いが…死んでもらう」

ずいぶん安っぽい台詞だ。それに余計な事を多くしゃべりすぎるきらいがある。
この男は素人だろうと御坂はわかった。
しかし、男の攻撃はたやすくかわせるものではなかった。
つぎつぎと左右の壁に出現しては、瓦礫の雨をふらせる。
相手の位置を視認することすら困難で、御坂は防戦一方だった。

(飛ばせる瓦礫には限りがある。ほっとけばあいつは接近戦しかできなくなるわけね
 まあ、あいつの能力があいつの言う通りのものだとしたらの話だけど)

瓦礫は確かに少なくなっている。しかし、敵の顔に浮かんだ余裕は消えない。

「俺の攻撃がこれだけだと思ったか?」

言うと男は懐から特殊な形状の銃を取り出した。

「プラスチックの銃だ、てめえのための特注だぜ~!」

男は迷うことなく引き金を引いた。
銃の強度故か放たれた弾丸の速度は遅いが、先端は麻酔銃のような形状になっている。
薬物による攻撃。超能力者とはいえ生身の人間、当たれば危険だ。

(あいつの能力の特性から考えて、私に当たる直前で実体化するつもりね)

ヒットするタイミングさえつかめれば避けられる。御坂はそう思っていた。



755 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[sage saga] - 2012/03/26 14:51:29.10 WUShgzC10 8/31

「あぶない! 御坂さん」

御坂と謎の男との戦いに突然割りこんできたのは、
海原光貴の偽者、エツァリだった。
彼はそのまま御坂のとなりに立ち、どこから拾ってきたのか木製の板を盾のように構えた。
次の瞬間、真正面から御坂に向かって放たれたはずの弾丸は、どういうわけか御坂の隣の
海原が構えた盾に当たった。

「えっ?どういうこと?」

突然現れた乱入者、そして目の前で起こった不可解な現象に御坂は困惑する。

「くそっ 作戦を変えるか」

そういうと御坂が戦っていた男は姿を消した。

「あっ 逃げられる!」
「落ち着いてください御坂さん」

突然現れたこの男をいきなり信じられるはずもない。

「あんた、いきなりなんなの?」
「すいません、御坂さんが危ないことに関わろうとしていたので…」

756 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[sage saga] - 2012/03/26 14:52:15.29 WUShgzC10 9/31

ストーカー、海原光貴の話によると、彼は『偶然』街を走る御坂を見かけ、そのただ事ではない様子から『気になって』後をつけて来たのだという。
いままで姿を現さなかったのは敵の行動を観察し、能力を探るためだと海原を言った。

「あの部分だけ、コンクリートが崩れていない。敵が何か仕掛けるならあそこからだと推測したんです」

崩れた廃墟を指差して海原は言った。彼もまた『幽霊化』なるものを信じてはいないのだ。

「とりあえず、アンタを信じることにする。味方と思っていいのよね?」
「御坂さんと敵対することにメリットはありませんから」

御坂は海原に自分があの男を追ってきた理由――ネットの書き込みのこと――を話した。

「『樹形図の設計者』が破壊されたことは暗部関係者しか知らない。たしかにあの男を追っ     たほうがいいですね。」
「ついてくるのはいいけど、邪魔しないで」

海原の案で、二人は灰ビルの中に入った。御坂は盾として使えるよういくつかのマンホールをつれてい
た。


757 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[sage saga] - 2012/03/26 14:53:08.51 WUShgzC10 10/31

ビルの中に入った途端、轟音ととものに敵の攻撃が始まった。
壁、天井、さらには床まで音を立てて崩れ落ちる。

「なんで外から攻撃するんじゃなくて、わざわざ敵の後を追いかけなきゃいけないのよ」

激しい攻撃をかいくぐりながら御坂は言った。

「外からビルを攻撃すればよかったんじゃないの?」
「敵の能力が不明です。逃げられるかも。もし、ここで逃がしたら、いつまた襲ってくるかわかりません」

海原の話はこういうことだ。
御坂は学園都市三位の実力をもつ能力者。普通に戦えば、まず負けは無い。
しかし、今回のように能力を調べられて(もっとも御坂の能力は単純なため多くの者に知れ渡っているが)事前に対策をされ、罠を張って待ち伏せされれば、勝負は危うくなるということだった。

「今回は、自分という相手が想定していなかったイレギュラーがいるので、多少こちらに分があります。しかし、ここで敵を逃がして、自分の能力まで対策をとられるとまずいです」
「まあ、大体わかったけど、簡単にやられたりしないでよ」

二人は攻撃をかいくぐりながら敵との距離をつめていく。

758 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[sage saga] - 2012/03/26 14:54:15.19 WUShgzC10 11/31

二人が敵と戦っていたころ、グループの面子もまた、敵と対峙していた。

「面倒な仕事だ。こんなときに海原は何をやってるんだ?」

彼らが戦っている敵。それは、博士率いるメンバーだった。

「別に戦えって言われてるわけじゃないし、壊すだけ壊してさっさと帰れば?」
「一方通行が、そんな半端なことをすると思うか?」

結標の言う通り、彼らの今回も仕事は戦闘ではない。
『樹形図の設計者』二号機を完成する前に破壊することだ。
大量の兵器が密かに運び込まれたという情報をもとに、二号機があると思われる場所を突き止めたのだ。
そして現在、彼らは警備に当たっているメンバー下部構成員と戦闘していた。

大量の鉛弾が飛び交う中、一方通行は一人敵の群れへと突き進む。
能力によって遠距離にいる大量の敵を倒すには、ベクトル変化で鉛弾を跳ね返すのが最も効率的だ。
敵は訓練された軍人であるためか、一箇所に集中してとどまっている、という的になるような戦術を取っていないからだ。

後の二人、土御門と結標は一方通行では始末しきれない敵を攻撃していた。
結標は能力で自分自身を飛ばすことができない。そのため、彼女はある手段を用いて攻撃を行う。
その手段とは?
まず、土御門を狙撃ポイントに移動させ、敵の位置等の情報を特殊スコープで観測
この特殊スコープには、敵の位置から座標軸を割り出せる機能がついてある。
そして一定時間観察した後、再び結標のもとに戻った土御門がスコープから座標を報告し、
結標がその座標を攻撃する、というものだった。

こうして、遠、近距離の両方から学園都市最強クラスの能力者に襲われたことから、
メンバー下部構成員は壊滅状態に陥った。

「随分ひどいありさまだな」

そこに現れたのはメンバーの援軍。上部の4人のうちの二人。
査楽とショチトルだった。

759 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[sage saga] - 2012/03/26 14:54:51.34 WUShgzC10 12/31

グループが戦闘を行っている中、御坂海原の二人は敵の攻撃を回避し続けていたが、いまだに相手の能力の正体がつかめなかった。

「敵の正確な位置がわからなくてもこれなら…?」

海原は自身と敵の進行方向より少し先の天井を『分解』し、落下させて道をふさいだ。

「何っ!?」

敵が思わず漏らした声を海原は聞き逃さなかった。

(やはり、敵の能力は『幽霊化』などではない。本当に幽霊化できるなら物理的に道をふさがれたところで問題はないはず…)

とすると敵の能力は…と海原が考え始めた途端、
敵の狙いが変わった。

「何…だと…?」

敵は今まで海原、御坂を直接狙っていた。しかし、海原の攻撃で退路を防がれてからは
そのパターンを変えた。窓を狙うようになったのである。
正確には、窓の近くの天井部分というべきだ。

(まさか…!)

廃ビルには窓ガラスがはまっていたが、敵は窓ガラスには手をつけていない。
敵の狙いは、窓をふさぐことだったのだ。

(能力の正体が…ばれた…!)

海原は焦った、彼の術式は金星の光を『分解光線』として反射することだ。
外部から光の供給を絶たれれば術式は成り立たない。

(幸い、まだ窓は残っている、しかし)

確かにまだ窓は複数あった、だが
もし、それこそが敵の狙いだったら?
窓の近くや光の届く範囲でしか攻撃できないのであれば、動ける範囲は限られる。
敵が狙いをつけるのもそれだけ容易になるのだ。

(くそっ、『何故ばれたのか』を考えなくては、たしかにこの『分解術式』は使うさいに
 金星の方角を確認する必要がある…しかし、それだけで能力の正体が『光』であると特定できるか?それも、外部からの光を?この短時間で? ありえない、では…)

『自分だけの現実』 海原が最終的にだした結論はそれだった。
敵は、光に関する超感覚を持っているとしか考えられない。ということは、当然、
相手の能力の正体もまた『光』であろう、と海原は考えた。

(相手の能力のおおまかな正体が掴めかけているとはいえ、詳細は謎のまま…
 いったい何故壁が崩壊するのか、それが謎だ…)

海原が敵の能力について考えている間、敵は海原の能力を見破った余裕からか、
攻撃を激しくしていた。あるいは、退路ふせがれ、追い詰められていたのかかもしれない。
御坂はマンホールの盾で攻撃を防御するが、反撃がままならなかった。
超電磁砲は実弾を使うため、狙いの定まらない相手には向いておらず、
単純な放電は海原にも影響がでてしまう。
さらに、電撃の槍で攻撃しようにも、この『槍』は能力で軌道を固定されているため、
やはり、敵には当たらない。

「なんで、攻撃が当たらないのよ!?」

御坂は焦る。
先ほど、電撃の槍を飛ばし、軌道を移動している間に能力を解除、という戦術をとったの
だが、敵に当たらなかったためだ。
この技は理論上、解除した瞬間に、一番近くにある誘電体――今回は人間――に向かって
飛んでいくはずなのだ。避けることはほぼ不可能なことだ。
しかし、敵にはヒットしなかった。これは、敵がそこに存在していないことを意味しているようなものだった。

(ほんとに幽霊化してるんじゃないの?)

あまりにも手ごたえが無さ過ぎて、最早勝ち目はないかに思えた。このままでは消耗戦になり、こちらが追い詰められるだろう。

御坂が敵に危機感を抱き始めた時、それは起こった。

空中にいた敵がつまずいた。

760 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[sage saga] - 2012/03/26 14:55:25.33 WUShgzC10 13/31

査楽とショチトルの戦い方は、いたってシンプルなものだ。
ショチトルが『暦石』』の能力を使い、死体や、死に掛けている味方の『武器を持った腕』
を巧みに操り、無理やり立たせて『背後』を作る。
これによって査楽が『ジャンプ』できる場所を複数作る。あとはその場所を連続してテレポートしながらショチトルの能力で戦闘不能になった者の武器を使ってひたすら撃ちまくるというものだ。

この単純な作戦により、グループはこの新たな敵に苦戦を強いられることとなった。

「くそっ! 敵の狙いは俺たちか!」

土御門の言葉通り、メンバーの二人は一方通行を狙わなかった。
一方通行の『反射』で弾丸をはじきかえされ、死体達の筋肉や体組織を破壊されるのを防ぐためだ。

「畜生!全然捕らえられねェ!」

一方通行がいくら素早く移動できるからといっても、やはり瞬間移動には敵わない。
能力に時間制限がある一方通行は、早く敵を始末しようとするが、
敵の動きが読めないために飛び道具も当てられないのだ。

通常、テレポーターは、自分の視界の範囲で物の移動のやりとりを行う。演算が複雑なテレポーターにとって入ってくる情報は、少なく単純なほうが効率がいいためだ。
もちろん先ほどの結標のように座標から演算を組むことも可能だが、戦闘の真っ只中では、そのようなことを行う余裕はない。
そのため、通常のテレポーターであれば、その視線からどこに『ジャンプ』するか
ということが大まかにだがばれてしまう。
一方通行ほどの能力者であれば、この『大まかな』情報だけでもたやすく敵を始末できるだろう。
しかし、査楽にはこの戦術は通じない。彼は人の死角、簡単にいうと背後にしか
『ジャンプ』できない劣化テレポーターだ。
しかし、この限定条件がついているが故に、彼の『自分だけの現実』、『演算パターン』とそのスピードは、他の瞬間移動系能力者と大きく異なっている。
彼の超感覚は、自分の周囲の人間の死角を感知すること。
死角か、否か。これだけのシンプルな演算が組まれるため、査楽の能力発動までの時間は驚異的に短く、かつ目視確認を必要としないため、先読みされることが無いのだ。

「土御門ォ!いったん下がれ!オレがまとめてぶっ潰す」

このままでは拉致があかないと判断したのか、一方通行が大声で仲間に呼びかける。
だがその声は、音のベクトルを調整していたためメンバーの二人には聞こえない。
明瞭ながら、土御門と結標だけが聞き取れる音声だ。

プラズマを使うのか?

土御門はそう返そうと思ったが、この特殊音波の回線は一方通行だった。



761 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[sage saga] - 2012/03/26 14:55:53.55 WUShgzC10 14/31

空中にいた敵がつまずく。この現象に関しての御坂、海原の見解は一致していた。
敵は空中にいると見せかけて、実は地上にいる。
これが、二人の出した答えだ。さらに海原は敵の『自分だけの現実』が光であることまで推測していた。

(なるほど、自分の周りの光を屈折させて、離れた位置に像を出現させているのか…)

海原はこの推測が正しいと確信していた。しかし、これだけでは説明のつかないことが多い。その上、今のままでは敵の位置を特定することができない。

(何か対策を考えなくては…)

海原がそう考えていると、勘のいい御坂は海原の表情の変化を感じとった。

「なにか分かったみたいね」

そう言うと、御坂は海原の手を握った。
いったい何を、海原がそう言う前に、情報が電気信号となり、御坂の手から流れていった。

「オッケー 一個閃いた」

御坂がそういうと、今度は御坂から海原の方向に、作戦の内容が信号として伝えられた。


762 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[sage saga] - 2012/03/26 14:56:30.11 WUShgzC10 15/31

(くそっ!やっちまった。とっとと始末しねえと)

御坂達と戦っている男は焦っていた。自分の能力がばれてしまうような行動をとった上に、退路をふさがれてしまったからだ。
今回のイレギュラー要因、海原の登場で、作戦が狂ってしまったこともある。

(あいつは俺の能力を見抜く前から、俺がどこにいたか推測してみせるほど、勘のいい奴。
 しかし、奴の能力の正体は『光』、俺に奴の能力は通じない。)

あとは、御坂の実弾での攻撃を警戒していればすむ話だ。

(このまま、突っ切らせてもらう!)

男は攻撃の手を強めた。本来の作戦ならば退路を防がれることは無いので上の階でも戦い続けるつもりだった。しかし、退路の無い今、先のことを考えている余裕は無い。男はとうとう天井までも破壊し、武器としていた。

質量の大きいコンクリートがぶつかる轟音の中で、男はカリカリという奇妙な音が聞こえた。

(何の音だ…?)

あたりを見渡しても何も音源が見つからない。どこで、何が鳴っているのか…
男は攻撃の手を休めて周囲を見渡した。
視界にはそれらしい物は見当たらない。焦った男は直感で危険を感じ、とにかくこの場から離れようとした。
走りだした途端、バランスが崩れた。それと同時に男は今までの奇妙な音の正体が何であったのかを悟ることとなった。

男がバランスを崩したのは、直線に彫られた溝のためだ。しかもこの溝は、ビルに初めからあったものではない。

(まさか、砂鉄で…!?)

御坂は砂鉄を高速振動させて浅い、それでいて人を躓かせるには十分な溝を掘っていたのだ。しかもコンクリートがぶつかる瞬間に能力を使っていたため、男は気づかなかったのだ。さらに、御坂は溝から離れた場所から能力を使っている。男が気づかないのも無理は無い。

(まさか…!?)

男が躓くと、男が自身の像をずらして作っている『幽霊』も躓く。
これによって男が『溝にはまった』瞬間がばれる。

(だが、超電磁法のほうはこの『溝』の直線上にいない…攻撃するのは男のほうか…
 なら問題ない! 詰めを誤ったなぁ馬鹿ども!)

敵がどんな種類の光で攻撃しているのか皆目検討もつかなかったが、全種類の光を『屈折』させればいいだけのこと。男は即座に能力を使う。
一瞬の判断で、男は『分解光』を曲げた。

(もうこんなトラップには引っ掛からねえ!)

男は勝ちを確信した。しかし、

「そこです、御坂さん」

海原が叫ぶと同時に、高速でコインが射出され、男の体に直撃した。

(しまった、俺が攻撃を防御できると知っててわざと…)

男は意識を失った。


763 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[sage saga] - 2012/03/26 14:57:10.54 WUShgzC10 16/31

「大丈夫? 死んでない?」
「ええ、この男、まだ息があります」

御坂、海原の作戦は、この男を生きたまま確実に無力かすることが目的だった。
『樹形図の設計者』についての情報を引き出す必要があるためだ。

「しかし、まさか敵が自分の攻撃を曲げるとこまで先読みするとは、流石ですね御坂さん」
「アンタが敵の能力が光だって気づいたから思いついたのよ」

二人の作戦はシンプルなものだ。御坂がコンクリートの崩れる轟音に紛れて、砂鉄の振動で溝を彫る。その溝は直線であり、その端に海原が立ち、『黒曜石のナイフ』を構える。
男はミスを犯したからか、冷静さを失っていたため、それとなく壁に穴をあけ、外部から光を取り込むのも簡単だった。そして、『幽霊』がよろめいたことから、男が溝にはまった瞬間を確認、『分解光線』を照射する。男は光をつかさどる能力者だが、短時間で海原の使う光を特定することは不可能で、防御するために全ての種類の光を曲げるだろうと御坂は推測した。
結果、予想通りに男は動いた。そのため、男の周囲は、全ての種類の光が曲げられたため、ゆがんで見えるようになる。御坂はその『ゆがみ』から男のいる位置を割り出して超電磁砲を撃ったのだ。もちろん気絶程度ですむように手加減してあるが。

「この男の能力の正体が光って聞くと、私のソナーに反応しなかったのもわかるわね」
「どういうことです?」
「コイツが私が無意識に流している電磁波に干渉しなかったから、幽霊化ってのを信じかけたのよ でもコイツの能力の正体は『光を曲げること』。 電磁波は光の一種だから、
 うまく回折させて、反射しないようにしてたんでしょうね」

だが、それだけでは壁の倒壊が説明できない。それを聞き出すことも含めて、
この男を起こす必要がある。

「電流流せば起きるでしょ。能力の正体含めて聞かなきゃならないこともあるし」

仮にこいつが喋らなくても頭の中読み取ればすむし、と御坂は続けた。
電流を流そうと御坂が男に近づき、手を伸ばしたときそれは起こった。

ぐんぐんぐん、と音も無く男の首につけている物が縮み始めたのだ。
首につけているもの? そう、確かに男は首に何か妙なものを巻きつけていた。
初めは単なるアクセサリーと思い、気にとめていなかった御坂だったが、よくよく観察す
ると、何かの機械のようだった。この機械は何か?今起こった出来事は御坂からそんな
疑問を吹き飛ばした。

(虚空爆発事件の時と同じ…!)

そう、一度御坂はこの能力に出会っている。風紀委員を狙った連続爆破事件だ。

(敵は一人じゃなかった…)

一度この能力とであった経験から、御坂は一瞬で判断を下し、行動した。
盾として複数用意していたマンホールで自身の背後と、海原を覆う。
海原は突然の彼女の行動に驚いたが、流石はプロ、盾の動きに合わせ、即座に受身をとった。
防御が間に合うか間に合わないかの刹那、轟音が鳴り響き男の周囲にあった物は瞬時に吹き飛ばされた。男の姿は、服のきれっぱし一つの残っていなかった。
残されていたのは人がそこにいたことをかろうじて示す黒いしみだけ…



764 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[sage saga] - 2012/03/26 14:57:50.02 WUShgzC10 17/31

一方、グループとメンバーの戦いもまた、終わりに近づいていた。
一方通行の手により周囲の空気は圧縮され、巨大なプラズマとなる。
情報があらかじめ伝達されていた結標は、一方通行の攻撃をかわすため、土御門を自分のもとへテレポートさせ、さらにその場から離れることにした。
手元に土御門を出現させた瞬間、凄まじい轟音が鳴り響いた。一方通行が攻撃を開始したのだ。巨大なプラズマはその場にいた死体や、状況がわからず戦わせられている戦闘員までも巻き込み、『樹形図の設計者』と思われる代物を、建物ごと消していった。

「ぎりぎり間に合ったみたいね」

まさしく間一髪だ。もし結標の能力が発動するのが一秒でも遅れていたら、土御門はこの世にいなかっただろう。

(流石に連中も死んだだろう あの有様では確認のしようがないが…)

敵の死体を見るまでは『勝利した』と確信するのは非常に危険である。土御門も経験からそれは十分に理解していたが、一方通行の圧倒的な力を前にして敵がまだ戦う意志があると思っているほうがどうかしているだろう。

(それに…奴らの作戦はどのみち失敗だ)

一方通行の攻撃により、『樹形図の設計者』はすでに破壊されている。メンバーの二人がこのままとどまって戦闘を続ける動機は無いように思えた。
しかし、敵はまだあきらめていないようだ、土御門は多少油断していたが、査楽が結標
の背後に瞬間移動するのを見逃さなかった。
土御門はおもむろに拳銃を取り出すと、一瞬で査楽に狙いをつけた。一方通行ほどではないが、土御門も射撃は得意だ。魔術も能力も完全には使えないため、他で補う必要がある。そのため、土御門は『ただの人間でもできること』を徹底的に訓練しているのだ。

査楽が攻撃をする前に、土御門は引き金に指をかけた。やはり、このとき土御門は油断していた、といえるだろう。査楽は勝機を失ったにも関わらず、くだらないプライドから戦闘を続けている、と考えてしまっていたためだ。もう一人の敵ショチトルの正確な能力がわかっていないにも関わらず…



765 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[sage saga] - 2012/03/26 14:58:36.58 WUShgzC10 18/31

ショチトルの能力『暦石』は、武器を持ってる人間を支配し、同士討ちをさせる能力である。この能力を使うためには、相手が武器を持っていることが条件となる。
先ほどの下部組織とグループの戦闘から、ショチトルは土御門が能力を使えない、または使わないということに気づいた。そのため、土御門は拳銃で攻撃するであろうと予想し、査楽にテレポートしてもらったのだ。もちろん土御門がショチトルの能力に気づいていればこんな攻撃はさけていたはずである。しかし、査楽、ショチトルは下部構成員がほぼ全滅してから現れた。そのため、ショチトルの能力が『死体を操ること』だと印象付けられてしまったのだ。

さらに、メンバーには、情報処理に長けた馬場がいる。彼はあらかじめグループの四人の内、三人の能力――結標、一方通行、海原――を事前に調べていた。(土御門はめったに能力を使わないため不明)
二人は彼から、結標は自分自身を飛ばすことを避ける、土御門は能力で戦うことを避ける、という情報を伝えられていたのだ。

そこから、土御門は武器を使って攻撃するのではないかと予想を立て、実際にそのとおりになった。

(一方通行はアレイスターのお気に入りだ。始末するのはまずい…というより俺たちの能
 力では不可能だ。だが、あの二人なら…)

二人に今回指示を出したのは、当然メンバーのリーダーであり、アレイスター信奉者の博士だった。
結標淡希、窓の無いビルの案内人。彼女が他の組織、敵対勢力に寝返れば非常に危険な存在となる。アレイスターの安全のためにも彼女を始末する必要がある、と博士は考えたのだ。

土御門元春、彼については博士も微妙なところであった。彼は外部からのスパイであるらしいが、アレイスターが一方通行を動かす上で、非常に大きく関わってくる人物らしい。
博士は『プラン』の一部分しか知らないが、そこに名前のある土御門を殺すのは、アレイスターに良い影響があるとは思えなかった。そのため、土御門に関しては無力化でとどめておくように、二人に指示したのだ。

(あいつらは、俺たち『メンバー』の目的が、『樹形図の設計者』を守ることだと思ってやがる。まあ、あながち間違いでもないが、本質は違う…)

査楽は勝利を確信した。


766 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[sage saga] - 2012/03/26 14:59:27.10 WUShgzC10 19/31

ショチトルが土御門の腕を操り、結標を始末しようとした瞬間、査楽、ショチトルのもとから高い電子音がなり始めた。

(まさか、やられちまったのか…)

査楽は信号を確認する、この電子音は、仕事を依頼した二人の演算を補助するために取り付けた小型装置が破壊されたことを示すものだ。

(壊れたのは一つだけか…だが、一つ破壊されたとなると、残りも危険だな。急いで戻らないと)

少しでも時間が惜しい。二人は、結標への攻撃を取りやめ、すぐさま瞬間移動した。
目指すは今海原達の戦っている廃ビルだ。
後に残された土御門達は敵の行動がつかめず、ただ呆然としているだけだった。

767 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[sage saga] - 2012/03/26 15:00:11.47 WUShgzC10 20/31

(御坂さん…)

海原の目の前では、御坂が瓦礫に埋もれて倒れている。突如起こった爆発から海原をかばったためか、目だった外傷は見られないが、御坂は気絶しているように見えた。

「わかりました」

御坂に近づくと海原は唐突にそうつぶやいた。そして、上階を目指して、走り始めた。
先ほどの戦闘で、上に向かうルートは破壊されていたが、海原は『黒曜石のナイフ』を使い、上階へ穴を空け、上部へと続く道を作った。


768 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[sage saga] - 2012/03/26 15:01:15.40 WUShgzC10 21/31

今回、御坂を襲った二人組のうちのもう一人、介旅初矢は焦っていた。
今回の作戦上、御坂を始末する際には、能力が相手に割れてしまっている彼は、御坂との直接戦闘に向いていない。そのため、彼は、偏光能力を前線にたたせ、彼に芝居をうたせて敵が一人であるかのように錯覚させたのだ。

(御坂美琴は始末した…しかし、あの男はどうする…?)

部屋に貼り付けられたモニターに映る映像を見ながら介旅はつぶやいた。
このモニターには、あるポイントから撮影された映像が映っていた。
そのポイントとは? メンバーの一員、馬場の手で開発されたカメラを搭載した小型ロボットだ。
このロボットが放たれたのは、介旅があらかじめ偏光能力の演算補助機に仕込んであった『爆弾化したアルミ』を爆破した時だ。
監視カメラが仕掛けてあれば、電波や電流の向きから、御坂にこちらの位置を知られてしまう。偏光能力は自身の演算補助機が送受信している電波は能力で隠すことができても、自信から離れた位置にある機械の電波まではコントロールできないからだ。
しかし、一度彼の能力が解除されてしまえばそんなことはもう関係ない。御坂は変更能力の補助機の電波をたどり、介旅のもとへたどり着くだろう。
そのため、介旅は偏光能力の能力が消えた瞬間、彼に仕掛けた『爆弾』を作動させたのだ。

(くそっ! あの馬場とかいう奴の機械がどれだけ役に立つかわからないが…
 やるしかない。僕には『量子加速』がある!)

介旅の能力は演算補助のおかげで、レベルが上昇している。そのおかげで、任意のタイミングで爆破できるという新たな特性が追加されていた。


769 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[sage saga] - 2012/03/26 15:01:57.36 WUShgzC10 22/31

「間に合ったか!」

査楽が到着した時、廃ビルには静寂が訪れていた。少なくとも、戦闘は行われていない。ショチトルの能力は今回は役に立たないと判断し、査楽のみが廃ビルを訪れていた。

(あいつら、勝ったのか…?)

屋外には誰もいない。戦いがあったのは屋内だろうと査楽は検討を付け、その場で感知できる唯一の『背後』にジャンプした。

(『背後』は立っている者にしかできないからな。生き残ったのは一人だけか)

この『一人』が超電磁砲なら(危険なので関わりたくはないが)始末する。後の仕事を依頼した連中ならデータを収集してやはり始末する。
簡単な仕事だろうと査楽は考えていた。

瞬間移動した先にいたのは、査楽達メンバーが仕事を依頼した二人組みの内の一人、介旅初矢だった。

「偏光能力のほうはどうした、相打ちか?」

介旅は答えず、代わりにディスプレイを指した。御坂が埋まっている映像が映っている。

「よし、よくやった、データを回収するからいったん補助機をはずせ」

介旅はおとなしく従った。だが、手渡された装置に査楽は妙な違和感を感じていた。

(何か違わないか…これ)

見た目は変化がないが、手渡された装置は、自分たちが彼らに渡したものとは何か違う感じがしたように査楽は思った。

(まあいい、後はこいつらを始末して、預けていた『樹形図の設計者』を回収すれ
 ば、仕事は終わりだ)

査楽は銃を取り出すと、介旅へと向けた。このまま引き金を引けば、仕事はほぼ終了、簡単なはずだった。
しかし、銃口が介旅を捉えた瞬間、銃はバラバラに『分解』された。

(何が起こってるんだ…?)

困惑する査楽のもとに介旅が歩みよる。その手には『黒曜石のナイフ』が握られていた。

770 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[sage saga] - 2012/03/26 15:02:48.13 WUShgzC10 23/31

「お前、誰だ?」

査楽のもとへ歩み寄った人物は、明らかに介旅ではない。その身のこなしから、自分と同じ世界に生きるものであると、査楽は感じていた。

「操られているとか、そんなんじゃねえな、てめえは別人、変身能力…か!?」
「ええ、あなた方が何をたくらんでいたのか、少し気になったのでね
 今回の戦闘は、彼ら二人だけの手によって引き起こされたことではないうことは、
 彼らの演算補助機、それに、御坂さんをこちらに呼び出した手口から考えても明か。裏で手を引いている者がいるはずですから…こうして待ち伏せしていたというわけです」

ということは、自分が今渡されたデータも偽物。さらに本物の介旅はすでに始末
されているだろう。 敵の戦力が未知数であるため戦闘は不利、相手の正体が気
になるが、査楽は撤退することにした。
相手の背後に瞬間移動し、さらにこちらに向きなおそうとする相手の手から
『ナイフ』をはたき落とす。査楽の動きは完全に訓練されたもののそれであり、
例え査楽がどの方向へ飛ぶかわかっていても対応するのは不可能だ。
手からナイフを落とされ、体制を崩された相手を突き飛ばし、査楽は下のフロアを
目指す。相手の運動能力がどれほどかはつかめないが、一度人ごみの中に入って
しまえば、いや、人ごみが能力射程に近づけば査楽の勝ちだ。
ビルは戦闘の影響からか、階段は使い物にならず、あちこち崩れていた。
上る分には苦労するだろうが、おりる分には問題がない。査楽はあっという間に
一階までたどり着いた。あとは、この建物から出るだけだ…
廃ビルの出口にたどり着いた時、査楽は逃走が成功したと確信した。相手は
追ってきていない…
そこで、査楽の意識は途切れた。最後に記憶していたのは、高圧電流が体を流れた
ことによる、凄まじい電気ショックだけだった。


771 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[sage saga] - 2012/03/26 15:03:34.46 WUShgzC10 24/31

「うまくいきましたね、御坂さん」
「量子加速は、前に見たことがある能力だったからね」

先ほどまで瓦礫に埋もれていた少女、御坂美琴はまるで何もなかったかのように
平然と起き上がって喋っていた。

「うまくマンホールをはめて瓦礫の重さが体にかからないようにしてたんですね」
「そう。この能力は一度知ってるから、私たちが敵の能力を知ってるということを
 敵に知らせないようにするために、私は死んだ、少なくとも気絶したという風に敵に思い込ませる必要があったからね」

そう、御坂は先ほどの偏光能力に仕掛けられた爆弾によって再起不能になった
わけではない、そうなったと敵に思い込ませるために、芝居をうっていたのだ。
御坂に触れることで電気信号による意志のやり取りをした海原は量子加速の能力
を知る。さらに、この、能力者が本来出しえない強度の能力を持っていること、
過去に幻想御手の事件と関わったことから、この事件の裏に学園都市暗部の
関りがあると御坂は推測した。本来この黒幕などは、偏光能力の電気信号を読み取
ることで探るつもりだったが、彼が爆殺されてしまったので、待ち伏せを行うこと
したのだ。偏光能力がやられるとすぐに爆破されたことから、彼らの身につけてい
た『装置』にはなんらかのセンサーがついてると推測し、そのセンサーの信号を
受信して、誰か暗部の者がこの廃ビルにやってくると御坂は推測したのだ。

「『樹形図の設計者』がどうこうとかはコイツに聞けば良いわね」

御坂は、倒れている査楽を見ていった。そして、手を触れる…
手を通して、断片的な情報が御坂のもとに流れていった。


772 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[sage saga] - 2012/03/26 15:04:07.90 WUShgzC10 25/31

「結論から言うわね」

御坂は海原へと説明を始めた。その顔には何をすべきかわからないというような
途方にくれた感情が浮かんでいる。

「コイツのいる組織『メンバー』は、『樹形図の設計者』の二号機を作ったの。
 正確には試作機だけど。その二号機を使ってこいつらの演算を補助して、レベルを上げて戦わせてたみたい。戦闘データをとるために…」
「『樹形図の設計者』を作っていたというのは本当だったのですか…
 しかも、能力を上昇させるという使い方をするなんて」

機械で能力者の演算を補助する。このような使い方ができるとわかれば、この
『二号機』の研究はますます多くの者の手が加えられるだろう。
さらに、この『使い方』は、新たに『樹形図の設計者』を作成するということへの
表向きの理由としてもあげられる。
本来破壊されていないことになっている『設計者』を再び宇宙へと打ち上げるには、
もってこいの理由だろう。

「取り返しのつかなくなる前に何とかしないと」

そういう御坂の顔は、普段の彼女の顔からは想像もできないほど青ざめていた。
自分だけの力ではどうにもならない、そういった類の絶望感が、御坂の中に漂っ
ていた。

「御坂さん。自分に手伝わせてください」

御坂の様子を見かねたのか、海原が声をかけた

「アンタが? どうやって?」

まるで期待していないといった調子で御坂は尋ねた。この男に何ができる?

「自分も『学園都市暗部』とのつながりのあるものです。御坂さんと利害の一致している仲間がいるんですよ」

海原はうそつきだ。他人を欺く顔を使い、闇の世界を渡り歩くスパイ。
過去の上条当麻との戦闘を目撃していた御坂は、その事実を知っている。簡単に
信用していい相手ではない
しかし、この男が自分に向ける気持ちが真実であることも、御坂は知っていた。

「わかった。でも、まず何から始めるの?」
「とりあえず、ここにある試作機を破壊することから始めましょう」

そういって、海原は『黒曜石のナイフ』を取り出した。



773 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[sage saga] - 2012/03/26 15:05:18.44 WUShgzC10 26/31

以上でおしまいです。
話を作るのはやっぱり苦手

778 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] - 2012/03/26 20:24:48.83 RujP0ce7o 27/31

美琴が読心能力者みたいになってるのが違和感ある。

木山先生の記憶が流れ込んできたシーンをソースにこういう描写にしてるんだと思うけど、あれって木山先生がレベルアッパーの脳波ネットワークにつないでる状態で、テレパスの学生の能力も持ってたり、ネットワーク状態で電波に親和性があったりで、美琴に記憶が流れ込んじゃっただけだろ?

生体電気使うにしても、カエルみたいにビクンビクンさせるくらいならともかく、他人の脳や記憶にホイホイ干渉できるほど万能な能力者じゃないと思うんだけど。

779 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中国・四国)[sage] - 2012/03/26 20:36:46.20 7FrpailAO 28/31

モールス信号と同じようなもんじゃね?

780 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] - 2012/03/26 20:39:22.71 oJK5TqzCo 29/31

次は心理掌握とかやりだすぞ
感情はすべて電子信号にすぎないとか

784 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)[sage] - 2012/03/27 08:33:17.12 o3B6FOxuo 30/31

>>773
総合に向いてなかったね
ちゃんと話が練れるくらい丁度いい長さにすべきだった

787 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)[sage] - 2012/03/27 20:16:38.25 HyZ7yoAjo 31/31

バトル描写はうまいと思った