645 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] - 2012/07/23 02:38:33.84 DGAw/pwo0 1/15

>>627です
全く別のお話ですが投下します。

・新約以降、原作終了ハッピーエンド後での浜面×麦野。
・その他、ちょっとオリジナルな人間関係。
・ある意味NTRもどき。

元スレ
▽【禁書目録】「とあるシリーズSS総合スレ」-37冊目-【超電磁砲】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1334385245/
646 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] - 2012/07/23 02:40:11.79 DGAw/pwo0 2/15

「渡したいモンがあってね」

ファミレスの一角。
対面する麦野沈利から2通の手紙を差し出された男は、学園都市を代表する超能力者である一方通行。
何かを察したか、彼は何も言わず1通分の手紙をさっさと開封し中身を見てしまった。
招待状。
それなりに丁寧な字で、こう書かれていた。


   皆様におかれましてはご清祥のこととお慶び申し上げます。
   このたび 私たちは結婚式を挙げることになりました。
   つきましては 末永くお付き合いをお願いしたく、
   心ばかりの祝宴をご用意いたしました。
   ぜひご出席くださいますよう お願い申し上げます
                 ××××年×月×日
                 浜面仕上・麦野沈利



「まーコピペだけどね」
「ンだよ。誠意のねェ招待状だなオイ」


647 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] - 2012/07/23 02:42:26.15 DGAw/pwo0 3/15

さらっと内容を黙読し手紙をテーブル上に落とした一方通行。
何て事は無い、ありきたりな結婚披露宴の招待状だ。
突然の呼び出しで何事かと身構えていただけに拍子抜け。
当の麦野はそんな心情を気にも留めず、まだ何やら話したそうにしている。


「別にいいのよ。私らなんだから。その手紙が来たってだけで察するでしょ、色々」
「……一応聞いといてやる。後どンなヤツに送るつもりだ?」
「つもりも何もアンタが最後よ。あ、そっちの手紙はあの子にやっちゃって。ミサワに」
「あァアイツのかよ。そォいやいつの間に仲良くなりやがったンだお前ら」
「色々とね。立て込んでた時期に。ていうかアンタと知り合った時期とあんまし変わんないわよ」


適当に返事を返しつつ、左の指はいちにいさんと数を数えている。

「…私達で六通ずつ。あと1通。知り合いのみに絞って…13人ってとこかな」
「それなりだな。あとお前オリジナルとも仲が良かったな」
「もち美琴にも送ったわ。あとその旦那と居候にもね」
「ハァ、穏やかな面子じゃねェか。テメエの事だからてっきり」

「後フレンダにも送ったわね。その妹にも」
「てっきりって言葉返しやがれこの女」

648 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] - 2012/07/23 02:44:07.24 DGAw/pwo0 4/15

油断していたらこれだ、と言わんばかりに一方通行はこめかみを押さえるリアクション。
麦野は不思議そうに白い白い目の前の男の表情を伺った。

「さっきから何ワケのわかんないリアクしてんのよ。私が誰呼んだって勝手でしょ」
「あのなァ、今の一瞬でツッコミてェところが二箇所あンだよ。
死人にどンな返事を期待して手紙書いてンだよ。それに…」


一呼吸置いて再び麦野の方を向き直る。
眼前の美人。近寄りがたい雰囲気を醸し出しつつも、
その見た目は非常に高貴で、人を惹き付ける。それが一般的な人間の思う感想だろう。
その裏側にある"傷"を知らなければ。

「テメェをしこたま恨ンでる女まで呼びつけて何がしたいンですかねェ?」
「それをアンタに言われる筋合いは無くない?」


麦野の右手にはコーヒーカップ。
話し込んでいると冷めてしまいそうだと思ったのか、グイッとその中身を飲み干してしまった。
空となったカップを置き、麦野は口を開く。

「これはね、そういう式にしようって決めたのよ。仕上と」

649 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] - 2012/07/23 02:46:38.37 DGAw/pwo0 5/15

名。
普段からあのマヌケそうな苗字で親しまれていた分、
その名があの男を指しているという事に気づくのが一瞬遅れた。

「何だよ。わざわざお礼参りされようってのか、あのアホは」
「どっちかって言うとそれは私の意向よ」

その表情が真剣な物になったと、一方通行はすぐに気がついた。
感情は覚悟。傷を負った覚悟。背中に背負ってきた覚悟。
麦野沈利の覚悟。

「私はこれまでに散々勝手にやってきた。その結果色んなヤツの恨みを買った。
今更それをどうこう言い訳する気も無いし、しない。
色んな物をブチ壊しながら私は仕上と一緒になった。
それ以外何も無くして、捨ててきた。
それしか残る物は無かったけど、私にとってそれは何よりもかけがえの無い絆なのよ」

「ンで、この式とやらでその蟠りを全部、全部清算しようっていうつもりかァ?」
「そうよ。私らはもう勝ち逃げなんてやらない。
真正面から向かい撃つのよ。フレメアの事も、絹旗の事も、滝壺の事も、
その他色々な事も含めて全部、この身体で受けてやろうって決めたのよ」


650 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] - 2012/07/23 02:48:39.35 DGAw/pwo0 6/15

「マゾも超体外にしろって思いませんか浜面」
「それが沈利の意志なんだ。旦那になる俺が目を背けるワケにゃあいけないだろ」
「さり気無く超ノロけないで下さいこの浜面」


別の視点。
寂れた映画館の中で、浜面仕上と絹旗最愛は隣り合う席で対話していた。
映画を楽しむ為、というより、2人が心置きなく話す為の場となってしまった。
招待状を渡してから、あの映画好きたる絹旗が殆ど映画に集中していない。


「……許されると、思うんですか?」
「許されなくても、やるんだよ」

決意が固い。窒素装甲よりも硬いのではないか?
絹旗は呆れ半分で浜面の方を向いた。
当時より痩せているようにも、当時より生気に満ちたようにも見える。
少なくとも死んだ魚の目はしていない。
多く見積もっても、その目はもうヒーローの目ではないのだが。


「恨まれているでしょうね」
「そうかもな」
「かもじゃないです。超間違いないです。こんなの猿でもレベル0でも超わかります」
「…ある意味、怒った沈利より怖いな」
「今度ばかりは、命の保障すら超ないですよ。なにせ、相手は」
「………学園、個人」

651 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] - 2012/07/23 02:50:51.49 DGAw/pwo0 7/15

浜面の脳裏に、今となっては懐かしい顔が浮かんだ。
数年以上も会っていないのに未だはっきりと思い出せる。
顔も、声も、髪も、仕草も、目の色も、身体も。
笑い顔も。泣き顔も。怒った顔も。

最後に会った時の、あの憎悪に満ちた顔も。


滝壺理后は、もうあの頃の滝壺とは違う。
会わなくなって僅か数ヶ月のうちに、彼女の持つ「能力追跡」は恐るべき成長を遂げたと聞く。
「学園個人」と称されるほどの権威として、今や滝壺は学園都市の中心に位置していた。
何が滝壺をそうさせた?
等と浜面が疑問を口にする資格はない。言うまでも、問うまでも無い。


浜面は麦野を選び直したのだから。
浜面は滝壺を捨て去ったのだから。
その結果、アイテムという名の絆までもが、砂上の楼閣と化したのだから。


「その上フレメアまでって、超何なんですか」
「やらなきゃいけないって決めたんだ。沈利とも話した。
俺らがここまで捨てたモノに、勝ち逃げせずに向き合おうって。
……そうしないといけないって」

「……………そうですか」


652 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] - 2012/07/23 02:52:50.12 DGAw/pwo0 8/15

不満そうな表情は消えない。絹旗はずっと考えていた。

この招待状を受け取った時から。
その他の招待状の行く先を聞いてから。
この結婚式の意図を知ってから。
久々に浜面から映画に誘われたその時から。
それよりも更に遡り、アイテムが再び、跡形も無くなってしまったあの日から。
自らの役割を、ずっと考えていた。


「……超知り合いの結婚って、もっともっと祝福されるべきなんじゃないですか?」


今でも強く覚えている。
滝壺は泣いていた。泣き叫んでいた。
つられて絹旗も泣きそうになっていた。
だってあまりに可哀想で、そして身勝手で。

麦野も泣いていたようだった。
浜面も、泣いていたのだろうか。
間違いなく、誰も笑ってはいなかった。

だったら何処へでも好き勝手、遠くへと去ってしまえば良かったのに。
そうすればいつか、笑い話に出来たのかも知れないのに。
それなのに今となって、またこの2人は泣こうとしている。


「無理だろ。そんな事はあの時からわかってる」

653 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] - 2012/07/23 02:55:30.65 DGAw/pwo0 9/15

浜面の零す諦めの言葉。
色んな物を諦めてきたはずの浜面が、また一つ諦めを呟いた。


「滝壺が好きだった。間違いなくな。
でも俺は滝壺を見捨てた。見捨てなきゃやっていけなかった。
言い訳なんて出来ねえよ。冴えたやり方なんてわからなかった。
取捨選択以外の選択肢が浮かばなかった」

たった一人の為のヒーロー。
そのアイデンティティが偽りに変わってしまったと、いつから気づいただろう。


「俺を好きだって言ってくれた女は、ずっとずっと泣いてやがった。
泣き顔を見て、気づいちまったんだ」

左目しか、泣いてない事に気づいた。
右目から、涙が流れてなかった事を知った。
その原因は自分自身がよくわかっていた。
気づいてしまったら、もう止まれなかった。

麦野沈利を泣き止ませたくて。
泣いて欲しくなくて、その為なら何でもしようと考えた。

そうして

何かが何もかも、壊れてしまった。

654 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] - 2012/07/23 02:57:52.68 DGAw/pwo0 10/15

きっかけは些細な事だったが、きっかけを生む芽はずっと前から心に埋まっていた。
麦野沈利は浜面仕上に恋焦がれた。だが浜面には既に心に決めた滝壺がいた。
本当ならそこで踏み止まれるはずだったのに。自分の身体を見る度思い出してしまった。


浜面に撃たれた右目。
浜面を殺さんとした左腕。
その身体に刻まれた印は、いつだって浜面へと続いていた。

その疼き。渇き。嘆き。喘ぎ。
自然と浜面に擦り寄った。この時点で、最早滝壺など見えていない。
無くした所を埋めて欲しくて、何度も何度も擦り寄った。


その思いに、浜面は応えてしまった。
相応の犠牲、崩壊、自己嫌悪、現実逃避。
麦野は浜面を陥れた。
相応の犠牲、崩壊、自己嫌悪、現実逃避。


「クズよね」
「あァ。そうだな」

ファミレスの一角。一方通行は言葉を選ばない。
麦野もそんな気遣いは望んでいなかった。

655 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] - 2012/07/23 02:59:47.95 DGAw/pwo0 11/15


「でもね、私は幸せだった」
「ますますクズじゃねェか」
「うん。これ以上はもう望むべくもないわね」
「……………」


「だから見届けて一方通行。助けてくれなくていいから、どうなろうと、私達の式を見届けて。アンタ達に出会えた事、本当に感謝してる」


数分の沈黙があった。
麦野は真っ直ぐに、一方通行を見つめて。
その全てを言い切った表情をして。


「突然呼んで悪かったわね。じゃあ、私もう行くわ。あ、コーヒーは驕りでいいわよ」
「どうなろうと、なンて言うンじゃねェ」

席を立とうとした麦野に対し、力強く一方通行の言葉。
何だかんだで付き合いは長いのだ。ここで呼び止めなきゃ招待される意味がない。
麦野はピタリと立ち止まる。

656 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] - 2012/07/23 03:01:18.56 DGAw/pwo0 12/15

浜面もまた、話す事は全て話し終えたとばかりに立ち上がった。
結局、絹旗の機嫌は晴れぬまま、今回もここでお別れだ。
映画なんてほとんど見ていなかった。


「じゃあな。式で会おうぜ」
「待ちなさい超浜面。最後です。最後に超一言だけ」

浜面は止まる。絹旗はもう不機嫌ではない。
毅然とした表情で浜面を見ている。



そして言葉はシンクロした。


「何があっても生き残りやがれ。これは義務だ。

お前が呼ンだヤツが何をしてこようと、耐えろ。倒れるな。甘ンじて全てを受けやがれ。

絶対に死ぬな。殺されてやるな。これから一生、アイツラの怒りの矛先に立ち続けろ。

犠牲の上に幸せがあった事を骨の髄まで理解しろ。それは少しも不幸な事じゃねェ。

……全部見届けてくれ?当たり前だ。こんな良い式見逃したりするワケがねェ」

657 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] - 2012/07/23 03:03:57.51 DGAw/pwo0 13/15




「だから、どうぞお幸せに花嫁さン」
「ですから、どうぞお幸せに花婿さン」




658 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] - 2012/07/23 03:05:49.76 DGAw/pwo0 14/15


招待状は配られた。
1通は、左隣に寄り添った変わらない仲間へと。
1通は、苦楽を共に歩んだ忍ぶ友人へと。
1通は、腐れ縁の続いた警備員の教師へと。
1通は、天国にて眠る尊敬した男へと。
1通は、そんな男が最後まで守ったお姫様へと。
1通は、修羅場の中で出会い顔を合わせた魔性の女へと。


招待状は配られた。
1通は、私の目の前で愚痴垂れてた腐れ縁の超能力者へと。
1通は、口は悪いが何故か気の合う白モヤシの嫁へと。
1通は、そんな性悪女と遺伝子を分かち合った電撃小娘と。
1通は、天国だか地獄だがそこらへんに埋めてしまった元仲間へと。
1通は、疲れ果てた私を奮い立たせてくれたあの暴食修道女へと。
1通は、説教と鉄拳制裁しか能の無いある意味浮気相手へと。

そして最後の1通は、俺達が見捨てた最後の仲間へと。
そして最後の1通は、私達が見捨てた最後の仲間へと。




「……………招待状、きたわよ?学園個人さん?」

とある研究施設。
ここに送られた手紙は2通。
1通は彼女の物。
紅いドレスに身を包んだ少女の物。

もう1通は彼女の物。
力に畏怖し、人は彼女を「学園個人」と呼ぶ。
だが彼女を知る者はそう呼びはしないだろう。

滝壺理后。その名で呼ぶ。
その名で呼ばれるべく、彼女は宴の席に着く。


あの日から今までの道程を、鮮明に克明に思い出しながら。

659 : タイトルを付け忘れ。「とある花嫁と修羅式場」[saga] - 2012/07/23 03:10:24.11 DGAw/pwo0 15/15

続く?


以上です。
「麦野が浜面を本気で寝取る」事をテーマに設定とか展開とか考えました。
もっとあの三人は修羅場ればいいかと。

スレを挙げて書くならもっと文章を練らないといけませんね。
妄想を失礼しました。