664 : 長女と末っ子1/3[sage] - 2012/07/24 19:00:38.47 d42ujU9K0 1/4

三スレ借ります。
美琴と番外個体がグダグダしゃべっているだけですが。

―――

 夏だ。
 蝉が煩い。
 太陽が眩しい。

 あーあー。暑い暑い暑い。あーつーい。
 駄目だ。
 溶ける。
 このままでは溶けてしまう。
 絶体絶命だ。
 回復アイテムを要求する。

 要求する――って、誰にって? 
 そりゃもちろん店員さんに。

「すいません、バニラ味のソフトクリーム下さい」

「あ、ずっるー。ずっるー。一人だけHP回復する気だ。鬼だ修羅だ般若ーっ!」 

「おいコラ馬鹿妹。後半の発言、即刻撤回せい」

 誰が鬼だ修羅だ般若だ。麗しの乙女に失礼な。
 たっく。私にはね、もっとも素敵で可愛いあだ名があるんだからね。
 天才とか超電磁砲とかビリビリとか。……あれ、かわいく、ない?
 
 ま、まあそれはともかく!
 おぬしに下剋上される姉ではないのだよ。ワトソン君。

「ミサカは安い女じゃないんでね。簡単に籠絡できると思わないでちょーだい」

「そんな貴女に素敵な選択肢をご提案。
 ミルク? チョコ? それとも、ミックス?」

「―――ミックス!!」

 ソフトクリーム。バニラ味、チョコ味、ミックス味。
 どれも学生のお財布に大変お優しい210円というお値段。

 おお、番外個体よ! 籠絡されてしまうとはなにごとだ。
 
 210円。
 姉への文句に対する買収金額としてこれは安いのか、高いのか。

「店員さん。ミックスのソフトクリーム追加で」

 多分、安いな。
 うん。 
 

 /長女と末っ子 1-1

元スレ
▽【禁書目録】「とあるシリーズSS総合スレ」-37冊目-【超電磁砲】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1334385245/
665 : 長女と末っ子2/3[sage] - 2012/07/24 19:04:09.39 d42ujU9K0 2/4

夏休みの午後。喫茶店。
 暑さ凌ぎに入ったのはいいけど。
 それでも暑いって何だコレ。
 窓際。二人用の席。
 店内エアコンの風が遠いよー。残念。

 でもソフトクリームは美味しい。うまうま。
 バニラも美味し。ミックスも美味し。
 「これ食べる」って妹が一口くれたのだ。
 その姉孝行の心や良し。

 冷たい。甘い。
 溶けるアイスに癒させる。
 よかった。これで脳味噌は溶けなさそうだ。

「ねえ、お姉さま」

「んー?」

「ミサカさ」

「おう」

「理想の最期はあの人の上で腹上死、なんだよね」

「ブハッ」

 ちょ、待て。待て待て待て。ちょい待てぇぇぇえええ!!
 アンタ何言っちゃんの。
 何ブチかましちゃってんの。
 ビックリしすぎてソフトクリーム噴いちゃったじゃないのよ!

「うっわ。汚ぇ」

 誰の所為だ誰の。
 ……ほんの少しテーブルの端に付いちゃったけどさ。
 直ぐにさっと拭いたから問題ない。
 抜かりないのがこの私。
 ポケットティッシュはいつもカバンに入ってるからね。
 必需品ってヤツさ。

「……御目汚し失礼。んで? どうしたの突然。暑さのあまりに頭湧いた?」

 もしくはソフトクリーム宜しく溶けましたか脳味噌。

「いんや。割とガチっつーか」

「……ガチっすか」

「おう。ガチっだったりするんだにゃ、これが」

 そうか。
 ガチだったりするのか。
 暑すぎて暴走したのかと。

「そう。でも、あんまりそういうのは聞きたくない、かな」

 最期なんて。
 そんな言い方。
 なんなの。なんなんですか。

 あの人とか。その上とか。
 あれか。みさかねっとわーくでいうセロリ派ってアレか。
 末っ子、オマエもか。下から二番目の妹と一緒ね。
 ……まあ、それは。よくないとはいわないけども。恋愛は自由だ。

 けどよ。けどさ。
 最期だなんて。その一言は、聞き捨てならねーぞオイ。

「なんで?」

「末永く幸せに。
 孫曾孫に囲まれて大往生を迎える。
 そんな日まで。
 最期、なんて聞きたくない」

 聞きたくない。見たくない。
 
 ―――永く永く、一緒に。もう誰も欠けてしまわないように。

666 : 長女と末っ子3/3[sage] - 2012/07/24 19:06:45.60 d42ujU9K0 3/4

「……ぶっちゃけさ、アタシらの寿命なんてたかがしれてんじゃん」

「安心なさいな。簡単にはお空にいけないから」

「えー。なしてさ。ミサカってば妹達の中でもストレスダントツよ? 多分そっこーでオジャンな未来だぜ?」

「科学は日々進化してるしね。それに私、めちゃくちゃ頭イイ将来有望株だし? 諦め悪い女だし?」

「ぶっはははは。何それ!」

 大爆笑とは失礼な。 本日二回目だぞ妹よ。

「そんなに笑わなくても」

「ひーおかしい。お姉さまさ、本気でいってるの?」

「本気も本気。大マジだぜぇ?」

「えー? 良いじゃんこのままでも十何年くらいは生きられそうだし」

「おだまり。十何年なんて甘い。後何十年くらいは生きられるようにするんだから」

「……お姉さまの青春が無くなりそうな人生計画じゃね?」

「あら。家族愛に生きる青春だって素敵だわ」

 見てなさい。
 数年後にそうなっている予定だから。
 てか、私が頑張ってそうする予定だから。
 へっへーん、まいたっかね。
そこまで言ったら妹が絶句した。
 あら珍しい。ケラケラケラって笑うのが常の子なのに。
 ちょっとだけ目を伏せて、だんまり。

「……そっか」

「そうよ」

「そっか」

「だから、そうなんだって」

 素直に諦めい妹よ。アンタの人生は畳の上での大往生じゃい。

「腹上死っての、結構いい最期だと思ったんだけど」

「んー……。可能なら、一緒に人生歩んで、笑って泣いて楽しんでってのもいいと思う」

 この展開で誰となんて言わない。
 言うだけ野暮ってもんさ。
 私とってのは無いさね。
 
 二番目も、もしかしら末っ子と似たようなこと思ってるかしら。
 短いからせめて最期はあの人とって。

 ま、同じ事言われたら、私も同じこと言うだろうけどさ。

 末永く末永く幸せにとは願う。
 ただこればっかりは。恋愛とかは当人らのことというか。
 何とかしてあげたいけど、できないエリアというか。
 ああ、ジレンマってヤツだ。

「……えー」

「えーって、なに」

「うーん。こうなると、ちびっ子の姉貴とのバトルか、と思って」

「―――そのことについて、私はノーコメントで」

「うぃーす」

 好いた惚れた愛してゆーっみたいな時は、私は中立です、はい。

 相変わらず暑い店内。
 ソフトクリームは溶け気味。
 脳味噌も溶け気味になりつつあって。
なんか惚気のような話を聞かされた気がしないでもない、と今更に思ったり。
ただ。こうやって姉妹でグダグダすごすってのも悪くない。

 そんな気分な夏の午後だ。

667 : 長女と末っ子 終[sage] - 2012/07/24 19:08:09.82 d42ujU9K0 4/4

以上です。お邪魔しました。