851 : 鈴科「初めまして。オリジナル同士、お話しませン?」[sage] - 2012/09/12 22:19:54.76 ETZ/leJAO 1/10百合子→オリジナル、一方通行→クローンの二番煎じなものを
木原くんの口調が行方不明
微グロ
深夜。
木原数多率いる猟犬部隊はとある研究所にいた。
あたりは濃い血の臭いが充満し、嫌に静かだった。
猟犬部隊A「木原さん、研究員全員の『処分』を終えました」
木原「分かった。警戒はまだ緩めるな。まだ作戦は終わってねぇぞ」
猟犬部隊A「了解」
手元のトランシーバーに指示を伝える部下をその場に残し、木原はさっさと奥へ歩いていった。
そんな木原に何人かが慌ててついていく。
木原「カードキーと指紋」
振り向きもせず彼は言う。
猟犬部隊B「これです」
差し出されたのはカードと誰かの手首。
木原は躊躇わずにそれらをむんずと掴んだ。
まだ温かいその手首に一瞬だけ彼は眉間に皺を寄せたが、それもすぐに無表情へと戻る。
猟犬部隊C「暗証番号は*****とのことですが、虚偽の場合もあります」
木原「そんなもん俺が事前にハックしといた。まだ生き残りがいないか見てこい」
猟犬部隊B・C「了解」
走り去る音。
その間も木原は歩くスピードを緩めることはない。
タイムリミットは早朝。
ぐずぐずしていられない。
しばらく歩き、一つの部屋の前で止まる。
木原は舐めるようにその真っ白な扉を眺めた。
扉の横にはカードキー、暗証番号、指紋を入力するスペースがある。
他と比べ、ここだけガードが異常に頑丈だ。
木原は迷うことなくまずカードキーを通し、暗証番号を入れ、最後に手首を使い指紋を読ませた。
どうやら血流までは読まないタイプらしい。おかげで助かったのだが。
ピピッと軽い音がしたあと、パッと画面が変わった。
そこで木原の顔色があからさまに変わる。
表示されたのは『通話中』の文字。
木原「なるほどな。喋るだけの用はこうやって済ませと」
どうすれば開くのか、ここで手詰まりとなってしまった。
しかし二度もチャンスはないのだ。
これが最初で最後。
木原が頭の中でこれからの計算を始めたときだ。
『誰かしら?』
スピーカーからはっきりとした声が流れた。
『夜中に訪問なンてねェ。夜這い?』
クスクスと笑い声。
木原「木原だ」
『え?』
木原「覚えてるかクソ餓鬼。木原数多をよぉ」
『嘘……木原、くン?』
木原「だからそう言ってんだろうが」
『何しにきたの?“彼”に見つかると――』
木原「うぜぇ。おい、質問にふたつ答えろ」
『なに?』
木原「この扉、どうやりゃ開く」
『カードキーを二回通して暗証番号をもう一度入れるのよ』
あっさり答えた。
中側からは出来ないが外側の解除の仕方は心得ていたらしい。
木原「じゃあ次だ」
木原「籠の中の鳥と野良犬、どっちがいい」
『……』
木原「ちんたらすんな餓鬼。時間がねぇんだよ」
『ね、野良犬になったら木原くン飼ってくれる?』
木原「飼ってやんよ。首輪つけてな」
『あは。開いて』
木原は刺青が歪むほどに口端を吊り上げた。
カードキーを二回、暗証番号を入れる。
重い音がして扉が開いた。
黒地に赤い椿を散らせた着物を着た少女が現れた。
目は血のように赤く、肩まで伸びた髪は雪のように真っ白だった。
木原「ずいっぶんお嬢様になっちゃってんじゃねーか」
最後に見たのは八年前だ。
想像はしていたもののここまで変わっていたことに木原は内心驚いていた。
「そう?ありがとう」
木原「で、どうすんだよ百合子。どっちにする?」
百合子――鈴科百合子は、現第一位『一方通行』のオリジナルは言った。
鈴科「木原くンにどこまでもついていくわ」
木原数多は笑い、百合子に近寄り手を差しのべた。
木原「血生臭い世界にようこそ、お姫様」
百合子はその手を握った。
それから数ヵ月後。
または御坂美琴が上条当麻の前で自動販売機に蹴りを食らわせてから数日後。
御坂「あ、飲み込まれた。また壊れたのかしら……」
あの自動販売機の前。
ビリビリッと指に電流を走らせたとき、彼女は後ろから声をかけられた。
鈴科「御坂さンですよね?」
御坂「え? ――!!」
振り向いた先には第一位に似た少女が立っていた。
セーラー服を着、日傘を差して。
くるりと日傘を回してその真っ白な少女は口を開いた。
鈴科「初めまして。オリジナル同士、お話しませン?」
860 : 鈴科「初めまして。オリジナル同士、お話しませン?」[sage saga] - 2012/09/12 22:29:50.10 ETZ/leJAO 10/10以上です
完全に百合子はオリジナルキャラですが
このあと御坂と対一方通行の共同戦線はったりなんだり