962 : 「とある花嫁と修羅式場」 続き[saga] - 2012/10/11 22:21:07.67 2p6G8fJJ0 1/20

17レスほど頂きます。>>646の続き、的な物になります。

内容としてはほぼオチ、後日談に近いものです。
>>646を読まないと意味がわからない、いや読んでも意味がわからない可能性が高いですが、ご了承下さい。

関連
とある花嫁と修羅式場
http://toaruss.blog.jp/archives/1043754986.html

元スレ
▽【禁書目録】「とあるシリーズSS総合スレ」-37冊目-【超電磁砲】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1334385245/
963 : 「とある花嫁と修羅式場」 続き[saga] - 2012/10/11 22:22:32.83 2p6G8fJJ0 2/20

崩壊した結婚式場。
用意されたディナーも、ウェディングケーキも最早原型を留めてはいない。
飾りつけも台無し。流れていた音楽も既に止まっている。

荒れきった式場の中心に、滝壺理后は佇んでいた。
寄り添うように倒れる、新郎新婦を見下ろすように。

新郎『浜面仕上』と新婦『麦野沈利』
この日より、二人は契りを結び、夫婦となった。
死が二人を分かつまで、二人は共に生きていく。
幸せを形にして、今日ここに強い絆が芽生えたのだ。


滝壺は、それを許せなかった。
かつての恋人である浜面と、かつての恋人を奪った麦野沈利。
二人の幸せを、滝壺は絶対に祝福しない。

今日の為に、滝壺は力をつけたといっても過言ではない。
今や滝壺は学園都市のレベル5。
『学園個人』と称される、科学サイドの全てを結集した存在。
その力に勝てる能力者など、一人もいないはずなのだ。

寄り添うように倒れる新郎新婦。自分が得られたはずの幸せが、そこにはあった。
滝壺に、その幸せを砕く事は出来なかった。
例え二人を殺しても、その幸せまでは壊せない。
滝壺はそれを知っていた。それでも尚、滝壺は今日、この修羅場に参列した。

祝福する為などでは絶対にない。

964 : 「とある花嫁と修羅式場」 続き[saga] - 2012/10/11 22:24:24.59 2p6G8fJJ0 3/20

「……沈利、起きてるか?」

「……起きてるわ。っていうか生きてるのね、私達」

「そうだな。……正直、五体満足なのが不思議なくらいだ」

「ここ、病院? 冥土帰しの? 私ら式場にいたはずなんだけど」

「みたいだな。あの後、俺ら二人ともここに搬送されたらしい」

「……手際の良い事ね。そういやアンタの知り合いの警備員が式場にいたわね。それの手回し?」

「俺も黄泉川の仕業かと思ったけど、どうやら違うみたいだ。絹旗からのメールを見たんだけどよ」

「何て書いてあったの?」

「この病室も、怪我とかの手術も諸々、あらかじめ予約してたらしいぜ。……滝壺が」

「………………そう」

965 : 「とある花嫁と修羅式場」 続き[saga] - 2012/10/11 22:25:56.73 2p6G8fJJ0 4/20

「……身体、どうだ?」

「手足は付いてるわよ。目も見える。耳も聞こえる。息も吸える。意識があるだけいい方ね」

「……しっかし、コテンパンにやられたなぁ、俺ら」

「……そりゃあね。相手は学園個人でしょ。むしろ生きているのが奇跡よ奇跡」

「正直に言うけどよ……」

「何よ?」

「生き残る自信も、策もあったし、その準備もしてたんだよ俺は」

「はぁ? 何チョーシの良い事言ってんのよ?」

「いやマジでだよ。絹旗にも言われてたワケだし、最低限死なねーように対策は練っておいたんだよ。……そうじゃないと、沈利も守れないしな」

「……か、かっこつけんなバカ野郎」

966 : 「とある花嫁と修羅式場」 続き[saga] - 2012/10/11 22:26:57.12 2p6G8fJJ0 5/20

「相手が学園個人だけだったら、実際何とかなったかもしれないけど……相手は、学園個人だけじゃなかったって事だ」

「……フレメア?」

「そうだ。アイツが、本当に強かった。本気で、俺達を殺そうと準備してたんだろうなぁ」

「……何年ぶりだかもう忘れちゃったけど、フレメア、成長する度姉そっくりになってくのね」

「そうだな……。見た目も瓜二つ」

「考え方も瓜二つ。戦い方も……シャレにならないミスをする所もね」

「だな。それが無けりゃあ、今頃俺らは生きてないな」

「ていうか仕上、一つ聞きたいんだけど」

「な、何だよ」

967 : 「とある花嫁と修羅式場」 続き[saga] - 2012/10/11 22:28:26.06 2p6G8fJJ0 6/20

「招待客の中に、あの憎たらしい第2位の女がいたけどさ。アンタとあんな縁があったなんて聞いてないわよ」

「いやいやいや、沈利、縁っつったって、俺的には殺し殺されの関係だからな?」

「ふーん、その割にはあちらさん、わりと真剣にアンタを恨んでたみたいだけど?」

「……沈利と引き離されてた頃の話だ。学園個人の権力に取り入ろうとしたクソが、色々手を回してたあの頃のな」

「……そんな時もあったわね。けっこう手酷く嫌がらせされた記憶がある」

「……ごめんな。あの時、俺は何も出来なかった。沈利一人助けられなかった」

「謝んな。前にも行ったでしょ。今こうして二人でいれるならそれでいい」

「……そうか」

「……私は妊娠出来ない身体だって知ったのは、実はその時よ」

「……ッ!!」

「散々、私を嬲ってくれちゃってね、あの変態共。学園個人サマのファンクラブ。念願のレベル5に成れてさぞかし喜んだんでしょうね。つまんねー竿ギンギンにしてさ」

「………………」

968 : 「とある花嫁と修羅式場」 続き[saga] - 2012/10/11 22:29:57.09 2p6G8fJJ0 7/20

「……ほとぼりが冷めた後はもう用無しにされたみたいで、上がったレベルも戻されたみたいでさ、それ聞いてから真っ先にオカエシしに行ったわ。もう痛快よ」

「………………」

「黙んないでよ。そんな深刻に思いつめられるのが一番嫌よ。……私だって、まともに思い出したくないんだから」

「あぁ……ごめんな、沈利」

「まぁ、コウイうんぬんでアンタにあーだこーだ攻められたくは無いのよねー。私アンタの童貞を奪えなかったし」

「ぶっ!?」

「その上キャバ臭いガキンチョまで私の知らぬまに……ねぇ?」

「………………シズリサン、ドウシテソレヲ?」

「……やっぱりね」

「カマかけっ!?」

969 : 「とある花嫁と修羅式場」 続き[saga] - 2012/10/11 22:31:59.25 2p6G8fJJ0 8/20

「あの一連の嫌がらせの主犯に、心理定規が関わってるとは聞いてたわ。アンタがそれを成敗したっていう話もね。その程度の縁だと思っていたら……あの女の恨み方、ちょーっと普通と違ってたわ」

「……俺も追い詰められてたからな。沈利とも会えない上に、味方もほとんどいない。……ブチ切れてな」

「で、ヤッちゃったってか?」

「ぶはっ!?」

「ああいう闇に生きたタイプの女が心の底から恨んでますって顔する時なんて、そんくらいよ。何よアンタ、普通ナニが寂しいからって私差し置いて他の女抱く?」

「……いやあれだからな。誤解だからな。人間がどれだけ残酷になれるか見せてやるって意気込んでな。冷蔵庫の目の前でヤれるだけヤって痛めつけたってだけの話でな。アレだ、拷問の一貫でな。こどものうめないからだにしてやるーみたいな? 決してその、欲情したとかそういった邪まなアレはなくてな?」

「ハァ……。それで今になってちょっと後悔してあんな奴に招待状? マゾだとは思ってたけど大概にしなよ」

「いやそんなんじゃねえよ……。悪いな」

「ムカつくし嫉妬するけど謝らなくてもいいわ。……私も人の事は言えないし」

970 : 「とある花嫁と修羅式場」 続き[saga] - 2012/10/11 22:33:11.25 2p6G8fJJ0 9/20

「………………なぁ、沈利」

「何よ?」

「あの頃……にさ、やっぱり、あの、上条の大将と……色々あったか?」

「……無いわよ。何ジェラってんのよアホ」

「いやお前ら絶対何かあったろ?俺の知らない間に何かしらあったろ沈利?」

「落ち着きなさい仕上。……言っとくけど、上条とは何もないわ。さっき話題に上がったクソどもから助けてもらっただけ」

「……そう、なのか……」

「まーね、良い奴だとは思ったわー。鈍感だし説教ウザいし嫁はいるしでアレだったけど、タイミングが合えば悪くは無い物件だったかもねー」

「ハハハ……」

「……何よその渇いた笑いは。冗談よジョウダン」

971 : 「とある花嫁と修羅式場」 続き[saga] - 2012/10/11 22:34:39.65 2p6G8fJJ0 10/20

「……俺にとっての上条当麻は、憧れで、理想で、栄光だ。俺は絶対に上条当麻には成れない。……お前が惹かれるのも無理はないって思っただけだ。それに……」

「…………」

「いつも考えてる。あの時、お前と始めて戦った時、あの場所に上条がいたとしたら、きっと俺なんかよりもっと上手く、あの状況を解決出来たと思うんだ。誰も、傷つける事無くな」

「…………馬鹿の極みね、仕上」

「……すまねえ、今になって言う事じゃねえな」

「仕上は仕上。上条は上条よ。似てもいない、全然違う男よ。私が惚れたのは浜面仕上で、上条当麻じゃない」

「……おう」

「第一、私が上条に負けるかってんよの。あんな右腕だけ男に負けてたまるかってのよ」

「それ、コロンブスの卵っていうらしいぜ。あの一方通行も同じ事言ってたしな」

「…………確かにそうね」

972 : 「とある花嫁と修羅式場」 続き[saga] - 2012/10/11 22:37:10.80 2p6G8fJJ0 11/20

「ていうか一方通行、ホントに式に来たはいいけど、ホントに俺らを見捨ててくれたっていうな」

「私がすっぱり言ったからね。見捨てろって。しかも上条やその嫁も一緒に押さえてくれたっていう。正直あそこまで義理堅いとは思わなかったわ。今度会ったら缶コーヒー奢ってやろうかな」

「そうだな。……ホントに、式に来てくれた奴ら全員に感謝したいな」

「……フレンダも、来てくれたかな」

「……たぶんな。料理の中に鯖缶添えておいたし」

「きっとフレメアを応援してたでしょうね」

「……駒場さんはどうしてたのかな」

「そういや、アンタのダチは、フレメア側に付いてたみたいじゃない?」

「半蔵の事か。本人曰く、暖かく見守ってたっていう話だぜ」

「その割には、準備が良かったわねあのスキルアウト。今度会ったら一発お見舞いしてやろうかしら」

「……それは俺の役目にしてくれよ沈利。一応ダチなんだからよ」

973 : 「とある花嫁と修羅式場」 続き[saga] - 2012/10/11 22:38:07.91 2p6G8fJJ0 12/20

「……それよりも、やっぱり」

「あぁ……また、滝壺と話せて良かった」

「…………暫く会わないうちに、キレイになってたわ、滝壺。ダサいジャージの下にあんな凶器を隠してるとはね。やっぱり侮れないわ滝壺は」

「シリアスな雰囲気なのに!そっちの話!?」

「でもそう思わないの仕上? 仮にもアンタのモ・ト・カ・ノでしょ?」

「……いや、まぁ、確かに、俺の目に狂いは無かったっていうか」

「あーそーよねー!とっても美人でしたものねー!アンタの元カノとっても麗しかったものねー!元カノ!元だけどね!!」

「怒んな喚くな触れ腐れんなっていうか病院では静かにな沈利!!」

「……まぁ冗談はこの辺にして」

「お、おう」

974 : 「とある花嫁と修羅式場」 続き[saga] - 2012/10/11 22:39:46.88 2p6G8fJJ0 13/20

「……また話せて良かったわ、ホントに」

「そう、だな。俺らの気持ちを、ちゃんと伝えられた」

「同時に、滝壺の気持ちもしっかり聞く事が出来た」

「ホント……な。一生を尽くして恨むって、ああもハッキリ言われちまったからな」

「そうね……もう言葉如きで謝る事なんか出来ない。私もアンタも、絶対に許されない。その責任、絶対に果たさなきゃいけないわね」

「そうだな。ずっとずっと、俺達の事をオモうっていうならば、俺達は目を背けられないな」

「…………本当に、キレイだったのにね、滝壺」

「…………あぁ」

「……仕上、私が言うのも、その、何だけど……」

「ん?」

975 : 「とある花嫁と修羅式場」 続き[saga] - 2012/10/11 22:41:06.91 2p6G8fJJ0 14/20

「……アイテム、ホントに、無くなっちゃったんだって、思ったらね」

「それは、違うと思うぞ、沈利」

「え?」

「確かに、もうファミレスで気軽に集まるような関係じゃあないのは確かだ。でも、それとこれとはちょっと違う。俺達が『アイテム』である事は、この先一生変わらない。あの式で、俺はそう実感したんだ」

「どう、して?」

「……滝壺も、絹旗も、俺達を恨んで、憎んで、きっとこれからも、俺達と関わり続ける。互いにこれ以上、離れる事も別たれる事も無い。この距離感が出来上がっちまった」

「……その距離感が『アイテム』そのものだって、言いたいの?」

「そうだ。その形がどれだけ歪でも、俺達は『アイテム』だ。それはもう、一生変わらない」

「……何それ。そんなのってあり?」

「アリだよ。……絹旗が、これからずっと、その間を取り持つだろうしな。俺も、それを受け入れたい」

「そう、ね……。そのほうが、ずっと……」

976 : 「とある花嫁と修羅式場」 続き[saga] - 2012/10/11 22:42:06.14 2p6G8fJJ0 15/20

「……なぁ、沈利」

「何?」

「いい、結婚式だったな」

「そうね。私、今ホントに幸せ」

「……不思議な気分なんだよ。あれだけ恨まれて、憎まれて、殴られて、襲われて、誰にも祝福されていないっていうのに、心は満たされてるんだよ。……なんでだろうな?」

「……わからないのかよ」

「いや、わかるけどよ? 不思議過ぎて何だかなーってな?」

「わかんの? アンタの事だからまたトンチンカンな的外れ思考してんじゃないの?」

「わかるってば!! ……沈利が側に、隣にいるんだ。幸せじゃないワケないだろ」

「………………」

「……し、しずり、さん? どうしましたかー?」

977 : 「とある花嫁と修羅式場」 続き[saga] - 2012/10/11 22:43:14.67 2p6G8fJJ0 16/20

「…………ごめんね、仕上」

「……どうしたんだよ」

「アンタは、ホントならもっと幸せになれるはずだった」

「いきなり、何を……」

「学園都市の闇なんかに振り回されなければ、ここがもっとまともで、キレイな街だったら、アンタらレベル0を追い詰める環境じゃ無かったら……」

「………………」

「私を見捨てて滝壺と一緒に生きていけたなら、私なんかと会わなければ、私なんかと……。私が、アンタの幸せを壊してしまったから、アンタは……」

「沈利、そこまでだ」

「……ッッ!!」

「俺は、何一つ後悔していない。学園都市の闇に落ちた事も、滝壺の事も、沈利の事も、何一つとしてだ」

978 : 「とある花嫁と修羅式場」 続き[saga] - 2012/10/11 22:44:11.93 2p6G8fJJ0 17/20

「……」

「俺は元よりクズなんだ。誰か一人だけ、心に決めた一人だけを、全力で守る。それだけで精一杯なんだ。それだけが俺の取り柄で、今、その対象が沈利であるというだけの話なんだ」

「……滝壺は」

「見捨てた。そうだ、俺は滝壺を見捨てて沈利を選び直したんだ。それは俺の罪だ。でも、それが罪だとしても、俺は沈利を見捨てる事が出来なかった、それだけなんだ」

「……仕上」

「…………優柔不断だと自分でも思う」

「……そうね。私も、自分が情けないと思うわ。でも」

「……幸せになろうな、俺達。これからは、夫婦だから」

「……うん」

979 : 「とある花嫁と修羅式場」 続き[saga] - 2012/10/11 22:45:01.41 2p6G8fJJ0 18/20

「……メール、来てるわ」

「誰からだ?」

「……滝壺からよ。『退院したら、ファミレスでご飯を食べたい』って」

「…………マジか」

「身が引き締まるわね、仕上」

「そうだな。早いとこリハビリしねーとな」

「やってやろうじゃないの。五体満足でハネムーンに行くと決めてんのよ私」

「お、そうだな。どこ行くかそろそろ決めないとな」

「北海道とかどうかしら」

「……シャケ?」

「もち」

980 : 「とある花嫁と修羅式場」 続き[saga] - 2012/10/11 22:45:55.50 2p6G8fJJ0 19/20

バラバラに砕けても尚、幸せと言い切れるなら、二人を不幸に出来る者等誰もいない。

これは幸せな結婚式の後のお話。
白い白いベッドの上、壊れた二人はいつまでも幸せであったとさ。





「愛してるわ、仕上」

「愛してるよ、沈利」



おわり


981 : 「とある花嫁と修羅式場」 続き[saga] - 2012/10/11 22:49:09.23 2p6G8fJJ0 20/20

以上です。
スレを挙げて書ききる時間も、気力も絞れそうになくて、とりあえずオチをつけたといった感じです。
コンセプトは変わらず『麦野が浜面を本気で寝取る』。ある意味打ち切りEND。

新約5巻で若干テンションが上がった勢いで書き上げた内容。
初めと終わりだけは書いても、その間を書くかは未定も未定です。
妄想を失礼しました。