398 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] - 2012/12/27 01:38:59.98 OCKJIIbGo 1/7木山先生と上条さんで数レス頂きます
「暇だ…………」
モニターの電源だけが明かりを担っている薄暗い部屋。照明を付けないのはもはや癖としか言いようが無い。
まぁ、そんな事はさておき。先程言った通り、とてつもなく暇なのであり、具体的に言えば、やる事が無いのである。
偶に子供達に会いに行けばそれで終わりなのだから。
「……」
ウィンドウをマウスで適当にスクロールさせる。この暇つぶしでは無い、時間潰しがここ何日も続いている。
自堕落な生活は今までの恩恵だと思う事もできるが、このままではいけないという事も分かっている。
しかし、何にもやる気が起きないのもまた事実なのだ。
「……んっ?」
【ツンデレ大特集!! これであの人のハートも一撃でぶち殺せるぞ!】
「これは……」
思わず人差し指の動きが止まった。
「成る程。興味深い……」
――
暑さというものはいつまでたっても慣れないなぁ、と仕方の無い事を考える。
昨晩、突然電話が掛かって来たと思ったら『明日、暇か? 暇なら少し付き合ってもらいたい事がある。場所は……』と、返事をする間も無い程の流れ作業が終われば、プツッ、と虚しい機械音が鳴り響いた。
ひょんな事から知り合った木山春生とは稀に顔を合わす程度だが、何故だか、互いに連絡先を把握している。
「やぁ、待たせたね」
やっぱり、今日は暑すぎる。ハイヒールの音にも気付かないなんて、思考能力が低下している証拠だ。
いつの間にか、隣に立っていた木山春生を見て、そう思った。
「ここは暑いな……少し、場所を変えようか……」
――
「で、話とは何なのでせうか?」
投げやりな口調で訊ねる。日蔭とはいえ、炎天下のこの中で態々買ってこられた「カレースープ」に対して怒りを感じているのだ。
勿論、故意では無いので、表情には出さなかったが、未だに喉に張り付いている気持ち悪さは拭えない。
「そうだな…………君は恋人とか居るのか?」
「はっ?」
この人は何を言っているのでせうか……。と、またしても使ってしまった。
しかし、今のは態とでは無い。想定していなかったからこそ、自然と出てしまったのだ。
世間話なのか? と思ったが、この人はそんなタイプでは無いだろ。と結論付けた。
「おい、どうなんだ?」
「い、いやぁ……上条さんには縁の無い話です……はい」
虚しいのと悲しいのと恥ずかしいのとで、声が掠れていく。畜生、さっきの事といい、とんでもないSだ。
まさか!? 今日は俺を痛めつける為に……、いやいや、やっぱり暑さのせいだな、と思ったところで、相手は笑顔に変わり
「そうか。それなら良かったよ。気兼ねなく実行する事ができる」
「へっ?」
「あー……おほん」
「?」
「き、君の事なんて全然好きじゃ無いのだが」
「……」
僅かの沈黙……。思考の停止……。次に発した言葉は期待と違わず
「は?」
「勘違いしないでくれたまえ」
「え? いや」
何言ってるの? この人は……。変わった人だなと思ってたけどまさかここまでとは……。
いや、これは暑さのせいだ。この人もきっと犠牲者なんだ。と、この会話の中に何度使うだろう理由を付けたその時
「どうだ?」
「???? な、何が?」
「何かこう……心にくるものはあっただろうか?」
さっきも、今も、僅かの理解も出来ていなかったが、訳のわからない焦りと、動揺とで思わず口走ってしまう。
「あ、あったんじゃないのでしょうか?」
「そうか!!! 有難う! 良いデータが取れたよっ!」
「は、はぁ」
「また今度も頼むよ!!」
と、言った傍から嬉々としてスタスタ歩き去って行った。
何が起こったのか全く分からないままだったのだが、取り合えず、言っておかなければならない気がしたので
「不幸だ……」
――
丁度、ご満悦に車に乗りこもうとした瞬間、ハッと気付いた事がある。
「そういえば……」
軽く舌打ちをして呟いた。
「デレていなかったな……まぁ、また今度ためすか……」
上条当麻の苦難はまだまだ続くのであった。
404 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] - 2012/12/27 01:44:31.45 OCKJIIbGo 7/7以上です。
有難うございました。