518 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] - 2013/01/06 00:33:35.88 ZkwjvmcAO 1/9

なんか思いついたので投下

※滝壺さんが新約二巻より酷い嫉妬逆鱗モード
※麦のんがデレ期という名のキャラ崩壊

元スレ
▽【禁書目録】「とあるシリーズSS総合スレ」-38冊目-【超電磁砲】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1350107497/
519 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga sage] - 2013/01/06 00:35:49.55 ZkwjvmcAO 2/9

「そんな事は分かってる!!」

 怒号がドアを通り抜け、そこに立った少年の耳をつんざく。

(な、なんだ? 俺がいない間になんかあったのか?)

 浜面仕上は、ノブを掴んだまま思考する。
 声の主は麦野沈利。
彼女が何かに異論を唱えた、それは分かった。
もとい、現段階ではそれしか分からない。
 相手は誰だ?
あいつは違うだろう。
自分とほぼ同じタイミングで、昔馴染みを連れ立って出掛けたから。
なら、あの少女か?
それもない。
彼女は最近知り合った同い歳位の女の子の家に遊びに行くのを、自分が送ってきたのだから。
ならば、残りは一人しかいない。

「だったら!! 諦めて!!」

 今度は相手の怒声が響いた。
その声は、間違いなく浜面の最愛の人・滝壺理后のものだ。
二人の言葉から察するに、何かを巡って奪い合いになっているようだ。

(しょうがねえな。ここはひとつ、俺がビシッと止めてやるか!)

 意を決し、ノブに力を込める浜面。
その時。

「嫌だ!! 私だって、浜面が好きなんだ!! 好きで好きで堪らないんだ!!」

 再び手が止まる浜面。
今、麦野は何と言った?
浜面が好きで堪らない。
そう言った、確かに言った。

520 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga sage] - 2013/01/06 00:39:20.84 ZkwjvmcAO 3/9

「はまづらは、私の彼氏だから!! いくらむぎのでも、絶対に譲らない!!」

 次に放たれた滝壺の言葉から、浜面は理解した。
彼女達が奪い合っているのは、自分の彼女の座。

「私は!! この気持ちに、嘘を吐きたくない!! だから、私も浜面の恋人になる!!」

 そして、互いに一歩も引く気はない。
それだけ、どちらも真剣に自分を想っていると容易に想像出来る。
浜面はそう考察した。

「はまづらに、浮気なんてさせない!! 他の女とも、そういう意味では仲良くさせない!!」

「一人ぐらいいいじゃねえか!! それとも何、自信ないの?! ああないんだ!! だから浜面を縛りつけて」

「縛りつけてない!! ただ、私の知らない女と仲良くしてるのが赦せないだけ!!」

 喧嘩はどんどんヒートアップしていく。
さすがにこれ以上は拙いと判断した浜面は、再びノブに力を入れる。

「それを縛ってるっていうんだよ!! はっ、どんだけ自分に自信ねえんだよ!!」

「自信ないのはむぎのの方でしょ?! 初めて会った時から、ずっと好きだったくせに!! 今の今まで、私にすら打ち明けられなかったくせに!! この臆病者!!」

「っ!? そ、ちが……わ、私、は」

521 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga sage] - 2013/01/06 00:41:21.35 ZkwjvmcAO 4/9

 麦野が怯んだその瞬間に、浜面は修羅場に飛び込んでいく。

「よーしそこまでだ二人共! これ以上は近所迷惑だ、そろそろ頭冷やせ!」

「……あ、はまづら」

 乱入してきた浜面の声で、滝壺は怒りを収める。
一方の麦野はというと、先程の滝壺の言葉に未だ動揺しているのか、俯いて何事か呟いている。

「……ごめん、むぎの。言い過ぎた」

 滝壺の謝罪にも気付かず、同じ言葉を譫言のように繰り返す麦野。

「……じゃ」

「おい、麦野?」

「……れ、ない」

「むぎの?」

 麦野を心配し、滝壺が顔をのぞき込む、すると。

「一目惚れじゃない!!」

「「!?」」

 いつの間にか涙目になっていた麦野が、顔を上げて叫ぶ。
その顔は、耳まで真っ赤だった。

「た、確かにさ! 浜面に惚れたのは事実だし、惚れた時期も初めて会った日から数えた方が近いけど!」

「だからって! そんな、会ったその日に大好きになりましたなんて、私そんな軽い女じゃないし!」

 何故か唐突に弁明を始めた麦野を、浜面と滝壺はただ唖然と見つめる。

「だいたいさ! 浜面も浜面だよ! あんな優しくされたら、いくら私でも勘違いしちゃうっての!」

522 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga sage] - 2013/01/06 00:44:52.64 ZkwjvmcAO 5/9

 急に名前を挙げられて一瞬戸惑ったが、すぐに麦野に反論する浜面。

「いや、優しくってお前、知り合いの女の子が酒飲んでぐでんぐでんになってたら介抱すんだろ普通!」

「なにそれ! 初耳なんだけど!」

 浜面の話を聞いた滝壺が、怒気を含んだ声で彼に問い掛ける。

「いや、本当に介抱しただけだからね? 麦野をベッドに寝かせてすぐに俺は帰ったし、いかがわしい事は」

「服脱がされた」

「は・ま・づ・らっ!?」

「いやだってしょうがねえだろ!? 玄関先で吐いた挙げ句にその上に寝転がったから服汚れちまったしそのままにしとく訳にいかねーじゃねえか!」

「分かるけどっ!!」

「裸見られた」

「酔い醒まそうとして自分で頭から水被って濡れ濡れスケスケになっただけで裸になった訳じゃなかっただろそして滝壺お願いだからそんな怖い顔しないでそんなの俺の滝壺じゃない!!」

「はぁ・まぁ・づぅ・らぁぁぁぁぁぁあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っっ!!!!」

「いやああああああっ!?」

 麦野の中途半端なカミングアウトで怒髪天を衝いた滝壺は、憤怒の形相で浜面に迫る。
あまりの恐ろしさに、浜面は半泣ベソをかきながら無我夢中で部屋を飛び出した。

523 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga sage] - 2013/01/06 00:47:06.55 ZkwjvmcAO 6/9

『あ゛け゛ろ゛こ゛ら゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っっ!!』

「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいっ!!」

 凄まじい勢いで叩かれるドアを必死に押さえながら、浜面はただひたすら謝り倒す。
そこに、

「戻ったぞー、って」

「な、何事ですか」

 絹旗最愛と黒夜海鳥が帰ってきた。

「お前ら今すぐ自分の部屋に避難しろ! 巻き込まれたくねえだろ!?」

 浜面は二人にさっさとこの場を離れるよう促す。
黒夜が理由を訊こうと口を開いた、まさにその時。

『あ゛ぁ゛け゛ぇ゛ろ゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛っっ!!!!』

 地獄の底から響くような声が、ドアと黒夜の耳を貫通する。

「ヒイッ!? えっ、なに、なんで滝壺そんなキレてんの?!」

「じ、事情は後で超訊かせてもらうとして。今は避難が超最優先です、行きますよ黒夜!」

 黒夜が絹旗の提案に肯き、その場を去ろうとした時。

 バギャッ!!

 滝壺の細腕が、とうとう木製の扉を破った。

「ギャアッ!? ききき絹旗ちゃん早く早くっ!」

「で、では浜面、超健闘を超祈ります超南無三」

524 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga sage] - 2013/01/06 00:51:27.93 ZkwjvmcAO 7/9

「つ~か~ま~え~た~……!!」

「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなぎゃあっ!!」

 ドア越しに浜面を捕らえた滝壺は、ドアごと彼を部屋に引きずり込む。

「……あ、浜面。どうしたの、それ」

 誰にともなく言い訳し終わって冷静になった麦野が、浜面の惨状を見て首を傾げる。

「……ま、まあ、気にすんな」

 そんな彼女に、当たり障りない返事を返す浜面。
本当は『お前のせいだよ』と言いたい。
言いたいが、言ったら滝壺が更にヒートアップする可能性が高い。
それどころか麦野まで怒らせ兼ねないので、下手な事は言えたもんじゃないのである。

「はまづら」

「はい」

 何十分、いや、一時間は経っただろうか。
先程までよりは幾分落ち着きを取り戻した滝壺が、浜面に声を掛ける。
無論すぐに返事をした浜面ドゲザスタイルに対し、彼女は言葉を続ける。

「さっきむぎのが言った事は、事実なの?」

「服を脱がせたのは事実です。しかし、裸は見てません。ただ、濡れ濡れスケスケな扇情的麦野さんを見てしまったのは間違いありません、はい」

「いかがわしい事は、何もしてないんだよね」

「はい、絶対してません、命賭けます!」

525 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga sage] - 2013/01/06 00:54:25.82 ZkwjvmcAO 8/9

 しばらく浜面を睨み付けていた滝壺だが、そのうちゆっくりと息を吐き、

「……分かった。はまづらを信じる」

 彼に許しを与え、普段の調子に戻る滝壺。

「……あのー、つかのことお伺い致しますが」

「なに?」

 浜面は地に額を付けたまま、二人が喧嘩を始めたきっかけを恐る恐る問い質す。

「私がお前の事を好きだって言ったら、滝壺が駄目だって言ってさ。それでカッとなって、浜面に私に浮気させろって無理言ったんだ」

「それを聞いた私が更に怒って、絶対に渡すもんかって言って」

「で、そこから平行線の怒鳴り合いが始まった、と」

「「……うん」」

「……なんか、済まん」

 二人の喧嘩の理由が結局の所自分なのだと判断した浜面は、平身低頭のままで双方に謝った。

「な、なんで謝るのよ」

「はまづらのせいじゃ」

「でも、俺が今まで取ってきた行動が原因なんだし、やっぱり俺のせいだ。だから、ごめん」

 一向に頭を上げる気配がない浜面に、麦野も滝壺も段々と申し訳なくなってきて。

「「勝手に奪い合って、ごめんなさい」」

 二人揃って、浜面に土下座をした。
 その後浜面達は、絹旗達に事の顛末を説明した。
そして、思い切り深い溜め息を吐かれたうえで、長々と説教を食らう羽目になった。

526 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga sage] - 2013/01/06 00:56:52.93 ZkwjvmcAO 9/9

終わり
ルームシェアなんかしてたらそのうちこうなるだろうという妄想を形にしてみた
絹旗は常識人だと思います、映画以外に関しては