544 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] - 2013/01/06 18:56:26.14 ukDY3OvDO 1/1310レスほどもらいます
一方さんと妹達の立場逆転で実験したらという妄想
少年は無敵になりたかった
誰も傷つけない
誰にも傷つけられない
そんな存在になりたかった
たとえそのために20000体の人形を犠牲にしようと
彼は無敵を求めた
だがそんな彼の願いは
彼自身に牙をむいた
暗い路地裏を白い影が走る。
「はァ……はァ……」
蹴るだけで地面に亀裂が走り、数メートル跳躍する。
そのようなことを呼吸より容易く行えてしまう存在、
学園都市最強の能力者、一方通行は――
「はァ……クソッ」
逃走していた。
曲がり角を曲がると行き止まりだったらしく、目の前には灰色のビルがそびえ立っていた。一方通行は舌打ちするとその壁へ飛び込む。
受け身などまるで考えていないかのような動き。だが一方通行が触れたとたん、壁が砕け散る。
どうやら廃ビルのようで、建物のなかは暗い。加えて飛び込んだときの瓦礫の粉が一面に漂っており、非常に視界が悪い。粉のほうだけでもなんとかしようと風のベクトルを操作しようとしたとき、視界の端で青白い光が走った。
次の瞬間、爆炎が周囲を包む。
常人なら到底耐えられない衝撃だが、反射を展開している一方通行には当然なんの傷も与えられない。
それでも空気中の酸素を一度に消費されてしまえば、一瞬、呼吸を止めざるを得ない。
その一瞬の間に相手は確実に距離を詰めてくる。
煙の合間から
「過度の逃走は実験の放棄と見なされます。また、ミサカは人工衛星をハッキングして一方通行の座標を常に把握しており、そのことからも逃走は推奨できないとミサカは助言します。」
常盤台の制服に身を包んだ20000号が現れる。
「ずいぶん雷撃の出力が上がったじゃねェか。レベル5相当はあンじゃねェのか?最初はせいぜいレベル3止まりだったのによォ、空まで飛べるようになっちまって。研究者共からネットワークによる戦闘経験の蓄積により成長するとは聞いてたが、まさかここまで伸びるとはなァ。案外量産型超能力者計画も成功してンじゃねェか?」
これ以上の逃走は難しいと判断し一方通行が言う。先ほどの爆発による傷こそないものの、その体には所々に痣があり、右腕には派手な切り傷らしきものも見える。だが、一方通行の顔からは痛みによる苦悶は感じられない。
「仮にそうであったとしても、それは絶対能力進化実験の副次的なものに過ぎず、大きな意味は発見できません。それとこの状態は能力で不可視のレールを形成することでリニアモーターカーの原理を再現しており、飛ぶというより浮くと表現するほうが的確では?とミサカは自らの攻撃が有効打足り得ていない可能性を憂慮しつつ疑問を提示します。」
対する少女は30cmほど中に浮いていた。制服は砂などでだいぶ白くなっているが、目立った傷などは見つけられない。
「能力でシナプスいじって痛覚だけ感じなくしてあンだよ。戦ってンのにアタマン中で痛ェ痛ェ叫ばれちゃうっとうしくてたまンねェ。」
「それよりオマエらオレの能力に対してかなり対策を練ってきてるじゃねェか。最近オマエらが反射を突破してくンのは珍しくなくなったけどよォ、いきなり剣振りかざしてくるとはなァ。刃物で切られるなンざ何年ぶりだァ?もしかして生まれて初めてじゃねェか?」
一方通行が口元を歪め、足を強く踏み鳴らすとそこから亀裂が走り20000号の両脇のビルが崩れてくる。
「しかし砂鉄の剣はチェーンソーのように各粒子の高速運動で対象を切断するため反射を完全に突破することはできず、一方通行のホワイトリスト形式の反射がある以上、ミサカの遠距離攻撃は有効打足り得ません。よって、対一方通行戦においては無害な攻撃で足止めし、反射を利用した近接格闘に持ち込むのが最適解であるとミサカは述べます。」
崩れて落ちてくるビルの破片を見もせずに雷撃で砕きながら少女は淡々と答える。
「なるほどなァ。足りねェアタマでよく考えるじゃねェか。ならこンなのはどうだァ!」
傷ついた右腕も頭上に掲げ、風のベクトルを操作、空気を圧縮する。
「空気を圧縮することによるプラズマですか。と10032次実験をはじめ、167の実験の「経験」からミサカは対応策をとります。」
少女はどこから取り出したのか小型の爆薬をばらまき、起爆した。
爆弾自体は大した威力はない。反射を展開している一方通行には傷一つ与えられないし、目くらましにもならない。
それでも――その爆風は一方通行の操る風のベクトルを大きく乱す。
一方通行の頭上で輝いていた光球が消える。
「ちっ!」
やはり距離をとったほうがいい、そう判断し一方通行は飛び上がる。
一番近いビルの屋上に降りようとしたとき、
一筋の光が走り、ビルが崩れた。
どうやらレールガンで撃ち抜いたようだ。
着地点を失った一方通行は空中に浮くかたちになる。
と、目の前に無表情な顔が浮かんでいた。
(コイツ、空中にレールを形成して――)
空中では操ることのできるベクトルもろくにない。
咄嗟に伸ばそうとした右腕は思うように動かず、腹部に高速移動してきたスピードも乗せた拳が突き刺さる。
「対象は30m前方に落下、とミサカは人工衛星からの情報を確認します。」
5階建てだったのが3階建てほどになってしまったビルの上を歩きながら少女が呟く。
「リニア方式だと地上から空中などの角度のある移動は姿勢の制御が難しいですね。また、高速での移動は空気抵抗による身体への負担が大きいため高頻度の使用は控えるべきであるとミサカは分析します。」
能力で不可視のレールを作り地上へと降りていく。まるで映画でありそうな透明なエスカレーターに乗っているかのような光景だが、観客は1人しかいない。
うつぶせに倒れた少年
それでもその瞳は紅く輝き
天から降りてくる少女を睨みつける。
右腕が動かない。どうやら本気でイカレたようだ。
肋骨も何本か折れているらしい。
痣も数えきれない。
対する少女はまったくの無傷。
そんな状況でも――
一方通行は立ち上がる。
「……確かオマエ20000号って言ってたよなァ。つまりオレがオマエを愉快にぶち殺すことでこの下らねェ実験も終わってオレは晴れてレベル6になれるってワケだァ。」
なぜなら
「樹形図の設計者の計算結果によればその通りですね、とミサカは肯定します。」
(19999人ぶち殺してきていまさらやめますだァ?)
(ふざけンな)
彼は戻ることなどできない。
彼は道を逸れることなどできない。
彼は止まることなどできない。
(オレを誰だと思っている)
学園都市最強の能力者――
(第一位、一方通行だ)
たとえその先に奈落が広がっているとしても
「いいぜェ」
進むことしかできない。
「こっから先は一方通行だァ!」
第二次量産型超能力者計画及び絶対能力進化実験報告
1.第二次量産型超能力者計画
・学習装置及び「暗闇の五月計画」の技術を利用し、自分だけの現実の構築・強化を図る。
・能力者との戦闘を繰り返すことでレベルの上昇を狙う。
※後述する絶対能力進化実験との兼ね合いから戦闘に使用する能力者は第一位、一方通行とする。
2.絶対能力進化実験
・第三位、超電磁砲が第一位、一方通行を200手以内に撃破することで絶対能力者に到達する。
・だがそこに達するまでに超電磁砲は一方通行に6176回撃破される。
・よって実験には第二次量産型超能力者計画で被験体となる超電磁砲のクローンを使用する。
・一方通行にはダミーの計画書を渡すこととする。
【第1次~第732次実験】
多種多様な環境下での戦闘実験
十分な戦闘経験の蓄積を確認。次の段階へ移行する。
【第733次~第3014次実験】
異能力固定化実験
第2964次~第3014次実験にて安定した異能力相当の能力の発現を確認。次の段階へ移行する。
【第3015次~第7576次実験】
大能力発現実験
第7526次~第7576次実験にて安定した大能力相当の能力の発現を確認。次の段階へ移行する。
【第7577次~第13823次実験】
超能力発現実験
第13773次~第13823次実験にて第三位、超電磁砲と同等の能力の発現を確認。
これをもって第二次量産型超能力者計画の成功とする。これ以降の個体は絶対能力進化実験に引き継がれる。
【第13824次~第18226次実験】
第一次対一方通行戦闘特化実験
第18226次実験にて一方通行の反射の突破を確認。次の段階へ移行する。
なお、この実験を行うにあたり木原数多の一方通行についてのデータサンプルを利用した。
【第18227次~第20000次実験】
第二次対一方通行戦闘特化実験
第20000次実験にて一方通行の死亡を確認。193手。
これをもって絶対能力進化実験の成功とする。
555 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] - 2013/01/06 19:14:46.79 ukDY3OvDO 12/13終わり
リニアモーターカー云々は完全に妄想です
まあミサワさんも磁力砲とか撃ってるしできたらいいなーという
そして20000号なのにシリアスという罠
556 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] - 2013/01/07 02:19:50.19 94EzgNuDO 13/13これは…すごいな
まさにその発想は無かった