223 : 9巻ネタバレ有り[] - 2014/01/13 17:52:24.97 gTQIc9kAO 1/11

数レスお借りします。

新約9巻のネタバレを含みますのでご注意ください



元スレ
▽【禁書目録】「とあるシリーズSS総合スレ」-40冊目-【超電磁砲】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1379543420/
224 : 9巻ネタバレ有り[sage saga] - 2014/01/13 17:54:14.87 PoBhjGiS0 2/11


上条が目を覚ました時、そこは暗闇だった。
黒一色の世界。闇に満たされた世界。上条当麻とオティヌスしか存在しない世界。

(また……ここか……)

数十か、数百か、はたまた数千か。上条にとって幾度となく繰り返してきた世界がそこにはあった。
『魔神』によって強制的に繰り返させられている世界が。

上条はゆっくりと周りを見渡し、この世界にいる自分以外の存在の姿を探す。
魔術を極めきった存在で、グレムリンという組織のトップで、この世界を創り上げた張本人である『魔神』の姿を。

そして彼女は『そこ』にいた。
上条当麻のすぐそばに。

まるで愛し合う恋人同士が寄り添う様に。愛する我が子を抱きしめる母親の様に。愛を確かめ合う動物のつがいのように。

少しでも身体を動かせば触れてしまうような距離。いつの間にそんな近くまで来ていたのか上条にはわからなかった。わかったところで関係などない。
彼女の接近に気付こうが気付かなかろうが彼のやることは変わらないのだから。

上条「っ!」

ヒュッ、と風を切る音が鳴る。
上条が右の拳を眼前の少女の持つ槍に向けて突き出した音だ。なんの構えもない状態から放たれた拳にしては十分な速さとキレを持っている。
しかしその拳は槍どころか、それを所持する少女にもかすりすらしなかった。

「お前はいつになったら折れるんだ?」

そんな声が上条のすぐ後ろから聞こえた。

上条はそれに対して何も言わず、振り向きながら裏拳を繰り出した。当たった感触はない。

「いい加減楽になれよ」

今度は上条のすぐ左隣から聞こえた。

「全て捨ててしまえ」

次は上条の真上から。透き通るような白い脚で上条の両肩の上にバランスよく立っている。

「くそっ!」

上条は身体を大きくひねって少女を振り落とそうとする。しかしその時には既に少女は上条の肩から降りていた。

「まったく、話のわからない奴だな」

どこからか少女の声が聞こえる。

「私の提示した話のどこが不満だ?」

背後から、隣から、真上から、真下から。

「私にとっては当然。お前にとっても、命が助かるのだから悪い話じゃないだろう?」

ーーー正面から。上条の目と鼻の先。どちらかがほんの少し前に顔を突き出せば唇と唇が重なる距離。

「もう一度だけ言うぞ」

少女はゆっくりと、語りかける様に、諭す様に話す。

「いい加減ーーー」

上条の目を見据えて。

「いい加減、私のーーー」

うっすらと笑みを浮かべながら。

「いい加減私のモノになれ」

衝撃的な一言を。


225 : 9巻ネタバレ有り[sage saga] - 2014/01/13 17:55:18.44 gTQIc9kAO 3/11

「お前が欲しい。お前の全てが欲しいんだ」

「お前の心も身体も」

「頭のてっぺんに生えている毛の先から足の指の爪の先まで」

「誰かの為に向けるその優しげな視線も。誰かの為に流す涙も。誰かの為に憤るその姿も」

「その全てを私のモノにしたい。私だけのモノにしたいんだ」

「だから……だから世界を破壊した」

「お前の姿を私だけのモノにする為に。お前の視線を私だけに向ける為に」

「お前の吐く息を植物なんぞに与えない為に。お前の流す汗を大地なんぞに吸わせない為に!」

「…………お願いだ」

「この世界で2人で生きていこう」


226 : 9巻ネタバレ有り[sage saga] - 2014/01/13 17:56:51.91 gTQIc9kAO 4/11

「 」

上条当麻は絶句した。
理由は言わずもがな。
世界を滅ぼすほどの巨悪がただのヤンデレだったのだから。

いや、『ただの』というのは少し違うかもしれない。
基本ヤンデレのみならず
依存ヤンデレ、執着ヤンデレ、束縛ヤンデレ、無理心中ヤンデレ、外部攻撃ヤンデレ、相手中心世界ヤンデレ……etc
彼女はそれら全ての性質を備えていた。

魔神系ヤンデレである。


227 : 9巻ネタバレ有り[sage saga] - 2014/01/13 17:58:05.99 PoBhjGiS0 5/11

世界を繰り返す度に彼女がこの『暗闇の世界』で上条に提案していた『私のモノになれ』という言葉。

上条ははじめ『幻想殺し』を警戒したオティヌスが部下になれとか、奴隷として仕えろなどと言っているものだとばかり思っていた。

そのために、いくつもの世界を見せ上条の精神を削り絶望を与え心を折ろうとしているのだと。

まさか言葉通りの意味だとは思わず。

228 : 9巻ネタバレ有り[sage saga] - 2014/01/13 17:59:41.57 gTQIc9kAO 6/11


「………どうだ?」

オティヌスは尋ねる。片方しかない瞳に鈍い光を灯し。

「……っ……ぁ」

それに対して上条はまともな言葉を返せない。当然といえば当然だ。話がぶっ飛び過ぎている。

「………やはりまだダメか。もっと精神に深い傷を与えないと」

「っ!?」

「次はいったいどんな世界をお前に見せようか迷うな。あまりにも酷な世界を見せてお前の精神が完全に壊れるのは嫌だからな」

そう言うとオティヌスは『槍』を掲げーーー

「待て!」

「!」



229 : 9巻ネタバレ有り[sage saga] - 2014/01/13 18:00:46.28 PoBhjGiS0 7/11

「ほう……?」

オティヌスは上条の声に対し思わず口元を歪め、掲げた槍をゆっくりと下ろしその穂先を漆黒の大地に突き刺した。

そして上条の次の言葉を待つ。
しかしいくら待てども上条から次の言葉は紡がれない。
やがて、しびれを切らしたオティヌスのほうから話しかける。

「言いたいことがあるのなら早く言え。でないと次の世界は今まで以上にキツいものにするぞ」

「……ま、待て…待てよオティヌス! なん…なんだ。なんなんだよ! どういうことだ!?」

「俺が…欲しいだとか、この世界で2人で生きていこうだとか……。訳がわかんねぇよ!」

「お前はいったい何がしたいんだ!?」

「『あんな世界』を俺に見せて! 心をへし折ろうとして! 絶望を与えて!」

上条による心の底からの叫び。
それに対してオティヌスは軽い調子で、しかし言葉には重たい意味を持たせ答えた。

「お前が欲しい。ただそれだけだ。それ以上でもそれ以下でもない」

230 : 9巻ネタバレ有り[saga saga] - 2014/01/13 18:02:32.95 gTQIc9kAO 8/11

「…………は」

話が通じない。上条はまずそう思った。
もともと話が通じる相手ではないことは重々承知していたがいくらなんでも度が過ぎている。

「なんだ? 言いたいことはそれだけか? 聞きたいことはそれだけなのか?」

オティヌスはがっかりした様子で槍に手をかける。次の世界を創り出すために。

「次はどうしようか。流石にバリエーションが尽きてきたな」

槍の柄を軽く握り考える。

「決めた」

オティヌスはそう一言呟くと槍を握る手に力を込めそしてーーー


231 : 9巻ネタバレ有り[sage saga] - 2014/01/13 18:04:28.50 PoBhjGiS0 9/11



オティヌスが創り上げた世界で上条に与える精神的苦痛。実のところ、それにはどれも共通点があった。

とある世界では上条に痴漢冤罪を押し付け周囲の女から嫌われるようにした。

別の世界では上条以外の全ての男女が仲睦まじいカップルとなり、ただ1人上条だけを孤立させた。

また別の世界では法律を改正してラッキースケべを重罪とし、世界中の女から糾弾されるように計らった。

つまり、全ての世界で女性の上条に対する好意を消し去り、悪意と敵意と嫌悪感のみを持つように設定しているのだ。

そしていま一度、『暗闇の世界』でオティヌスが優しく語りかける。
上条に対し好意を携えた唯一の女性として。

方法としては怪しげな宗教団体や不安を煽る詐欺師と近い。
絶望のどん底を突き落とした後、たった一つ救いの手を差し伸べ、依存に導く。
異能の力に頼らない洗脳や催眠のやり方だ。


232 : 9巻ネタバレ有り[sage saga] - 2014/01/13 18:06:44.99 gTQIc9kAO 10/11

「早く折れてくれ」

そして彼女は祈るように呟く。

「私は早く『理解者』が欲しいんだ」

願うように囁く。

「私を愛してくれる『理解者』が」

望むように語る。

「だから…だから早く……」

不敵な笑みを浮かべ、何かを待つように。


上条当麻が折れるのが先かオティヌスが壊れるのが先か。
どちらにせよそれはもはや時間の問題………


233 : 9巻ネタバレ有り[saga sage] - 2014/01/13 18:10:12.83 PoBhjGiS0 11/11

終わりです。
イー・モバイルとガラケーからなんでID変わりまくってます。

書いてから思ったけどジャンルがよくわからなくなってしまった……

とりあえずまあ10巻のデレオティヌスに期待