492 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[sage] - 2014/06/16 22:04:04.29 +NwTAwHe0 1/7

5レスお借りします。

一種のパロディですが、ターゲット層が狭すぎるのでここに供養していきます。

・オリキャラもといモブ注意
・むしろ上条さん以外モブ女子しかいない

時系列は新訳10巻後くらいを想定。
その割に不幸不幸言い過ぎですが、深く考えないでいただけるとありがたいです。



元スレ
▽【禁書目録】「とあるシリーズSS総合スレ」-40冊目-【超電磁砲】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1379543420/
493 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[sage saga] - 2014/06/16 22:04:32.27 +NwTAwHe0 2/7



??「どうしよ。あんまりどこ見学するか決めてなかったんだけど……上条君、聞いてる?」

上条「あ、ああ悪ぃ。これからどうするんだっけか」

??「ここにいても人の流れの邪魔でしょ。とりあえずあの橋渡って広い方に――」アッチ アッチ

俺よりちょっと年上っぽいお姉さんが半歩先から俺を呼ぶ。
広場を左手に臨んだ小さな坂道を、人波にはぐれないように足早に登る。

とある大学の敷地は緑が多く長閑な雰囲気で、きっと普段は沢山の学生がのどかにモラトリアムしてるんだろう。

今は違う。
入学式会場から雪崩れ出る『後輩候補』を確保しようと、あらゆるサークルとかの団体が対岸で手ぐすねを引く。
新入生達はそこに楽しげに飛び込んでいく。

そんな完璧お祭りムードの中、初対面の女性とひとまず平穏に歩いている俺は客観的に、リアルが充実してる略してリア充と言えるのではなかろうか。


この学校の名前も知らず、

そもそも今は真冬だったはずで、

部屋でくつろいでたら突然入学式の群衆に放り出された――なんて話じゃなければ。


俺は橋の手前で特売日みたいな雑踏から逸れ、天を仰いだ。
空は青く、風は優しく、立ち並ぶ建築物の平均階数は見るからに低い。

――あぁ、不幸だ。

新入生「まーた立ち止まって。……もしかしてまだ痛い? ごめんね、さっきはつい」人

『さっき』何があったかは察してほしい。
多分よーく見たらまだ右頬に手形が残っているはずである。

上条「はっはー、あの程度で済むならツイてる部類だっての。なあ、それよりここ、学園都市なのか……?」

新入生「は? 学園都市に決まってるじゃん」キョトン

上条「だ、だよな! …………不幸中の幸いかー」ボソッ

建物はまばらで特徴的な風力発電機も見えないが、橋から見下ろす街並み――橋は二車線の道路を跨ぐ小さな陸橋だった――には電柱がない。
『外』なら道と平行に電線が走っているはずだ。
つまり、嫌にのどかなこの場所も、学園都市の壁の中ということなんだろう。

上条(第十九学区のどっか、だよな? きっと)

ただ、俺が前触れもなくここに来た事実を考慮するとややこしくなる。
単純な移動系の異能なら無効化していたはずだ。
そんなんじゃない、立っている地球の方をひねり回し世界さえ作り替えるような魔神クラスの力が介入しているんだとしたら、まだ安心はできない。


それに――よく考えたら、俺に『不幸中の幸い』なんてあるはずもなかったのだ。



494 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[sage saga] - 2014/06/16 22:05:05.29 +NwTAwHe0 3/7



上条「う、お……前に進めねぇ……」ギュウギュウ

雑多な行列に復帰して橋を渡ると、在学生の皆様が両脇から俺達を出迎える。
まるでハネムーンから帰国した芸能人の気分。
しかし仮にアイドル歌手とスポーツ選手と天才画家と売れっ子ラノベ作家が同乗していたら、ミーハーさん達だけで空港の許容量なんて一瞬でパンクする。
まぁつまり、そんな状況だった。

新入生「おっ、ねぇあの池の前にすごい民族衣装の人達が!」ユビサシ

眼下の池の境のステージには色とりどりの服と見慣れない楽器に身を固めた一団が並んでいる。
昔ビリビリを狙ってた――海原ってヤツに変装した魔術師の地元があんななんだっけ。
えーと、アラスカ?

ポニテ「入学おめでとうございまーすっ! あなた良い体してますね! 何かスポーツやってる?」ズイッ

上条「え、知人とリアル鬼ごっこを少々……?」

ポニテ「何ですかそれー、走るの好きなんだ!? えー来週の土曜に敷地案内と親睦を兼ねた学内一周――」キラキラ

あ、これやばい流れだ。

上条「ススススミマセン、今はちょっと急いでるんで!」ワタワタ

ポニテ「あっ、メアドだけでもー!」

人だかりをかき分け脱兎の如く逃げる俺。
いやさっきの人は悪くないんだけど……和やかに新歓トークに興じてる場合でもないっつうか。



495 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[sage saga] - 2014/06/16 22:05:33.89 +NwTAwHe0 4/7



新入生「ちょ、待って……」ゼーハー

うっかり見失ったかと思ったお姉さんはわざわざ追い掛けてきてくれたらしい。
出合い頭のファーストインプレッションは最悪だったろうに実に親切である。
会話と攻撃が紙一重な女性陣にはぜひ見習ってほしいものだ。
どいつらとは言わないが。

上条「あー……、悪い。……ゴメンついでに、ここって第何学区なんだ? 」

そう。
がむしゃらに密集地帯を抜けて黄土色のコンクリの坂を駆け上がり、気付いたことがある。

二階くらいの高さのここからは通ってきた道が見渡せる。
岸辺のステージでどこか懐かしげな曲を演奏する集団や反対側のスペースで瓦割りを披露する面々。
みんな派手っちゃ派手だが――学園都市にありがちなホログラム、もっとありふれた能力パフォーマンスとかを見掛けない。

能力強度の低い学生が多い学校なのかもしれない。
それでも、景気付けに火の玉の一発二発を打ち上げる異能力者すらいないことがあるのか?
この規模の大学で。

新入生「学区って、中高じゃないんだからそんなのないでしょー。私はなんと九州から来てるんだよ?」

上条「……そっか」

じー、と妙に熱心な視線は一旦スルー……俺だって痛い子扱いは辛いんだからな。

さて、これで大分はっきりした。
二十三に分けられた学区を意識しないなんて、幼稚園児だろうとスキルアウトだろうと学園都市の住人ならありえない。
つまり――、

眼鏡「ガッキ……? 楽器と聞いて! 木管金管パーカッション、どれが好み?」ビラ テワタシ

上条「だあああああああッ話が進まねえ!」ガシッ

新入生「へっ?」ギュッ

ここまで来たんだ、事情が飲み込めるまで付き合ってくれ!

眼鏡「十一時からミニコンサート聞きに来てねー♪」ニコー

ビラ配りの人が背後でにこやかに手を振る。
俺はお姉さんを引っ張って、人のまばらな方に駆け出した――。



496 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[sage saga] - 2014/06/16 22:06:28.78 +NwTAwHe0 5/7



手近な棟に飛び込んで階段をいくらか上り下りして、俺達はやっと落ち着いたスペースに出ることができた。
新しめの内装の中に都合よくあったベンチに座り込みぜーはー息を整える。

さっき通過した踊り場の表示が正しければ、ここは一階らしいが、半地下っぽくなっており人の流れが少ない。
それでも色んな格好の人達がビラや看板を持って歩き回っているけど、あからさまに休憩中の俺達に話し掛けてはこなかった。
この大学に放り込まれてからこっち、初めて人心地つけた気分だ。

ただ、座り込んでるだけじゃなくて、そろそろ今後の身の振り方を考えたい。
ここは白黒つけねばならないだろう。

上条「なあ、冗談のつもりで聞いてくれ」シンケン

新入生「な、何……?」カァ...

ざわざわと、話し声や微かなピアノの音が遠のいていく。
二人の間だけ空気が張り詰めるような感覚――。

……あれ、なんか切り出し辛いぞ?


上条「超能力って知ってるか?」キリッ

新入生「…………えっ。あー……、上条君って結構サブカル系?」ヒキ

数々のトラブルの中で鍛えた俺のAKY(敢えて空気読まない)スキルは一瞬で撃沈した。


謎の緊張が解けると緩やかな人混みのざわめきが帰ってきて、目の前の相手との見えない距離感だけが空しく残る。
言葉はオブラートに包んでるけど、視線が『やべーこいつ電波だわ』って言ってる。
かくも目は口ほどに人を傷つけるのか!

上条「ち、違うんだ! 現実と空想を混同した可哀想な人を見る目を向けるな!! だぁぁ、ふこ――」


メイド「あーーっ! 君、『上条当麻』!?」ビシッ


不幸を嘆く台詞すら許されない圧倒的不幸!!

ついでに言うと能力開発的に現実と空想を混同してるのはホントは否定できない!

上条「じゃなくて、俺を知ってるのか!?」

新たに割り込んできたのは、いつぞやの蜂色メイドと同系統のエセメイドさん。
名指しで呼ぶってことは俺と同様この現象に巻き込まれたか、あるいは原因の側の可能性もある!

メイド「おー、なり切ってるぅ。ね、あれやって、『その幻想を――』?」

上条「――ぶち殺す!! ……って何をだ!」

メイド「すごーい超似てる! ね、写メ取っていい? 男の人のレイヤーさんってやっぱり割合少ないよねー」キャッキャ



497 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[sage saga] - 2014/06/16 22:07:05.80 +NwTAwHe0 6/7



だめだこのひと……。
俺はがっくりきて縋るように同行者の方を見た。
どうも、これまでの彼女とのやり取り以上に互いの認識が噛み合っていない気がする。
レイヤーって何なの? 層?

新入生「あ、上条君そのサークル見学してくんだ? じゃ、私は広場のステージ見にいくから――」ニッコリ

上条「あああ待ってくれ俺も何がなんだか分かってないんだって! ここまで来て見捨てるなんて殺生なッ!」

頼みの綱は電波野郎を押し付ける相手を見付け、肩の荷が下りたとばかりにこの場を離れようとしていた。
しかし俺からすりゃ突撃してきたメイドの方がよっぽど理解不能だ。
できたらこっちと話して状況を整理したい。

新入生「えー……。だって知り合いなんでしょ?」

上条「断じて違う! 多分メイドさんの人違い!」

メイド「え、大学デビューで華麗にカミングアウトじやないの?」

斜め上メイドは一旦視界から外した。

というか、冷静に考えるとお姉さんの『超能力』発言に対するさっきの反応はおかしい。
学園都市の外じゃSFの延長線上にある異能かもしれないが、それを開発している機関は世界的に知れ渡っている。

俺はきっと大きな思い違いをしている。
さっき自分でも確認したはずだ、『魔神クラスの力が介入している可能性』を。
単純に、学園都市の人間が『ここが学園都市だと忘れている』とか、俺が『何らかの手段で壁の外に移動させられた』とか。

そんなレベルの話ではないんじゃないか……?

上条「――頼む。頭がおかしいと思ってもいいから、これだけ教えてくれないか」

新入生「え、うん……」ドキ

メイド「ん? 実は結構複雑な事情なの?」ヒョコ

ここまで一緒に行動していた彼女と、テンションがやっと落ち着いた土御門垂涎のメイドっ娘が真面目な表情になる。
……もう遠回しに探っても仕方ない、な。


上条「――ここは『どこ』だ?」



かくして、

新入生「どこ、って。筑波大学でしょ?」

メイド「その1E棟一階ね。このへん迷路みたいだから道に迷ったクチかー」


現実と虚構が交差するとき、物語は始まる――?



新入生(っていうか、上条君女の人にばっかり勧誘されすぎじゃない?)



498 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[sage saga] - 2014/06/16 22:08:20.75 +NwTAwHe0 7/7



以上、誰得ローカルネタでした。

タイトルは

上条「俺の知ってる学園都市とちがう」

です。

・実際のつくばにはそこそこ電柱がある(禁書の学園都市の如く電柱のない街を謳う割には)
・話中のつくば知識は古い
・モデルにしたいくつかの団体と作者は無関係
・関係者の方がいたら全力で土下座

ちなみにこの上条さんには、
『現実の入学式会場にいた誰かが持っていた小説単行本を介して、禁書世界からこぼれ落ちた上条さん』
という生かされない謎設定があります。
幻想殺しは健在ですが、現実世界なので殺すべき幻想がないっていう。

色々垂れ流し失礼しました。