684 : ◇F/bQYgopwk[sage] - 2014/09/24 23:01:55.44 CdMhtaYs0 1/10超電磁砲の10巻を読んで思い浮かんだ話を投下します。
ドリー関係の妄想話です。
とある日の放課後、食蜂操折は悩んでいた。
そして食蜂操折と同じ悩みを警策看取も抱えていた。
ふたりともそれが嫌というわけではない。
常盤台中学の制服を着た食蜂と、霧ヶ丘中学の制服を着た警策が、学舎の園の中にある喫茶店の一角で同じテーブルの対角に座って顔を合わせている。
「ねえ、みーちゃん」
「なに?」
「私、ドリーに御坂さんに会わせてって頼まれているんだけどぉ、どうしたらいいと思う?」
「奇遇ね。わたしも同じようなこと言われてるんだけど、アナタは超電磁砲と同じ常盤台だから連絡付けやすいんじゃないの?」
「それはそうなんだけどぉ、御坂さんと私、あまり仲良くないのよねぇ。大覇星祭のときから更に敵対力、大きくなっちゃったし」
「さすがに食べ物にあたってトイレに籠りっぱなしってのはヤバかったんじゃないの?…常盤台のお嬢様としては」
「御坂さん活動力高いから大丈夫だと思ったんだけどぉ。…みーちゃんはドリーになんて言われてるのぉ?」
「妹達に会ってみたい、だって」ハァ
「ドリーって家族力、強すぎるんだぞ☆」
「家族って…、ああ、でもある意味そうなのか」
「DNAは同じだからねぇ」ハァ
小さくため息を付いてからティーカップに口を付ける。
「まあ、なるべく早く話すようにするわぁ。どのみち冥途帰しの所には妹達もいるし、隠し通せるとも思えないし」
「え?ドリーと同じところに妹達も居るの?」
「そうよぉ。冥途帰しのところが一番、調整力あるからだろうけどぉ」
「遅かれ早かれ、妹達とバッティングする可能性は高いわけね」
「四六時中見張っているわけにもいかないしねぇ」
「アナタの力で誰かに見張らせておくことはできないの?」チラリ
自分たちの周囲の席に座って優雅にお茶を嗜んでいる常盤台中学の生徒を見て、警策は尋ねる。
「んー。御坂さんに御坂さんの周りの人を操ったのがバレると、私、御坂さんに焼かれちゃうのよねぇ。さすがにそれは勘弁だわぁ」
「…このヒト達の中に、超電磁砲の周りの人がいたりしないわよね?」
「この子達は私の派閥だから大丈夫よぉ。操ってるっていっても、私達の話を聞かないようにしているだけだしぃ」
「そう。…じゃあここにいる間はみさきちゃんって呼んでも問題ない?」
「そもそも私がみーちゃんって呼んでいることから気づいて欲しかったわぁ。適応力低いぞ☆」
頬を膨らませて警策を軽く睨んでから、食蜂は呟いた。
「…私、本当の意味でのお友達はみーちゃんとドリーしかいないんだから、他人行儀な呼び方はやめてほしいんだぞ☆」
「わかった。じゃあこれからはいつでもみさきちゃんって呼ばせてもらう」
「友達力が上がったんだぞ☆」ニコ
―――――
数日後の放課後、美琴が放課後に常盤台中学の図書館に寄るという情報を入手した食蜂操祈は、図書館で席に座って本を広げていた御坂美琴に声をかけた。
「御坂さん、少しよろしいかしらぁ?」
「……何よ」
「折り入って、お話があるの。少しの間、周りの子達を操るけど、許してねえ」
「ちょっと待ちなさい!どういうことなの?」
「お話の内容が妹達に関係することだから、いろいろ困るのよぉ」
「…あの子達に何かしたら許さないわよ」バチバチ
「何もしないわよぉ。怖いから電気しまってくれるかしらぁ?」
「………いいわ。聞くだけ聞く」
「簡単に説明すると、外装代脳計画で私が実験体として扱われていた研究施設で、私は妹達の試作検体【プロトタイプ】とお友達になったの」
「試作検体ですって!?」
「妹達計画の予備段階、検体番号〇、通称ドリー」
「…ドリーが、その子の名前?」
「ええ。試作検体ということもあって、ドリーは傷だらけでいろいろな機械を体中に埋め込まれていたわぁ。それでもね、ドリーはとても優しい子で、私みたいな化物にも普通にお友達として接してくれた」
「…」
「この前の大覇星祭のとき、一緒に研究施設に忍び込んだの覚えてるかしらぁ」
「…ええ」
「あそこに外装代脳があったじゃない?アレ、木原幻生に乗っ取られそうになったから毀したわぁ。まあ、もともと必要なくなっていたのだけれど」
そこで一旦言葉を止めて美琴を見る。どことなく沈んだ表情だ。
「もしかして、覚えていないのかしらぁ?」
「いや、潜入したのは覚えているけど、そのあと、わたしもいろいろあったっていうかなんていうか…」
「…上条さんとのダンスは楽しかったかしらぁ?」クスクス
いきなりの予想外の質問に、美琴は顔を真っ赤にした。
「っ!!アンタ、な、な、な、なんでそれを!?」///
「『大覇星祭で御坂様とツンツン頭の高校生がダンスを踊っていた』と、もっぱらの噂なんだけどぉ」
「くっ、少ししか踊ってないのに!すぐ黒子に邪魔されたし!」
「まあいいけどぉ、その白井さんが捕り逃した警策看取も、ドリーのお友達なのよぉ」
「黒子が捕り逃がしたって、その警策って子、犯罪者なの!?」
「御坂さんが陥れられた木原幻生の手駒の一人だったのよぉ。今は普通の学生ってことにしておいてもらえると助かるんだぞ☆ …本当は、自首させる予定だったんだけどぉ、ドリーが離れたがらなくってぇ」
「…まあいいわ。それで?」
「外装代脳を破壊したときに、木原幻生の記憶を読んでわかったんだけどぉ、ドリーには記憶を共有するもう一人の試作検体がいたの」
「…その子は、無事なの?」
「ここまで話せば、無事かどうかなんてわかるんじゃない?」
「…どういうことよ?」
「やれやれ、御坂さんって意外と理解力低いのねぇ」
小さくため息を付いてから、食蜂はまっすぐに美琴を見る。
「私が研究施設で会った傷だらけのドリーは、身体の限界を超えるほど駆使された後で破棄されたわ。でも、記憶を共有する試作検体は研究施設の地下深くに封印されていたから、警策看取と一緒に迎えに行ったわぁ」
「…」
「私がドリーと仲良くなったのは、それまでドリーの相手をしていた警策看取がいなくなって、外装代脳計画の最終段階で暇を持て余していた私にドリーを宛がった研究者のおかげ」
「警策って子はどうしてドリーの側からいなくなったの?」
「傷だらけのドリーの身体を見て、ドリーの扱いを改善するように抗議をしにいって更迭されたそうよ」
「…そっか」
「もう一人の試作検体の身体には傷一つなくて、それでもドリーの記憶を持っていたから身体を隠すようにしていたけど、警策看取と再会して抱き合って喜んでいたわ」
「アンタは?」
「私は、警策になりすましてドリーの側にいたから、二人の再会を邪魔しないようにその場を離れようとしたの。そうしたらもう一人の…じゃなくて、もうドリーでいいわねぇ。ドリーが私を呼んでくれたのよぉ。看取【みーちゃん】じゃなくって操折【みさきちゃん】って」グスッ
「…」
「私は謝ったわぁ。みーちゃんに成りすましてごめんなさい。二人の思い出に割り込んでごめんなさいって。そうしたらドリーはふたりと過ごす夢を見ていたって笑ってくれたのぉ」ポロポロ
「…」グスッ
「それでねぇ、御坂さん。ドリーが御坂さんと妹達に会いたいって言ってるんだけどぉ…。会ってあげてもらえるかしらぁ」グスッ
「会うに決まってるじゃないの!私の妹なんでしょう?もちろん妹達も連れて行くわよ!」
間髪を入れず断言する美琴。
「御坂さんってぇ、本当に優しいわねぇ」クス
「何よ?まさか嘘とか言わないわよね!?」
「そんな手の込んだ嘘をついて私にどんな利点があるのかしらぁ?」
「そ、それもそうね…」
「…御坂さんには、今はもう無くなったけど外装代脳っていう弱点も見られているし、ドリーは試作検体とはいえ妹達だし、私としては新しい弱みを握られることになるけどぉ…」
美琴から視線を逸らし、食蜂は俯きぎみに呟く。
「…お友達【ドリー】の頼みで、私が叶えてあげられるものなら叶えてあげたいだけだしぃ」///
「食蜂…」
「御坂さんが妹達【ドリー】を使って私を脅すなんてことするわけないしぃ」
「あ、当たり前じゃない!」
「さすが御坂さん。包容力ありすぎだぞ☆」
「はいはい、褒め言葉として受け取っておくわ。…で、いつドリーに会えるの?」
「御坂さんさえよければ、今からでも」
「あ、妹達呼ばないと…」
「その辺は心配要らないわぁ。ドリーは妹達がいる病院にいるからぁ」ニコ
―――――
冥土帰しの病院のとある病室の扉をノックして、美琴は返事を待たずに部屋の中へと入る。
室内にいた常盤台中学の制服を身に着け、暗視ゴーグルを頭に装備した少女が、感情の乏しい眼差しを美琴に向けて口を開いた。
「いらっしゃいませお姉様。と、ミサカはミサカを代表してお姉様にご挨拶します」
「うん、こんにちは。みんな元気?」
「はい。お姉様、どのようなご用件で?と、ミサカは直球で質問を投げかけます」
「急で悪いんだけど、わたしと一緒に会ってもらいたい人がいるの」
「ミサカはこの時間、この病院から出ることを許可されておりません。と、ミサカはお姉様に申し上げます」
「あー、病院の中だから大丈夫よ。お願い」
「わかりました。と、ミサカはお姉様に手を差し出し、エスコートを要請します」
そう言って差し出された検体番号一〇〇三二号【御坂妹】の左手を美琴は右手で掴むと、御坂妹の横に並んだ状態で呟いた。
「…これから行くところには他にも数人いるけれど、わたしとアンタを呼んでいるのは試作検体〇号…通称ドリーなの」
「試作検体〇号ですか。と、ミサカは驚きを隠せずお姉様にお尋ねします」
「…うん」
「はて?ミサカネットワークにはその個体番号の情報がありませんが」
「試作【プロトタイプ】だからだと思う。ミサカネットワークの構造原案もドリーが元だと思うけど…」
「まあ会ってから考えましょう。と、ミサカは不安そうなお姉様を励ましてみます」
「ふふ。ありがと」ギュッ
―――――
「ちょっとドリー、ちゃんと食べないと駄目でしょう?」
「やだー。にがい。きらいー」
「我儘力、高すぎだぞ☆」
扉をノックしようとした瞬間、そんなやり取りが聞こえてきた。
「お姉様。試作検体というのはもしかしてお子様なのでしょうか?」
「そんなはずないと思うけど…」
「ちゃんと食べないと御坂さんと妹さん、来てくれないぞ☆」
「みさきちゃんのいじわるー」
「いや、もう来てるけど…」
「入るタイミングを逸しましたね」
「うー。うー。っんっ、うえーっ、にがいー」
「はい良く出来ました」
「みーちゃん、おみずー」
「はい、どうぞ」
「偉い、偉いわ、ドリー」
「ミサカはまだ見ぬ試作検体にサムズアップを贈ります」グッ
「さて、と。じゃあ行きますか」
そして美琴は扉をノックして、中にいる食蜂に向かって声をかける。
「食蜂?入るわよ」
「お邪魔します。と、ミサカは礼儀正しいのをアピールします」
「御坂さん、妹さん、いらっしゃい」
「…来てくれてアリガト」
「…みさか?いもうと?」キョトン
「はじめまして。わたしが御坂美琴よ。ドリー」
「はじめまして試作検体〇号。ミサカは検体番号一〇〇三二号のミサカです」
「…ほんとに、おんなじかお」
「…そうね。わたしの妹だから」
「お姉様…」
「…もちろん、アンタもわたしの妹ってことになるわね。ドリー」
「わたし、いもうと?」
「そうよ。アンタはわたしの妹」
「じゃ、じゃあ、その…。おねえちゃんって呼んでも、いい?」ニコ
「も、もちろん、いいわよ」(うっ!?凄い破壊力!)ズキューン
「じゃあじゃあ、いちまんさんじゅうにごうはわたしのいもうと?」
「はい、ミサカは、ミサカ達は貴女の妹です」
「みさかたち?」キョトン
「はい、ミサカには一〇〇三二号から二〇〇〇〇号まで九九六九個体が存在します」
「いもうとが、きゅうせんきゅうひゃくろくじゅうきゅうにん、いるの?いっぱいだあ」ニコ
「ミサカ達はミサカネットワークで繋がっていますので、ここにいない九九六八個体にも、試作検体〇号のことはリアルタイムで伝わっています。と、ミサカは妹達の凄さを胸を張って伝えます」
「じゃあわたし、きゅうせんきゅうひゃくろくじゅうきゅうにんのシスターズのおねえちゃん?」
「ミサカが全世界のミサカ達の総意として、試作検体〇号の呼称をおねえちゃんに決定したことを発表します」
「みーちゃん、みさきちゃん、わたしにおねえちゃんと、いもうとがいっぱいできたよー」ニコ
「良かったわねぇ、ドリー。一気に家族力増大だぞ☆」
「…御坂さん、妹さん、アリガト」
「お礼を言われる筋合いはないわ。わたしも妹が増えて嬉しいし」
「ミサカ達もおねえちゃんができて嬉しいです。と、ミサカは妹達を代表して心境を吐露します」
――こうして、御坂美琴にもう一人の妹ができたのであった。
おしまい
693 : ◆F/bQYgopwk[sage] - 2014/09/24 23:20:14.83 CdMhtaYs0 10/10以上です。
なんかgdgdだったかも…、いや、良い切り方が浮かばなかったorz