896 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[sage] - 2015/03/14 22:14:50.71 8hRx8w+go 1/11

10レスほどお借りします。
登場人物は警策看取、ドリー、麦野沈利です。過去です。

グロ注意

元スレ
▽【禁書目録】「とあるシリーズSS総合スレ」-40冊目-【超電磁砲】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1379543420/
897 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[sage] - 2015/03/14 22:15:23.73 8hRx8w+go 2/11

『クローンだって私たちと同じ……?』

『その通りだ』

『クローンも君たち能力者も、学園都市では等しく実験動物に過ぎん!』

898 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[sage] - 2015/03/14 22:16:18.99 8hRx8w+go 3/11


「っ……」

この夢を見るのはもう何度目だろうか。

寝ては悪夢に蝕まれ、覚めては痛みに苛まれる。

体の痛みを我慢し、歯を食い縛りながら警策看取はゆっくりと上体を起こす。
薄い布団から身を起こしたその視界には、いつもと変わらぬ無機質な壁、無機質な机、無機質な鉄格子。

いっそ寝たふりでもしていようか。
そう思ったこともあり実際にしたこともあるが、その時にそれは得策でないと学んだ。

冷たく必要最低限のこの牢獄の中に時計があるのは警策の正気を保つためだろうか。

だとしたら、それは上手くいっているといえる。
現にこうして思考を巡らせる余地があるのだから。

だが、それは決して囚われたお姫様のためではない。

それは――。

899 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[sage] - 2015/03/14 22:17:04.71 8hRx8w+go 4/11


「よお実験動物ちゃん?生きてるか?」

ガチャリ、と鍵の落ちる音がして鉄格子が開く。

「……」

「なんか言えよ、おい」

警策が黙ったままでいると、侵入者はツカツカと躊躇なく歩み寄り、警策の腹を蹴り上げた。

「ぐはっ――」

重い衝撃にお腹を押さえて蹲る。
冷たい床ではなく布団の上なのがまだ救いか。

「『おはようございます』だろうが」

「……おはようございます」

最初の頃は逆らう気力もあった。
延々拷問を繰り返すこの冷酷な女帝の前に、絶対に屈しないと。

だが今はそんな気力はない。

こいつが、麦野沈利が最初に来たのは二ヶ月ほど前――警策が監禁されて三月たったころだ。

900 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[sage] - 2015/03/14 22:18:14.70 8hRx8w+go 5/11


麦野『――で?こいつ好きにしていいの?』

研究者『殺さなければ好きにしろ。できれば人の形は保ってやってくれると有難い』

牢獄の前でそんな会話が交わされていたのも遠い記憶だ。
それまで牢獄の中とは言え安全な状況にいた警策の生活は、その日から身体的な苦痛をも伴い始めた。



麦野『おら、『ごめんなさい』だろうが』

警策『……』

麦野『とっとと言えよクソガキ!』

警策『……うるさい』

麦野『――へえ』

麦野の動機はなんだろうか。
憎しみ、妬み、恨み、ストレス――何にせよ、こいつの目的は果たさせない。そう思い必死で抵抗していた。

だが、

麦野『あ?――目的なんかねえよ。やりたいだけだっつーの』

なんの動機もなく、ただ痛め付けること、苦しませることを欲す。

当時の警策のせいぜい二、三個上の少女の歪み、捻れ、狂った欲望を前に、警策を睨む獰猛な獣のごとき心を前に、終わりのない苦痛を前に、警策の心はへし折れた。

901 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[sage] - 2015/03/14 22:19:52.16 8hRx8w+go 6/11

麦野『人間って脆いよなあ』

こいつがそんなことを言ったのはいつのことだったか。
よく覚えていないが、恐らく二週間ほど前だろう。

麦野『殺しちゃいけねえっつーからこっちも大変なんだよな。殴る蹴るはもう慣れたんだろ?』

彼女の言う通り、その頃の警策はもう殴る蹴るの暴行に大して悲鳴を上げることはなくなった。
小さく呻き体を丸め、ただ過ぎ去るのを待っていた。

麦野『だからさ、死なない程度のを考えたんだよ。これなにか分かるか?』

麦野が懐から取り出したのは、凶悪な光を放つナイフだった。

警策『……刺す、の?』

人間の手で与えられる苦痛には限度がある。だが、道具にはそれはない――恐怖を圧し殺して聞き返した警策に、麦野はつまらなさそうに答えた。

麦野『そんな下らねえことしねえよ。間違って殺したらめんどくさいし』

そう言うと麦野はまたポケットに手をいれ、ライターを取り出す。
恐怖に震える警策の前で麦野は愉しそうにしばらくの準備を終え、

麦野『ほらよ!』

警策『っ――うあああああああああああっ!!!!』

ライターでナイフを炙る。
炙られて熱せられた金属が警策の肌を灼く。

麦野『あはははは!久しぶりにいい声で鳴いてんじゃねえかモルモットォ!!』

こりゃ時間かかるだけのもんはあるな、とニヤつき、再び警策の胸にナイフを押し付ける。
絶叫し続ける警策の前で麦野は再びナイフを熱し始め――。

902 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[sage] - 2015/03/14 22:21:07.45 8hRx8w+go 7/11

麦野「そろそろ飽きてきたと思ってな、今日は看取ちゃんのために刺激的な遊びを持ってきてやったよ」

得意気な表情の麦野の足元でぼんやりと思う。
今更どんな苦痛も知ったことではない――拳、足、木刀、ライターとナイフ、スタンガンなどなど、数え上げれば切りがない凶器に苛まれてきたのだから。
彼女はいくらでも警策の体を痛め付ける手段を見つけてくる。

そう思っていたからこそ、彼女の新しい『遊び』は想像を越えていた。

麦野「連れてこい」

牢獄の外に声をかけた麦野に警策は怪訝そうな目を向け――次の瞬間、目が大きく見開かれる。

警策「ドリー……!?」

研究者が連れてきたのは見慣れた少女。最後にあったのはいつだったか――懐かしむ暇はない。
これから起こることが容易に想像できたからだ。

903 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[sage] - 2015/03/14 22:22:27.85 8hRx8w+go 8/11


警策「アンタ……ドリーに手ェ出したら……」

麦野「あ?」

ドス!と鋭い蹴りが再び警策を床に沈める。

麦野「アンタになにができるっつうの?」

蹲る警策を一瞥して、麦野はドリーを受けとり――警策にニヤリと笑いかけた。

麦野「見ろよ、こいつ。もう死にかけだ」

彼女の言う通り、ドリーは誰がみてもわかるほど衰弱しきっており、目もほとんど開いていない。

警策「なにを……」

麦野「私はまだなにもしてない」

麦野はニヤっと笑うとドリーを床に放り出した。

麦野「今からするんだよ」

荒れた口調はテンションが上がっているときと苛立っているとき。今回は明らかに前者。

警策「まっ……て、それ、は……」

麦野「じゃあな、よく見てろよ」

壊れかけの体に鞭打って起き上がろうとする警策の前で、麦野の体の周りに緑の球体が浮き始めた。
『原子崩し』。
麦野のもつレベル5の、破壊力に特化した、

警策「やめてえええええええっ!!!」

叫ぶ警策の目の前で、ドリーが光に包まれて――

904 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[sage] - 2015/03/14 22:25:23.00 8hRx8w+go 9/11


「……許さない」

それから数日後。
牢獄の鍵は開き――しかし奴も、他の研究員も来ることはなかった。
自由になれた、と気づいたのは開いてから半日あとだ。

誰もいない研究所を覚束ない足取りで歩く。
目的もなく、感情もなく。

やがて屋上に辿り着く。
ただの研究所がこれほどの高いビルなわけがない。なにか特別なのだろう。
あの研究員の言う通り、統括理事会が噛んでいるというのは本当のようだ。

「――ああ」

街は目下数十メートル。下手したら百メートル以上あるだろう。
友達もキャリアも失い、身体中は傷だらけ。痛みもまだまだ癒えないだろう。

もう、楽にして――

「……あ」

星と言うものは学園都市からは見えない。
だが、まるで星のように高い、高い場所に見えるその建物――第一学区、窓のないビル。

あいつらが。
統括理事会、研究所、クローン計画、麦野沈利。

この街に愛された奴らと、この街そのもの。
それら全てがドリーを弄び、壊した。
警策の目に光が戻り、足に力が入る。


まだ死ねない。


「……せいぜい高みから見下ろしているがいい」

吐き出される熱い恨みは、決して止まることはない。

「実験動物にだってお前たちに突き立てる牙があることを教えてやる」

暴れだす冷たい憎しみは、決して消えることはない。

どんな状況でも、折れることはない確かな芯――。

905 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[sage] - 2015/03/14 22:26:43.44 8hRx8w+go 10/11


それから数年後、統括理事長を標的にしたテロが実行された。

事件は失敗に終わり――その後誰と出会い、どう進むのかはまた別のお話。

906 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[sage] - 2015/03/14 22:28:30.21 8hRx8w+go 11/11

以上です、喰種の拷問シーン見てたら思い付きました。

警策かわいい!→警策のSSない!→かわいい警策書こう!
だったはずなのにどうしてこうなった

>>904 完全にsaga忘れてた、すいません