9 : 弱肉強食[saga] - 2015/12/27 14:33:07.85 a+hc/twYO 1/9

数レスほどお借りします。
少し残酷な描写がございます。

元スレ
▽【禁書目録】「とあるシリーズSS総合スレ」-41冊目-【超電磁砲】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1450865667/
10 : 弱肉強食[saga] - 2015/12/27 14:34:29.00 a+hc/twYO 2/9

西多摩鳥獣保護区ーー

東京都の3分の1を占める広さを持ち、東京・神奈川・埼玉・山梨の一都三県にまたがるこの鳥獣保護区は、都心に最も近い自然保護区として知られております。

ここは1947(昭和22)年、戦災と戦後の混乱によって激しく傷ついた多摩丘陵の森林環境及び固有の生態系を守るために創立されました。ナショナル・トラストをはじめとする地域住民や市民による不断の努力の結果、今では230種類もの動植物種が繁栄するようになり、都心のすぐ近くで自然に触れ合うことの出来る数少ない場所として人々に親しまれています。
西多摩鳥獣保護区は23地区に分かれており、さらに多摩川など同保護区内に水源を持つ幾つかの河川も保護区に含められています。

11 : 弱肉強食[saga] - 2015/12/27 14:35:37.43 a+hc/twYO 3/9

そしてここは、東京湾に面した多摩川河口。近くには羽田空港も見えますね。

おや? 水際を歩いている動物の親子がいます。近づいてみましょう。猫にそっくりですね。
そうです、こちらが今回の主人公である、ミサキャットです。
ミサキャットはこの鳥獣保護区でしか見られない固有種であり、ヤマネコの一種だと考えられていますが、その生態は他のネコ科と比べてあまりにも変わっているのです。

母猫が水面を覗いています。何をする気なのでしょうか。

ミサキャット母「ムシスンナヤゴラァァァァァァ!!」

バチバチ!

ご覧ください。体からものすごい量の電流がほとばしっています。なんとミサキャットは、デンキウナギやシビレエイと同様、筋肉から分化した発電器官を有しているんです。主に捕食や外敵から身を守るために用いていると考えられており、最大出力はなんと2億Vに及ぶとされています。人間などひとたまりもありません。

12 : 弱肉強食[saga] - 2015/12/27 14:36:45.75 a+hc/twYO 4/9

ソゲブウニ「フコ……ウダ……」

水面から魚やウニが浮いてきましたね。どうやら水中に電流を流して餌を採っていたようです。
ミサキャットは基本的に肉食・魚食が中心であり、中でも同じく鳥獣保護区固有種であるこのソゲブウニを好んで食べると言われています。

ミサキャット仔「ナンカゴハンヲゴハンヲクレタリスルトミサカハミサカハシアワセシスウガサンジュウホドアップシテミタリ」

母猫が餌を陸に引き上げると、小さな仔猫達が3匹集まってきました。可愛いですね。
ところでこの仔猫達をよく見てください。

ミサキャット仔「オイシイオイシイッテミサカハミサカハヒョウカシテミタリ」

みんなお母さんそっくりですね。実はこの子達はいずれも雌であり、母猫から直接分裂する形で産まれたのです。
ミサキャットは単為生殖を行うことのできる唯一のネコ科であり、今までに確認された個体のほとんどが雌で、雄はごく少数です。

高い繁殖能力と強力な武器によって、怖いものなしに見えるミサキャット。しかし、そんな「彼女」達にも恐ろしい天敵はいるのです。次は、彼女達の天敵について見て行きましょう。

13 : 弱肉強食[saga] - 2015/12/27 14:44:39.00 a+hc/twYO 5/9

ここはより内陸の林。こちらの親子は、どうやら狩りを終えて巣に帰る途中のようです。

ミサキャット仔「チョットノドガカワイタカモッテミサカハミサカハ」

突然2匹いた子供のうち1匹が近くの池に向かって駆け出しました。どうやら喉が渇いたようです。しかし、水中には恐ろしい敵がいます。

仔猫が水を飲もうとした、その時!

黒子ダイル「ホネェサバァァァァァァ!」

突然小柄なワニが飛び出してきました。保護区固有種の黒子ダイルです。このワニは極めて高い瞬発力を誇り、あたかも瞬間移動しているかのような素早さで獲物を捕らえます。最大速度はなんと時速288kmにも及ぶと言うから恐ろしいですね。
当然仔猫は逃げる間もなく、そのまま丸呑みにされてしまいました。

一方、残された親子は、まさか自分の家族がそんな目に遭っているなどとは夢にも思わず、そのまま歩いて行きます。所詮は畜生、自分の子供が自分の目の届かない場所で危険な目に遭う可能性があるということにまで考えが及ばないのでしょう。しかし、彼女達にもすぐに危機が訪れることとなるのです。

14 : 弱肉強食[saga] - 2015/12/27 14:46:28.49 a+hc/twYO 6/9

突然目の前の藪がガサゴソと大きく揺れ始めました。身構える母猫。その陰に隠れる仔猫。次の瞬間!

シズリグリズリー「ブチコロシカクテイネー!」

突然巨大な熊が藪から姿を現し、母猫目掛けて爪を振り下ろしました! 素早く後ずさって攻撃を躱す母猫。背中には仔猫も一緒です。

保護区固有種であるシズリグリズリー(メルトグマ)は、更新世後期に絶滅した史上最大の熊、アルクトドスの末裔だとされており、極めて巨大に成長することで知られています。力もかなり強く、片手でアフリカゾウを投げ飛ばすことができるとされています。
この個体はどうやら過去の戦いで右眼と左前足を失ったようですね。百戦錬磨という奴でしょうか。かなりの手練れと見ました。

15 : 弱肉強食[saga] - 2015/12/27 14:47:41.39 a+hc/twYO 7/9

巨大な熊と対峙する小柄な猫。某熊犬漫画を彷彿とさせる光景です。

シズリグリズリー「パリィパリィパリィッテカァァ!!?? ワラワセンジャネェゾクソガキィ!!!!!」

但し、あちらとは異なり、こちらは防戦一方のようですが……。おっと! どうやら隙を見つけたようです。

ミサキャット母「タッタヒトツデイイワタシノネガイヲキイテ! ワタシニハキットミンナヲマモレナイ」

ミサキャット仔「ウンワカッタヨッテミサカハミサカハ」

戦闘に巻き込まれないよう、少し離れた茂みの中に素早く仔猫を下ろし、一気に反攻に出ます!

ミサキャット母「コレガワタシノゼンリョクダアアアアアア!!」

ビリビリビリビリビリ!

シズリグリズリーの胸に飛び付き、ありったけの電流を流し込みました! よほどの量だったのか、全身の毛が逆立って発火すらしています。雷に打たれたようなものでしょう。

ミサキャット母「オコサマノケンカモバカニデキナイデショ?オバサン」

シズリグリズリー「オバ↑サン↓ダトフザケンジャネエヨテメェ! オネエサンダルルォ!?」

断末魔の咆哮と共に地面に倒れ伏すシズリグリズリー。どうやら仕留めたようです。
勝ち誇った表情の母猫。
しかし、彼女が誇らしげに仔猫の方を振り向いたその時!

ミサキャット仔「キャアアア!」

16 : 弱肉強食[saga] - 2015/12/27 14:50:00.26 a+hc/twYO 8/9

我が子から目を離した一瞬の隙が仇となったようです。ただ1匹生き残った仔猫は、今まさに白い大蛇によって絞め殺されようとしていました。

ロリコンダ「アッシュクアッシュク! エモノヲアッシュクゥ!」

ミサキャット仔「ウウ……チョットクルシイカモッテミサカハミサカハウッタエテミル」

ミサキャット母「イヤ……ソンナ……」

最も恐るべき敵、ロリコンダです! この蛇は、普段は数十センチにも満たないほど小柄なのですが、細胞やホルモンなどを自由自在に操って最大10メートル超にまで巨大化することが可能であり、空気の流れなどを機敏に感じとって普通の蛇以上に正確に獲物を捕らえることができます。また、如何なる攻撃も寄せ付けず全て反射してしまう頑丈な鱗を持っています。電流もまるで効かないので、彼女達にとっては甚だ相性の悪い相手と言えましょう。

ロリコンダ「クカキケコカカキクケキキコカカキクココクケケケコキクカクケケコカクケキカコケケキキクククキキカキクコククケクカキクコケクケクキクキコキカカカーッ!!」

ミサキャット仔「グ、グルジ……アアアアアア」

バキボキメキバキ!

ミサキャット母「イヤァァァァァァァァ!」

ロリコンダ「ギャハッ! ナンダナンダヨナンデスカァソノザマハ!」

哀れにも仔猫は、母猫の目の前で無惨にすり潰されてしまいました。心なしか、母猫の表情も絶望に満ちているように見えます。
そして、あまりにも悲しみが大きすぎたためか、後ろの注意が疎かになっていました。

17 : 弱肉強食[saga] - 2015/12/27 14:51:23.01 a+hc/twYO 9/9

シズリグリズリー「チョーーットアタマノネジガユルンデルミタイダネ。シメナオシテホシイ?」

なんと、一度は心臓の鼓動を止めたシズリグリズリーが再び息を吹き返したではありませんか! なんという執念! なんというタフさ!

シズリグリズリー「サンニーイチドバーン!」

シズリグリズリーは、前足を大きく振り上げると母猫の脳天目掛けて勢い良く振り下ろし、そのまま母猫の頭を粉々に打ち砕いてしまいました。
彼女はその場にとどまり、辺り一面に散らばった脳漿や血液をしばらくペロペロと舐めていましたが、ロリコンダが物凄い目つきで睨みつけていることに気づくと獲物を置いてそそくさと立ち去って行きました。

ライバルが去ったのを見届けたロリコンダは、悠然と戦利品に近づいて行き、満足げな表情で丸呑みにしてしまいました。
230種類もの生き物が集う西多摩鳥獣保護区。その生態系の頂点に君臨するのが、彼らロリコンダなのです。

このように大自然の掟というものは、時として我々人間にとってかなり残酷なものに感じられることがあります。しかし、この厳しい掟があるからこそ、自然のバランスは保たれているのです。

終り