151 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[sage] - 2016/09/08 00:31:22.76 wvWz9Y47o 1/16少し借ります。
滝壺と麦野がだらだらと女子会()をする話です
浜面「うぉ、酒臭ぇ!」
麦野「おいおい、年頃の娘捕まえて臭いとは何だ」
滝壺「おかえりぃ、はまづらぁ……ごめんねぇ、夜遅くまで仕事して頑張ってるのに、宴会してて」
浜面「まぁ、いいけどよ。誰かに迷惑かけてるわけじゃねぇんだし。でも、未成年だよな二人とも」
麦野「ああん? 未成年に見えないってか? ケバいとか言うつもりか、焼き切ってやる」
滝壺「ダメだよ麦野。切っちゃったら私が困る。子供は二人欲しいんだから」
浜面「ダメだ、完全に酔っ払いだ」
滝壺「酔っぱらったっていいじゃない。うふふふ」
麦野「っていうか、そこでぼぉっと突っ立ってんじゃなくってさ。浜面も飲めよ」
浜面「まぁ、誘ってくれるなら飲むけどさ。先にシャワー浴びてからな、汗臭いから」
滝壺「こっちは酒臭いから大丈夫、はまづらも応援してあげる」
浜面「よくねぇっつうの、デオドラント的に」
麦野「シャワーが先だっていうんならさっさと済ませてきな。ついでになんかツマミ作れ」
浜面「文脈が全くつながってないぞ。ともかくシャワー浴びてくるわ」
滝壺「……行っちゃった。ここは乱入すべきかな?」
麦野「乱入してどうするんだよ。あんた、少しまわりすぎ」
滝壺「アルコール抜く意味で熱いシャワーもありだと思うよ。まぁ、でも意外と乙女なむぎのにそーいう度胸がないからやらないけど」
麦野「なんだそりゃ、なんでそこで私が出てくる」
滝壺「むぎのも一緒だったら乱入しようかなって」
麦野「滝壺、あんたねぇ」
滝壺「一人じゃ怖いもん。あー、でもやっぱりシャワーは違うかも。夜の混浴の露天風呂とかだったら突入できるんだけど」
麦野「あ、それはなんとなくわかるわ。シャワーだと近すぎるっていうか、近すぎて怖いっていうか。露天風呂だと空間的にひらけているからちょっと安心できそう」
滝壺「露天風呂だとそんなに明るくないしね。スタイルに自信なくても誤魔化せそう」
麦野「……滝壺、スタイルいいじゃない」
滝壺「むぎのに言われると、ちょっとむっとしちゃう。持てるものの余裕っていうか、いやみっぽい」
麦野「あんたがそれを言うか。こちとら作り物の整形ボディだよ。顔だって特殊メイクの化け物さ」
滝壺「元と変わらないじゃない。気になるのなら直せばいいのに。治す、かな?」
麦野「……ツケが返せないうちは無理だよ。返しきれるかどうかもわからないしさ」
滝壺「むぎのにそんなこと言われちゃったら私たちみんな何もできなくなっちゃうよ。はまづらだったら許してくれるって、むぎのも言ってたじゃない。その言葉でいつも開き直ってるのに、ずるいよ」
麦野「ずるい、か。ずるいよなー、私もさ。ずるいっていうか、いつもまでもぐじぐじとしててさ。加害者の分際で被害者意識で傷ついたふりして、浜面に同情かけられようとして」
滝壺「欲しいのは同情じゃないんでしょ?」
麦野「……うっさい」
滝壺「ずるいよね、むぎのは。はまづらは確かに私を選んでくれたのに、それでもね、ロシアであんなに抱きしめられちゃって。私、ものすごく嫉妬したのに、でもものすごく納得もしちゃって。そして、それとおんなじぐらいむぎのは可哀想だなって、思っちゃった」
麦野「納得? 可哀想?」
滝壺「だって、むぎのはこれからの一生、あの瞬間以上に幸せになることはできないんだよ? 攻撃的で情け容赦なくて、我儘で、そのくせ傷つきやすくて、本当は甘えたがりで。現実を理解しても一切妥協ができなくて自分を止められない。そんなむぎのを認めてくれる人は、きっと世界中でただ一人だけだから」
麦野「持てるものの余裕でいやみってやつ?」
滝壺「言ってるでしょ、私は、むぎのに嫉妬してるんだって」
麦野「……私は、諦めてねーから」
滝壺「知ってる。そんなむぎのを私は応援している」
麦野「滝壺、あんた本気でバカでしょ」
滝壺「バカだよ、そんなの、知ってるよ。ずっと前から。うん、この際だから全部言っちゃおうかな」
麦野「何をさ」
滝壺「私、ずっと死にたかった。正確に言うとね、『意味を持って死にたかった』」
麦野「……」
滝壺「暗部なんてところに居て、数秒後にはひき肉になっているかもしれない世界で。すっごく命の価値は低いのに、私はやっぱり『特別な存在』で居たかったの。殺してばっかりの私たちだから、もし、『誰かを助けるために死ぬことができたのならば私は特別なんだ』って、そんなこと考えて。だから体晶を使うことも抵抗がなかった。だって、特別なことなんだから」
麦野「……そっか、滝壺、あんた……」
滝壺「そうだよ。私が第二位からはまづらを守ったのは、そのため。私のため。はまづらである必要なんてなかった。『誰でもよかった』んだよ。それなのにさ、はまづらは私を守るためにむぎのと戦った。無能力者が超能力者に立ち向かうのって、きっとすごく怖いことなんだと思う。がたがた震えて、びくびくおびえて、それでも私のために戦ってくれた。……だから、私は怖いんだ」
麦野「本当に、浜面のことが好きになったから、か。なんだよ、のろけ話じゃねぇかよ」
滝壺「だって、私ははまづらが望んでいるような綺麗な女の子じゃない。もっとドロドロとした曖昧でお腹の中真っ黒な気持ちの悪い生き物なんだよ? それでも、そんな私でも、はまづらにだけは嫌われたくなんかないの。明日が来ることが楽しいって思えるようにしてくれた人の一番大切な存在でいたいの」
麦野「なんでそういうこと私に言うかね」
滝壺「むぎのだけはわかってくれると思うから」
麦野「理解はできる。納得もできちまう。けど、なんていうかさ……」
滝壺「切ない?」
麦野「……」
滝壺「ごめんね、むぎの。でもね、むぎのにはわかっていてもらいたいの。私はね、もし私とはまづらがうまくいかなくなったとき、はまづらを幸せにする女の人はむぎのだったら良いなって、思ってるから」
麦野「今度は理解できないし納得もできないよ。バックアップって言われて、嬉しいわけないじゃん」
滝壺「うん。やっぱりドロドロしていてうまくまとめられないんだ。でも、全部本当の気持ちだから」
麦野「酔いすぎだよ、滝壺」
滝壺「うん、お酒の力借りないと吐き出せなかったかも」
麦野「そろそろソフト系に変えるか。安いチューハイか、コークハイあたりでどう?」
滝壺「うーん、カルアミルクある?」
麦野「カルアの原液はビンあったと思うけど、牛乳あったかなぁ」
浜面「ふぅ、さっぱりした。確か牛乳なら今朝あったぞ、麦野」
麦野「ちょうどいいタイミングじゃない、浜面。カクテルの注文が2つだ。カルアミルクとカリモーチョ、カリモーチョが私で」
浜面「うへぇ、このワインをコーラで割るのかよ? もったいねぇ」
麦野「いいんだよ。で、あんたは?」
浜面「俺は缶ビールでいいや」
滝壺「あ、あとおつまみなんか作って、はまづら」
浜面「つまみ? ま、いいけどよ。簡単に作れる奴にしないと……お、枝豆余ってるじゃん、これ使っていいか?」
麦野「んー、構わないわよ。コンビニで買ってきた安物だけど」
浜面「じゃ、これを頂いてっと。あとは冷蔵庫に……ジャガイモがあって、ひき肉と玉ねぎがあるな。よし、少し時間かかるけどいいよな?」
滝壺「一時間とかじゃなけりゃいいよ。飲みながら待ってる」
浜面「ほいな。とりあえずカルアとカリモーチョ。すぐ作っちまうからさ」
浜面「まずは一品目。枝豆のペペロンチーノだ」
浜面「材料はこんな感じかな。
①枝豆 適当
②オリーブオイル 大さじ1
③にんにく 1かけら
④鷹の爪 1/2本 」
浜面「枝豆をさやから出して、ボールに分けておく。コンビニで買ってきた塩ゆで枝豆なんで下味はついている。あとは、弱火~中火で温めたオリーブオイルににんにく、鷹の爪で香りと辛さを移してやって、強火で30秒ほど枝豆を炒めてやれば出来上がりだ。普通の枝豆と違って手で食べられないのが欠点だな。小鉢にとって、スプーンで食べてもらおう」
浜面「んでもって、2品目。ジャガイモのそぼろあんかけ」
浜面「材料はこんな感じ。
①ジャガイモ 大1
②ひき肉 30g程度
③玉ねぎ 小半分
④紅ショウガ 適量
⑤鶏がらスープ 中さじ1
⑥片栗粉 適量
⑦塩コショウ 適量
⑧水 コップ半分 」
浜面「まずはジャガイモを2センチ角で賽の目切りして、ラップしてレンジでチン。その間にひき肉、みじん切りにした玉ねぎを塩コショウして炒めて、で、火が通ったジャガイモを投入。水に溶かした鶏がらスープも投入崩れないように、でもって軽く透明感が出るぐらいに火を通して。で、片栗粉でとろみをつけたら小鉢に盛り付けて。最後に紅ショウガで彩りつけてやれば完成だ。これも小鉢スプーンだな。あんってことを考えるとレンゲの方がいいか?」
浜面「ほれ、お前らできたぞー」
麦野「遅い。もう一杯開けちゃったぞ」
滝壺「浜面の背中見ながらだとお酒進むのが早いね」
浜面「この酔っ払いどもが。いまさらツマミ必要か?」
滝壺「はまづらがお腹すかせてるじゃない」
麦野「私も酔っぱらった頭で包丁握りたくなかったし。理由づけしてやっただけ感謝しろ」
浜面「ありがたくて涙が出ますよ、と。ともかく、せっかく作ったんだから熱いうちに食えよ」
滝壺「そうだね、いただきます。まずは枝豆からかなぁ」
麦野「……こりゃ、どうやったって外れないわ。これだまずかったら暴動がおこるレベルの組み合わせじゃない」
浜面「ニンニクと唐辛子の組み合わせは汎用性高いからなぁ」
滝壺「うん。確かにおいしい。おいしいんだけど、枝豆の食べやすさがなくなっちゃったよね」
浜面「まぁなー。さや付きでペペロンチーノにしてもアリなんだけど、そうすると手が汚れるしな」
麦野「味はさいこーなんだけどね。おツマミって感じじゃないね。一品料理だ」
滝壺「うん、じゃあ次はジャガイモのあんかけを」
麦野「……これも外れないなぁ。鶏がらスープとひき肉、玉ねぎの餡かけで、癖のないジャガイモだろ? 強いて文句つけるんならデンプンだからお腹がすぐ膨れそうってところかな?」
滝壺「それはマイナスにならないよ。紅ショウガがいいアクセントになってる。ご飯が欲しくなるね」
浜面「デンプン+デンプンの組み合わせで怒るやつもいるけどなー。白い飯ともよく合うんだぜ、滝壺の言うとおりにさ」
麦野「むしろそっちが主だろ。酒のツマミとしてもアリだけど、どっちかというとご飯のおかずだよ、これ。いや、味は結構好みなんだけどさ」
浜面「いいだろ別に。冷蔵庫が作れって言ったんだから、俺は悪くねぇ」
滝壺「うん、はまづらは悪くない」
麦野「そうだね。浜面は悪くない。繰り返しになるけど、この味は好みだよ、私としては」
浜面「まるっきり褒められてる気がしないんだが」
麦野「じゃあ飲め。鬱屈してるところがあるんなら吐き出しちゃえ」
浜面「飲ませる前になんか俺に言うことないか?」
滝壺「あ、うん。ご馳走様でした。美味しかったよ?」
麦野「なんだかんだ言ったけど、満足はさせてもらったわ。ご馳走様」
浜面「はいはい、お粗末さま。じゃ、俺も飲むかな。軽く一杯程度」
滝壺「なんで? たくさん飲めばいいじゃない。私、まだ飲み足りない」
浜面「とりあえず、自分の顔がどれぐらい赤くなっているか理解してから言おうな、滝壺。いくら恋人でもリバースフォローは勘弁してほしいわ」
麦野「まだ青くなってないから大丈夫でしょ。悪酔いする前にセーブしてるから、付き合えって。それに、浜面がシャワー浴びてる間にある程度吐き出しちゃったしね、お互い」
浜面「おいおい、吐いたら胃が荒れるし、それで俺に料理作らせて食ったのか? 絶対後で後悔するぞ、二人とも」
滝壺「ふふふ。そういう意味で吐き出したわけじゃないから大丈夫だよ。はまづらには絶対聞かせられない心情を吐露しただけ。だから、はまづらも応援して? 私も、むぎのも、ずっとね?」
165 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[sage] - 2016/09/08 00:45:53.18 wvWz9Y47o 15/16以上です
滝壺さんを可愛く書くのって難しいと思います。
非常に受け身なキャラですし、「誰かの反射」としての配役が非常に多い
そんな中で、浜面を守るために垣根と戦う道を選んだ、という一点
ここをどういう風に解釈するかは重要だと思います
168 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[sage] - 2016/09/08 08:21:40.82 J401VoIUo 16/16浜面が料理するSS……見覚えがあるぞ
ともかく乙