御坂(どうやら撮影は快調のようね)
テレスティーナの操る駆動鎧の腕飛ばし攻撃をさばきつつ、
御坂美琴は確かな手応えを感じとっていた。
次は前半部分(専門的にはAパートという)の最大の見せ場、
「突っ込んでくるテレスティーナを、白井黒子との協力プレイで撃退する」というシーンである。
もちろん不安はない。この日のために念入りにリハーサルを繰り返してきたのだ。
絶対に成功する、いや、させる。意欲は十分。あとはテレスティーナのセリフを待つばかりだ。
テレス「うひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!無駄なんだよおおおおおおお!!!!!!」
まっすぐ御坂に向かって突っ込むテレス機、台本の通りだ。
ここで御坂が黒子を呼び、ちょうどよい大きさの金属片をとばしてもらう手筈になっている。
御坂「だったら見せてやんわよ…黒子ーーーー!!!」
しーーーーーーーーーん………
御坂(あ、あれ?黒子?聞こえなかったかな?)
すうーーーーと息を吸う御坂
御坂「黒子おォーーーーーーーー!!!!!!!」
御坂「黒子おおおおおおォォォォォォ!!!!!!!」
御坂「黒子オオオオォォォォオオオオォオォォオオォォォオォォォォオォォォ!!!!!!!!!!!!!!!」
ひゅん!
黒子「た、大変ですのお姉様!!!」
御坂「ぜえ……ぜえ……黒子!?あんた何してんの!?ちゃんと台本通りに……!」
黒子「それが……お姉様が飛ばせそうな程度の大きな金属片が見つかりませんの!!!」
御坂「な……なんですって!?…………ぜえ………ぜえ………」
御坂「じゃあどうすんのよ!?」
黒子「ど、どうすんのよ!?と言われましても……」
テレス「うひゃうひゃうひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!!!!!!!」
御坂(まずい……このままじゃあ……何か……何か飛ばすものがあれば……!)
御坂「……」
黒子「お姉様……?そんなじろじろ見られては照れま……」
がし!!!
黒子「お、お姉様!?」
ビリビリビリビリビリ!!!!
黒子「がががががが!!!!お姉様あ!!!!」
御坂「黒子……よく聞いてちょうだい……今からあなたの体に電気を流して電磁石にするわ!!!!
名付けて電黒子!そして磁石は当然電気といろいろ関係があって……
ごめん!!!何言ってるかわからないね私!!!とにかく黒子!アンタを飛ばすわ!」
黒子「そ、そんな!お姉様!やめてくださいまし!!!」
御坂「大丈夫……!台本によればアンタがいなくてもここからの展開には支障がないから……!」
ぶううーーーーーーん!!!!!
御坂「これが……私の全力……!!!」
黒子「やめますのおおおおおおおお!!!!!!!」
御坂「いっけえええええええええええ!!!!!!!!!!!!」
ぶおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおん!!!!!!!!
テレス「!!!!」
どごおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおん!!!!!オネエサマーーーー!
御坂「……黒子おおおおおおおおおお!!!!!!!!!」
テレスティーナの駆動鎧を見事に撃退した御坂美琴……しかしその代償は大きかった……
御坂(さようなら黒子……あなたのことは忘れないわ……)
ききーーーーーー!ばたん!
木山「大丈夫か!?」
御坂「私があんなのに負けるわけないでしょ!」
佐天「あの、白井さんは……?」
御坂「……!みんなに残念なお知らせがあるわ。黒子は……テレスティーナの手にかかって……」
木山「な、なに……!」
佐天「そ、そんな……御坂さん、冗談ですよね……?」
初春「……」
御坂「ごめんね、みんな……私が不甲斐ないばっかりに……うう……ぐす……」
木山「いや……君は良くやってくれたさ……」
佐天「悪いのはテレスティーナですよ!」
初春「……御坂さん、白井さんをヤッたのはテレスさんなんですよね?」
御坂「ええ……残念だけど……」
初春「私には御坂さんが白井さんに電気を流して、吹っ飛ばしてるように見えたんですけど……
気のせいですよね」
佐天「え、ええーーー!?」
木山「いや……そう言われると確かに……」
御坂「……!」
御坂「さ、次行くわよ」
研究所
御坂「……初春さん、まだなの!?」
初春「急かさないでください!こっちだって必死で……」
御坂「ああ!もう予定より1分もオーバーしてる!」
初春「だから静かにしてください!もうすぐですから!」ギスギス!
御坂「早く早く……」
初春「……」
がたん!
御坂「初春さん……?」
初春「もう我慢できません。下手に出ればつけあがっちゃって」
御坂「……なんですって?」
初春「御坂さんだって研究所に入る時、手間取ったじゃないですか
本当は白井さんと二人で戦う予定だったのに」
御坂「それじゃあなに!?私が悪いっていうの!?」
初春「はい、そうですよ。それも、これも、全部、御坂さんの段取りが悪いせいです」
御坂「……」
びたーーーーーーーーーーーーん!!!!!!!!!!!!
初春「ぐは……」
御坂「責任転嫁はよくないわよ、初春さん」
初春「く……くううう……よくも……よくも……」
どさっ!
御坂「あ、あれ!?初春さん!?初春さん!!!!」
だっだっだっだ…
佐天「今、大きな音が……って初春!?初春!?」
初春「……」ぐったり
佐天「御坂さん!初春に一体何を!?」
御坂「そ、そんな……ちょっと本気でビンタしただけなのに……」
佐天「初春!!!……駄目だ……目を覚まさない……
どうするんですか御坂さん!?白井さんに続いて初春まで!」
御坂「……」
佐天「御坂さん……?」
御坂「うん……大丈夫……初春さんがいなくても多分行けるわ……このまま台本通りに……」
佐天「……」
佐天「ちょっといいですか御坂さん?」
御坂「何?時間がないから用があるなら早くして!」
佐天「ちょっと顔を前に出してください」
御坂「?これでいいの」
佐天「もうちょっと傾けて……もっと右に……うん、その位置がすごくいい」
御坂「……?」
佐天「すぅ………」
佐天「いいかげんにしろ!!!!!!!!!!」
びたーん!、と乾いた音が研究室に響き渡る
そのまま床にふす御坂美琴……
両者とも、時間の流れが止まったかのように静止をする
静寂のみがその一室を支配する中、先に口を開いたのは佐天さんであった
佐天「台本を一番無視してる人間が、台本を語らないでください」
御坂「……」
佐天「ちょっと、聞いてるんですか御坂さ……泣いてる?」
御坂「……ちょっと気負い過ぎてたのかな、私」
佐天「……」
御坂「これもう言ったっけ?私、このアニメが初の主演作品なの」
佐天「……ああ、そうでしたね」
御坂「でもここまで来れたのは私一人の力じゃない……
黒子、初春さん、佐天さん、固法先輩、木山先生、婚后さん、当麻……
監督、絵コンテの人、演出の人、作画監督、カメラマン、メイク……
その他いろいろな人のおかげ…」
佐天「……」
御坂「だから……私……どうしても今回の撮影を成功させたくて……!」
佐天「……顔を上げてください。御坂さんが誰よりも超電磁砲を愛していることはみんなわかってますよ!」
御坂「……佐天さん!」
佐天「今回の撮影!絶対成功させましょう!テレビを見てくれるファン……
そして超電磁砲にかかわった全ての人のためにも!」
御坂「佐天さん!」
佐天「御坂さん!」
ぎゅっ、と熱い抱擁を交わす二人
これが世に言うところの百合百合である
木山「……解析終了。そろそろ私の生徒を助けに行きたいんだが、いいだろうか」
地下
木山「待っててくれ……みんな!」
御坂「あと少し……」
佐天「着きました!」
木山「よし!みんな……今助けるぞ!」
(ウェッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハ!!!!!!)
佐天「……!」
木山「この笑い声は……」
テレス「よいしょっと」
御坂「物陰から普通に出てきた!?」
木山「……やられた!私達がノロノロしてる間に先回りされたんだ!」
御坂「ノロノロとは心外ね」
佐天「全くです」
テレス「ふわあ……」
御坂「よし!先手を打つわ!」
テレス「そうはいかねえええよ!!!!キャパシティダウン」
きゅいいいいいいいいいいいいいん!!!!!!
御坂「く……」
木山「大丈夫か!?」
佐天(あっ私は平気だ)
テレス「あーはっはっは!ここはキャパシティダウンがいっぱい設置されてんだよ!
何なら一個ずつ壊してまわるか!?」
御坂「……佐天さん!」
佐天「大丈夫です御坂さん!わかってます!」
御坂「ほ…」
佐天「一個ずつ、壊してまわります!」だっ!
御坂「佐天さん!待って!!!!」
御坂(なんてこと……このままでは佐天さんがキャパシティダウンを壊しまわってる間に放送が終わってしまうわ!)
テレス「おらあ!」
木山「ぐはあ!」
御坂「あ!木山先生!」
テレス「さあて!次はお前の番だ……ひっひっひ」
御坂(なんとかしてテレスさんにこの緊急自体を伝えないと!
でも味方同士ならともかく敵味方であからさまに馴れ合うのはストーリーが破綻してしまう!
どうすれば……そうだ!!!)
テレス「どおしたあ?抵抗はおわ……」
御坂「…………………」←高速で瞬き連打
テレス(ああ!?これはもしや………)
御坂の意図を一瞬で読み取るテレスティーナ
熟練の技である
テレス(目旗信号※1か!)
※1
目旗信号、瞬きの回数、スピードなどで相手に意思を伝える方法
絹旗ちゃんとは超関係ない
ちなみにこの目旗信号、昔コミックボンボンで連載されてた「おきらく忍伝ハンゾー」にも使われている
半蔵さんとも関係ない
御坂「…………………………!………………………!」
訳(すいませんテレスさん!攻撃待ってください!)
テレス「……?………?」
訳(はあ?なんで?)
御坂「…………………………………………………………………………」
訳(実は佐天さんがキャパシティダウン一個ずつ壊しまわってて…)
テレス「……?」
訳(まじ?)
御坂「…………」
訳(マジです)
テレス「……………………………………………………………」
訳(じゃあしゃーねーな編集の人に何とかしてもらおう)
御坂「………………」
訳(お願いします)
テレス「………………………」
訳(次から気をつけろよ)
御坂「……………」
訳(すいません)
佐天「一個目!実験体なんかじゃない!私の大切な友達だあ!!」
どかーーーーーーん!
佐天「二個目!どう考えても大切な友達だあ!!!」
どかーーーーーーん!
佐天「三個目!絶対絶対!大切な友達だあ!!」
どかーーーーーーん!
佐天「四個目!今度も!大切な友達だあ!!!」
どかーーーーーーん!
佐天「五個目!やっぱり!大切な友達だあ!!」
どかーーーーーーん!
佐天「六個目!まだ!大切な友達だあ!!!!」
どかーーーーーーん!
佐天「七個目!しつこく!大切な友達だあ!!」
どかーーーーーーん!
佐天「八個目!最後の!どかーーーーーーん!」
どかーーーーーーん!
佐天「え……まだあるの……九個目!ええっと……本当退屈しないよね!この町!」
どかーーーーーーん!
佐天「らすとお!」
どかーーーーーーん!
御坂「佐天さん……!」
テレス「ばかなあ!何であいつは動けるんだ!?」
御坂「はあああああ!!!!!!」
ビリビリビリビリビリ!!!!
テレス「く……」
ぎゅいんぎゅいん!
互いにエネルギーをため、最後の力を振り絞る。
決着の時はすぐそこであった。
と、その時であった。御坂の顔周辺に虫が飛んできた。
御坂「……!」
虫は御坂の鼻にとまり、そのまま鼻周辺を動き回る。
御坂はかゆみを我慢できなくなってきた。
御坂「は……は……は……」
御坂「ハクション!」
ぼふうん!
テレス「!?」
木山「?????」
十分に充電されてないレールガンは見当違いの方向に飛んでいき、そのまま消失した。
御坂(まずい!溜めてたエネルギーを誤爆しちゃった!)
テレス「なんだあ……そりゃあ……」
ぎゅいんぎゅいんぎゅいんぎゅいん!!!!!!!
御坂(まずい……このままじゃあ……)
御坂「……………!!!…………………………!!!」
訳(テレスさん!!!攻撃中止してください!!!)
テレス「……」
訳(むり)
ぎゅいんぎゅいんぎゅいんぎゅいん!!!!!
御坂(ここまでね……ごめん、みんな……私の力が及ばないばっかりに……)
テレスティーナの腕からエネルギー波みたいなのが発射されようとした……
と、その時!
??「お姉様ああああああああああああ!!!!!!!」
テレス「!?」
御坂「こ、この声は!」
びゅん!!!
黒子「うおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!」
御坂「黒子おおおおお!!!」
向かい合う二人の間に割って入る白井黒子……
テレスティーナの攻撃を背面で受け切ることに成功した。
御坂「黒子…………!」
黒子「げほっげほっ……話は後ですの。早く奴をやっつけますの!」
テレス「く……何度やろうが結果は……」
がくん!
テレス「!?機械が動かない!?」
??(そこまでです!!)←ハモリ
御坂「その声は佐天さん!それに……!」
初春「この研究所にある機械を改造してあなたの機械の動作を鈍くする電波を
発射する機械を作りました。あなたの負けです、テレスさん!」
御坂「初春さん!」
テレス「ば、ばかなあ……」
御坂「どう?テレスティーナ?これが私の……」
御坂「Dear My Friendsよ」
御坂「さあ……トドメを……」
テレス「く……」
初春「……!?た、大変です御坂さん!」
御坂「何?初春さん?」
初春「放送時間が……残り一分しかありません!」
御坂「な、なんですって!」
黒子「本当ですの!?急ぎませんと!」
佐天「やっちゃえ御坂さーん!」
テレス「私達はモルモットなんちゃらかんちゃら!」
御坂「どこまで自分を卑下すればうんぬんかんぬん!」
ばき!!!
御坂「勝ったあああああああああああああああ!!!!!!!!!!」
テレス「負けたああああああああああああああ!!!!!!!!!!」
御坂「初春さん!残り時間は!?」
初春「あと45秒です!」
黒子「佐天さんすごかったですの!」
佐天「てへ!」
御坂「初春さんはともかく黒子はどうやって復活したの!?」
黒子「話せば長くなるのですが……」
御坂「じゃあいいや!これでだいたい終わり!?」
木山「なあ……」
初春「木山先生?話は手短にお願いします!」
木山「私の誕生日イベントは……どうなるんだ?」
御坂「……は!」
黒子「お姉様!どうしますの!」
初春「これは重要なシーンです!でも場面ジャンプする時間なんて……!」
御坂「……ここで」
木山「は?」
御坂「ここでやりましょう、ちょうど生徒みんないるし」
木山「はあ?」
佐天「ほら!みんな出番だよ!早く起きて!」←バットで睡眠装置を小突いてる
黒子「はい!みんなテキパキ動きますの!」
木山「……」
春上「あ、あれ?初春さんこれは……」
初春「話は後です!早く木山先生の誕生日を祝ってください!」
黒子「……は!お姉様!大変ですの!」
御坂「何!?」
黒子「今日は木山先生の誕生日ではないのでわ!」
木山「……」
御坂「黙ってりゃわかんないわよ!はい!誕生日!」
木山生徒ズ「……先生……誕生日おめでとう……」
木山「……………」
初春「放送時間残り10秒!御坂さんシメ!」
御坂「本当退屈しないわよね!この町!」
佐天「あ、それもう私が言いま―」
――――放送終了
御坂「ふー。一時はどうなることかと思ったわ」
木山「うう……ぐす……」
絆理「木山先生……泣かないで」
初春「木山先生も感動の涙が止まらないようですね」
佐天「ああー疲れたー」
黒子「ふふ、お疲れ様ですの」
御坂「でも良い最終回だったわね!」
初春「ですねー」
監督「……」
御坂「あ、監督」
監督「……撮り直し」
御坂「はい?」
監督「撮り直し!!!!!!!!!」
そして……
\ドーーーン/
黒子「最終話!Dear My Friends!撮影開始!」
\ドーーーン/
初春「最終話!Dear My Friends!二夜連続!」
\ドーーーン/
御坂「最終話!Dear My Friends!撮影快調!」
\ドーーーン/
佐天「最終話!Dear My Friends!ご期待ください!」
出来あがったのがあの感動の最終話である
スタッフのみなさん、お疲れさまでした
444 : VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] - 2010/04/27 20:45:19.63 v8xevrE0 22/22終わりです、まとまった長さのSSは一カ月ぶり
やっぱ書くの楽しいね