――ここはどこだろう
何も無い、真っ暗闇に私はいた。本当に何も無く暗い。
でも歩ける。暗くて何も見えないのに周囲が手に取るように分かって歩ける。
しばらく歩いていたが、やはりココには何も無い。
ただ私には何かが必要で、それを探しださないとダメだというのがなんとなく分かる。
人なのか、物なのか分からないけれど。
人だとすれば、会ったことのある能力者ならば私の能力で見つけ出せる気がする。
が、無数に感覚はあるけれどどれも違うような感じがする。
もしくは物だとすれば、本当にこの暗闇で見つけ出せるのだろうか。
しかし私は歩く。それを見つけるために。
本当にそれが私に必要だと思ったから。
前ばかり見て歩いていた私がふとした拍子に後ろを振り向くと、何か光った玉のようなものが目に入る。
光っているソレに近づいてみる。この真っ暗闇を全部照らしているわけでもなく、ほんとに周りの少しだけしか照らしていないのに見ていると妙に安心する。
手で握ってみる。やはり暖かい。これが、私の探していた物なのかな。
と思った瞬間、私の意識は遠のいていく。
そして――――
私の目に入ってきたのは恐らく病院の天井。
少し視線をずらすと、私の右手を握手するようにしっかりと握る彼の右手と不安そうに私の顔を覗き込んでくる彼の顔。
「だ、大丈夫か。滝壺」
心配そうにたずねてくる。意識が戻ったばかりでほんのすこし体がだるかったが問題は無いので大丈夫だよ、と返す。
安堵したように息をはく彼。が、今度は真剣な表情になって話しかけてくる。
「とりあえず一安心だな。けどお前、もうあんなに一度に『体晶』使ったりするなよ。お前の体がまいっちまったらどうするんだよ」
「けど、『体晶』使わないとちゃんと能力が…」
「だったらあんなもん、もう使うな」
「でも私の価値はこの能力だけだから…」
「それは学園都市の上のやつらが勝手につけた価値だろ。お前にそれだけ求めてるわけじゃないやつだっているんだよ」
私は首を傾げる。そんな人、この街にいてくれるのだろうか。
「絹旗と浜面も心配してた。麦野だって素直じゃなかったけどやらせすぎたって言ってた。フレンダもおちゃらけてたけど内心ハラハラだっただろうし…俺だってな」
それを聞いて目の奥のほうが熱くなってくる。いつも無表情だけど、私にだって感情がないわけじゃない。
「そう、皆。…そういえば、皆は?」
「あぁ、アイツらはまた仕事だってさ」
「あなたは?」
「麦野と絹旗の世話は浜面の方が上手いからってフレンダがあいつ連れてったからな。俺は留守番」
「そう」
「あー、後さ。その『あなた』って呼び方そろそろやめれないか?時々呼ばれてるのがわからないし、呼び捨てでいいんでできれば名前で…」
「とうま」
「はっ、え? な、名前って下の名前!?苗字じゃなくて!?」
「だいじょうぶだよ、とうま。そんな名前くらいですぐ慌てるとうまも、私はすき」
832 : VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] - 2010/06/16 13:16:08.28 Yq3vfU2o 3/3上滝モノって……難しい。呼び方とかも原作にないからさっぱりだし。
しかもこれだと美琴が上条好き!っていうのと違って、インデックスが上条好き!ってな雰囲気に近くなっちゃった。
しかも最後は地の文なんてなかった!!