美琴「もういっけんいくぞぉ!」
上条「呑み過ぎですよ、御坂さん」
寝静まった街の中
年上の部下に、背負われながら叫ぶ
酔っ払ったふりをしたら
仕方なさそうにおんぶしてくれた
その広い背中の体温が心地よい
美琴「いいじゃん! いくぞぉ!」
上条「だめですって」
美琴の部下になってから
上条は美琴に対して
敬語を使うようになった
それがなんとなく、さびしい気がする
タメ口でもむかつくが
美琴「あったしさぁ、ちゅーがくの時アンタの事好きだったんだぞぉ」
正確には、今も
酔っ払ったふりを続けて
ずっと秘めていた想いを伝える
上条「そうですか。……俺は」
「今、好きですけど貴女の事」
何でもない事のような口調で
伝えられた言葉が
美琴の思考を停止させる
美琴「な、な、な、なに」
上条「高校の頃は、ケンカ友達くらいにしか思ってませんでしたけど。今一緒に働いて、近くで貴女を知っていくうちに」
そんなことを世間話みたいに言うんじゃない
なんて答えればいいのか
上条「いや、あの頃から貴女は近くで助けてくれてたのに俺がバカだっただけですけど」
街灯に照らされたその横顔が
あの頃以上に頼もしく見えて
美琴「じゃ、付き合っちゃう?」
上条「いいんですか?」
美琴「いいわよ。私、今彼氏いないし」
本当は今いないどころか、できた事さえなかったけど
何故か女の子にばかりもてていたけど
上条「……じゃ、付き合いますか」
やっぱり簡単な事のように
上条が言う
慣れているんだろうなと思う
美琴「うん。……あのね」
上条「なんですか」
美琴「二人きりの時はさ、昔みたいな話し方して昔みたいに呼んで」
上条「でも」
美琴「お願い」
上条「わかったよ、ビリビリ」
美琴「呼び方はそこまで戻んなくていい」
上条「じゃあ、美琴。……これでいいのか」
美琴「……うん」
大切な思い出の中の声
でも、これからは思い出だけではなくなるのかもしれない
大事なのはこれからだ
了
894 : 以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[] - 2010/12/21 13:02:26.41 RSEzEV.0 4/4以上です
美琴に対して上条さんが敬語を使うシーンを書きたかった
お目汚し失礼しました