737 : 以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage] - 2010/12/31 01:29:30.04 5jwAYB60 1/11一方通行←打ち止め 告白編
数年後の未来
8レス程借ります
うだるような夏空の下、杖をついた白髪赤い瞳という特徴の青年がコンビニ袋に入った大量のコーヒーを持って路地裏に入っていく。
いくら学生が8割を占める学園都市といえど人目のつかない路地裏は表通りとは違い暗い表情を見せる。
青年の視界の先にはお約束というべきだろうか"チンピラ"という言葉がぴったりの数人の少年たちがたむろしていた。
青年は当たり前のように通り過ぎようとした時ニヤニヤといやらしい笑みを浮かべたチンピラの一人が声をかけた。
「そこの兄さんここは通行料必要なんですよ 通りたかったらっておい!!」
青年は何も聞こえていないかのように素通りをしていく
「テメェ!!聞こえてねぇのかコラ!!」
だが青年はそれすらも聞こえていないかのように歩いていく
「おいあのすかしたもやし野郎を潰すぞ」
リーダー格の男の言葉を合図に少年たちは青年に向かって走り出す。
それと同時に青年はめんどくさそうに溜息一つ吐きカチッとチョーカーのスイッチを押した。
直後少年たちが背後から一斉に青年に振り下ろす。
ボキッ鈍い音が聞こえた直後に「ギャアアアア」複数の悲鳴が聞こえる。
カチッ再びスイッチを押し青年は何事もなかったかのように歩いていく。
そこに残されたのは骨折した痛みに悶える呻くチンピラたちだけになった。
ガチャッ
少女は家の鍵が開けられる音に気付き玄関まで走って行った。
タタタタタッ
「おかえりアクセラレータってミサカはミサカは出迎えてみる」
中学生~高校生ぐらいの少女と冷房のかかった快適な部屋が彼を出迎える。
彼らが出会ってから5年前の月日が過ぎていた。
アクセラレータは身長が5年前より10センチほど伸び打ち止めもまた成長した。
当時アクセラレータの胸ぐらいだった打ち止めの身長も伸び彼の肩をぬかされており女性特有の丸みを帯びてきていた。
「ン」
そっけない返事一つと共に出された片手にはコンビニ袋を打ち止めに押し付ける。
そして打ち止め以外の人には気づかないぐらい小さな素振りと共にただいまと呟く。
それに気づいた彼女は柔らかい笑みを浮かべ
「もうっあなたってばコーヒーばかりねってミサカはミサカはあなたの体を心配してみる」
「それにしても急にいなくなって心配したんだからねってミサカはミサカは心の内を吐露してみる」
矢継ぎ早に彼女は話かける。
「悪かッたなァ。コーヒー買いに行ってたンだよ」
そう言いながら彼は冷房が直接当たるように調整してソファーで横になってしまった。
それを見た打ち止めは仕方ないなと思いつつコーヒーを冷蔵庫に入れようと袋を開けると同時に彼女は微笑む
コーヒーの上にお気に入りのアイスが4つほど買ってあったから。
「ありがとうーあなたってミサカはミサカはあなたに感謝してみる」
「ハッなんのことだかわからねェな」
彼女がコーヒーとアイスを入れ終え彼の側へ来ると彼は寝てしまっていた。
それを見て柔らかく微笑んだ打ち止めはエアコンの温度をあげて寝室からタオルケットを持ってきて彼にかけてやる。
アクセラレータが起きると夕方になっていた。
「おはようあなたーってミサカはミサカはあいさつしてみる」
あくびをかみ殺しながら彼は
「今日は何食べたいんだァ?」
と問いかける。
打ち止めと同居するようになってから外食ばかりでは打ち止めによくないと考えた彼は自炊をするようになった。
打ち止めも作るが基本はアクセラレータでありそれは彼がレシピを見れば料理を作れてしまい
そこらへんの店よりも上手にできるという所為でもあった。
「きょ、今日は久しぶりに外食したいなぁってミサカはミサカは・・・」
「久しぶりにあそこでいいか?」
「うん。ってミサカはミサカは賛同してみる」
「ン、車出すから表で待ってろ」
「ちょ、ちょっとまってぇってミサカはミサカは急いで準備してみたり」
馴染みのファミレスで食後のコーヒーを飲みながら彼は聞く
「なんで今日は外食がよかったンだ?」
アクセラレータに問いかけられても彼女は聞こえてないのか返事しない。
「オイ?」
なぜか頬をほんのり赤く染めた彼女はハッとしあわてて答える
「ごめんなさい聞いてなかったってミサカはミサカは謝罪してみたり・・」
「顔赤いが風邪でも引いたかァ?」
「い、いや大丈夫大丈夫ってミサカはミサカは・・」
「そ、そうだ食べ終わったら食後の運動に散歩に付き合ってほしいなぁってミサカはミサカは提案してみたり」
「ハァ?この糞暑い中なんで散歩しなくちゃならないンだよ」
「そ、そうだよねってミサカはミサカはしょんぼりしてみたり」
「チッわかったよ付き合えばいいんだろう」
「うんってミサカはミサカは喜んでみたり」
「ならとっとと行くぞ」
彼は伝票を持ってレジへ行ってしまった。
そんな彼の後ろ姿を見つつ打ち止めは小さく呟く―――
「頑張れ私ってミサカはミサカは自分を応援してみる」
車に乗る前に散歩したいという少女に付き合い歩きだしてはや10分
アクセラレータは傍らにいる打ち止めが先ほどから落ち着きがないのを不審に思いさっきからチラチラ見ているが彼女はそれに気づかない
「しかしどういうことだ?帰る前に散歩とは」
「そ、それはもうちょっと行けばわかるかもってミサカはミサカは答えてみる・・」
「そうかィ」
・・・
少女は一度深呼吸をして意を決して話だす。
「ねぇあなたってミサカはミサカは呼びかけてみる」
「なンだ?」
「今日何の日かわかる?ってミサカはミサカは聞いてみる。」
「さァな」
少女は少しむくれる
「もうっわかってる癖にってミサカはミサカは怒ってみたり。」
「5年前の今日あなたに私は救われたんだよってミサカはミサカは教えてみたり」
「もうそんなに経つのか最初の一年は長いと思ったが後はあっという間だったな」
「最初の一年はいろいろあったしね。それに楽しい時間っていうのはあっという間に過ぎるんじゃないかなってミサカはミサカは答えてみたり」
「それでね。私は、私は5年前に助けられてあなたと一緒に過ごしているうちにあなたを好きになったんだってミサカはミサカは告白する」
「だからね・・」
「やめておけッ」
突然彼が彼女の告白を遮る
「ど、どうしてってミサカはミサカは・・・」
涙がこぼれそうになるのを下唇を噛みながら堪えながら彼女は問いかける。
彼の表情は暗く苦い顔をして静かに少女に告げる。
「ここで話す事じゃねェからいったん帰ンぞ」
二人は無言で帰って行く。
二人が来る前は曇っていた空が今は雨が降る一歩手前だった。
家に着くとすでに日は落ちており家に入ると篭った熱が二人が出迎える。
冷房をつけて珍しく二人分のコーヒーを持ってアクセラレータが普段いつも食事するダイニングテーブルの椅子に座る。
泣きそうな顔で打ち止めも定位置の彼の正面に座る。
普段は入れてくれないコーヒーに彼女はめもくれずに話かける
「さっきの話の続きを聞かせてほしいなってミサカはミサカは・・・」
彼はコーヒーに口をつけた後静かに喋り出す。
「俺の昔の話を教えてやる」
彼女は?マークを浮かべているが彼はお構いなしに喋る
「俺の覚えている一番古い記憶は両親からの虐待だった」
彼は感情のこもっていない眼で喋り続ける―――
「俺のこの目は能力のせいでも投薬のせいでもない生まれつきだ」
「この目の色で俺はアイツらから虐待を受けた」
「"化け物"だと」
「日を追うごとに虐待は酷くなっていった」
「酷いには死にかける程ひどい虐待だった」
「ある時から虐待に変化が生じるんだがその切っ掛けが能力の発現だった」
「学園都市では投薬したりして能力を発現されるが俺は違った」
「あいつらの虐待のせいはわからないが気づいたら能力が発現していた」
「それが原因で今まで以上に気味悪がられ虐待された」
「能力が発現してから何日か経つと学園都市からの招待が来て俺は学園都市に預けられた」
「それと同時にあいつらは蒸発して今はどうなっているかはわからねェ」
「要は捨てられたわけだ。それと同時に俺は自分の名前を捨てた」
「学園都市に来ると化け物扱いから一転してモルモット扱いになった」
「そりゃそうだ。こんな能力は今までいなかった」
「実験施設でまともに会話できる奴らに会えたと思ってもすぐに死んでいく」
「チャイルドエラーを使った実験がほとんどだったらしいが」
「実験以外の会話なんてあの当時ほとんどなかった。するような奴らもすぐに逝っちまう」
「負の感情は生まれたときから慣れ親しんだようなもんだからいいンだが逆に愛情、友情、正の感情はお前らに出会うまで一切なかったもンだ」
「といっても友情すらこれでいいのかと今でも思う事もある。愛情なんて今でもさっぱりわかンねェ」
「お前らを守るのはいいんだ。俺が守ってやる。だが・・・一線越えるのだけはやめておけ」
「屑みたいな俺よりもっと輝いてる奴らなんてたくさんいンだろ・・・」
「・・・そっちのがお前にとっていいと思うぞ」
彼は喋り終えるとまたコーヒーに口をつけて窓の外へ目をやるいつの間にか土砂降りの雨が降っていた。
グスッ・・・グスッ彼の正面から音が聞こえる。
彼女は大粒の涙を流していた。
「・・・なンで泣いてンだ」
「あなたが・・泣かないから代わりに私が泣くんだよ・・ってミサカはミサカは・・」
そのまま二人は無言で向き合ったまま時間だけが過ぎていった―――
彼女は泣きやみ声をかける
「ねぇあなたってミサカはミサカは声をかけてみる」
「なンだ」
「あなたの気持はわかったよ。ありがとう。あなたは昔から不器用で優しいね」
「・・・」
「でも私にはあなたがいないとダメなんだよ」
「不器用で本当に不器用で時には自分の命を犠牲にしてでも私たちを守ってくれるあなたが」
「前あなたが言ってたけど”俺はヒーローとは違う。だから俺の守りたいものをやりたいように守る”って」
その言葉に彼はピクリと肩を震わす
「それって私たちにも言えるんじゃないかな?」
「それに私だってあなたに出会うまで"本物"の感情を知らなかったんだもん」
「考え方によってはあなたと一緒だよってミサカはミサカは答えてみる」
「だから私たちは私たちでいいんじゃないかな?私たちのペースで私たちのやり方でってミサカはミサカは提案してみる」
「私の世界にはあなた以外考えられないんだよ」
「あなた以外じゃ考えられない・・・だから付き合ってくださいってミサカはミサカはもう一度告白してみる」
「・・・」
「・・・」
彼はコーヒーに口をつけてから喋り出す。
「お前にそこまで言われるとはなァ・・・」
彼女には一瞬彼が微笑んだように見えたそして
「・・・後悔すンなよ」
そういって彼はそっぽを向いてしまった。
ただ一言。不器用な彼の返事。
その言葉に彼女はまた大粒の涙をこぼす。
先ほどの涙とは違い嬉しさの涙。
それをわかっているのか彼は何も言わない。
「ねぇあなたーってミサカはミサカは呼びかけてみる」
「どうした?」
「また散歩付き合ってくれない?」
「その顔のまま行くつもりか?」
彼女の目は泣いたせいで赤くなっていた。
「暗いからわからないよってミサカはミサカは答えてみたり」
「ン」
あれほど酷く降っていた雨は嘘みたいににやんで夜空が見えていた
道を歩きながら彼女が昔からやっているように彼の手を握ろうと思ったその時彼が彼女の手を握ってきた。
彼女は驚きながら彼の顔を見ると白い顔がほのかに赤くなっている。
そんな彼を見ながら彼女は柔らかく笑う。
「あなたから手をつないでくるなんて驚いたよってミサカはミサカは喜んでみたり」
「うるせェお前がはしゃいで迷子にならないように手をつないでるだけだ」
いつも通りの彼の返事が今日はなぜか愛おしい。
告白が成功したからだろうかなんて彼女は考える。
そして幸せな今日をなくさないようにバックアップをとろうと思い意識の隅で処理をする。
それが後にミサカネットワークで混乱の元になるとも知らずに――――
747 : 以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage] - 2010/12/31 01:45:27.61 5jwAYB60 11/11以上です。お邪魔しました。
よいお年を!!