「はい、コレ」
「あ?何だ?」
「何だって、わかるでしょ普通。
今日は何月何日かにゃーん?」
「2月の14日だろォが、ボケたか?」
そう言ってキョトンとした顔をする目の前の少年。
―――まさかとは思うが、知らないのではあるまいか。
「ね、ねえ…今日が何の日か…知ってる?」
「あァ?何の変哲もない只の一日じゃねェか、何言ってンだオマエ」
…ああ、こりゃ上位個体その他諸々この人に好意を寄せてる奴らが苦戦するのもわかるね。
(恋愛事に疎い上にこういったイベントも知らないってんじゃあ、そもそものスタート地点が違うよね)
しかし、泣き言を言っても始まらない。
「今日はね、バレンタインデーって言って、親しい人に贈り物をする日なんだにゃーん
勉強になったかにゃ?きゃはっ」
「ハッ、オマエが俺に贈り物ォ?どっかイカれたンじゃねェか?」
「まぁまぁ、そう言わずにさぁ。ミサカもちょっとは感謝してるんだよ?
まっ、あげるって言っても義理チョコだけどねん、ぎゃはっ☆」
「感謝ねェ…お前がか。キャラにあってねェと思うがな。
んで、義理チョコってなァ、どういう意味なンだ?」
「うるさいな、ほっといてよ。
後で自分で調べなよ、ついでに本命チョコって意味もね。ケケケ!」
「…そォか。まァ、ありがとうな。」
「……っ!!」
―――あの人の、少しはにかんだような笑みが、ミサカの胸を締め付ける。
(そんな笑顔…卑怯だよ、アナタは。普段は鈍感な癖に。
ミサカの好意にも気付かない癖にさ…)
「……ぁあもう!義理チョコってのは嘘!
本命チョコだよ!全部ミサカの手作りなんだからちゃんと食べてよね!」
「いや、ワケわかンねェンだけど…つか、オマエ顔赤いぞ、熱あンじゃねェのか?」
ぺたり、とあの人の額がミサカの額にくっつけられる。
羞恥に駆られているところにあの人の顔がミサカの目の前にいきなりきて。
……そこからの記憶はない。
後に聞いた話だと、ショートしたミサカを、あの人は何か異変が起こったのかと勘違いして
ミサカを抱えて、ゲコ太先生のところに駆け込んだらしい。
その時の抱え方が、俗に言う"お姫様だっこ"だったと聞いた時は、またショートしそうになった。
結局意味は調べていないらしくて、ミサカの告白はなかったことになった。
それにしても…ミサカのを除いて本命チョコが10個もあるなんて、どこぞのヒーロー並みのフラグの立てっぷりだ。
(でも…あの人の隣はミサカのものなんだから、だれにも渡さない。)
――― 一人の少女の決意と共に、今日も学園都市は廻りゆく。
636 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga] - 2011/02/14 09:49:18.43 U4HLqtFc0 3/3時間が差し迫って来てるから最後のほうちょっと駆け足になったな…
本来これよりちょっと長い他の番外通行のネタにバレンタインを使おうと思ってたけど
21日くらいまで帰ってこれそうにないから急いで短めの番外通行書きました。
それにしても…甘甘にならない、どうしたもんかにゃー
お目汚し失礼しました。