704 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[] - 2011/02/14 23:27:00.53 186fFaFAO 1/11さて、日付変わりそうだし借りとくかぁ……レス数は未定。ミサカ×ミサカ、片方誰テメェ。あとちょびっとだけエロじゃないエロ。
ミサカ「雪だ」
ミサカ「ええ、降ってきましたね」
夕方の学園都市。如月も半ばとなれば、日が落ちるのも早い。
辺りはもう薄暗く、曇った空がそれに拍車を駆けていた。
吐く息が白い。コートにマフラーと厚着はしたつもりだったが、それでも寒いものは寒い。
スカートなんか履いてくるんじゃなかった。ストッキングしてなかったら即死していたかもしれない。
そんな中、私は同居人と街の歩道を歩いていた。チョコレートを買いに行く、と言ったその同居人は有無を言わせず私を引っ張りだした。
言われなくても着いていくのにと内心思ったが、彼女がこんなに積極的なのはなかなか無い事なので、そんな野暮は言わなかった。
チョコレートを買い終わり、任務完了これより帰投する! といったタイミングでの、先程の発言だ。帰り際に降られるとはついてない。
ミサカ「積もるでしょうか?」
ミサカ「いやぁ、そりゃ無ぇだろうな。学園都市は腐っても都市だしなぁ……積もるんなら、公園とかその辺りじゃないかな」
他愛の無い話。そんな何でも無い話をしていると、不思議に暖かくなってくる。
私が居て、隣にコイツが居て。
そう考えて、雪なんてアクセントにもならない事に思い至った。冷やせるもんなら冷やしてみやがれ。
私は空に向けて、手でコインを弾く動作をし、口で小さく
ミサカ「ドーン」
と言った。脇の連れ合いはクスクス笑っている。
ミサカ「何を?」
ミサカ「雪をやっつけたのさ」
ミサカ「『超電磁砲』で?」
ミサカ「『超電磁砲』で」
ククッ。
自分でも突拍子の無さに自嘲の笑みが零れた。
いつまでも馬鹿をやっていて、コイツが風邪でも引いたらまずい。さっさと帰るとしよう。
私は同居人に右手を差し出す。同居人は当然、左手でそれを握った。
しかし、なんだって言うんだ今日は。街角に、随分とカップルが多い日だな。
――――
ミサカ「あ、ちょっと待って下さい」
同居人が不意に足を止める。どうやら興味は通りかかった公園にあるようだ。
予想通り、うっすらとだが雪が積もっている。チラチラと降っているだけかと思っていたが、こっちの方は激しく降っていたらしい。
もっとも今はそんなに降っていないから、私達は不幸中の幸いとやらを拾い上げたのだろう。
同居人は公園のベンチに積もった雪を払っていた。ハンカチで軽く拭いて、そこに座る。
手でトントン、とその隣を叩いたので、私もそこに腰を下ろした。
ミサカ「疲れたか?」
ミサカ「いえ。ただ……雪を」
ミサカ「見物、かい?」
ミサカ「ええ。嫌……でしたか?」
悪い事をしたかの様に、上目遣いで聞いてくる同居人。遠慮がそこかしこに見えて、つい溜め息が漏れた。
更に落ち込みそうになったので、意を伝える。
ミサカ「違ぇよ。私の居たい場所は……何時だってお前の横さ」
ミサカ「……はい」
ミサカ「だからそんな小せぇ事で気にしなさんな。一緒に雪見と洒落込もうぜ」
ミサカ「ええ。一緒に……」
私とアイツの距離は5センチ程度。
遠いと感じたので、肩を掴んで引き寄せた。必然、同居人は私に身体を預ける形になる。
少し驚いたようだが、こっちを見て微笑み、本格的に体重を掛けてきた。
心地良い重みだった。
――――
いつまでそうして居ただろうか。長かったような、短かったような。
どちらでも無いような気がするし、そうでない気もする。
いや、時間なんてさほど意味を為さないだろう。
私の隣に彼女がいる。それはとても幸せな事で、他には何も要らないのだから。
ミサカ「――――号、手を出して下さい」
同居人が私の検体番号を呼ぶ。何だろうと思いながらも、私は言われた通りに右手を出した。
彼女の手が重なり――離れた時には、私の手の上に小さめの箱が置かれていた。
ミサカ「これは?」
ミサカ「チョコレートですよ」
ミサカ「さっき買ったやつじゃあないか……私に?」
ミサカ「ええ。貴女以外に上げる方も居られませんし……」
ミサカ「ん……?」
……あぁ、そうか。そうだったな。今日は――
ミサカ「バレンタイン、ねぇ」
ミサカ「はい」
ミサカ「……これって、女が男に渡す物じゃなかったかな」
そんな事を言いながら、自分でも分かる程喜んでいた。
きっと隠しきれてないだろうし、事実向こうは微笑んでいた。
ミサカ「いえ、大事な人に渡す物ですよ」
ミサカ「……そうかい。いや、これは済まねぇ。私は今日が何の日かすら、すっかり失念していたのさ」
同居人は首を振って答える。
ミサカ「いえ、私の気持ちですから……受け取って貰えれば、私はそれで幸せです」
悪い気がした。悪い気もした。だから私も何かあげようと思った。
奪いたいとも思った。突発的な衝動だが、なに、構うもんか。
彼女の左頬に手を当て、
ミサカ「――え」
そのまま口づけた。
ミサカ「む……ふむ……ん」
舌を差し入れ、ゆっくりと愛撫を始める。彼女の舌を啄み、吸い付く。
甘い果実を貪るような快感が、背筋を駆け上がって脳天を貫いた。堪らない。酷く堪らない。
唾液を送り合い、吐息の熱さを感じ、ただただ舌を絡める。そんな児戯にも過ぎないそれが、私を更に興奮させていた。
柄にも無いと我ながら思うが、そんな弱い思考で止まるようなこの身体ではなかった。
しかし困った物で、物理的に身体は酸素を求めるものだ。仕方無く唇を離す。
彼女の口に唾液が伝っていたので、それを舐め取った。
蕩けた同居人の顔を見て、少しやり過ぎてしまった事に思い至る。
このままだと二回戦に突入しかねないので、私は口を開く事にした。
ミサカ「……私からのバレンタインだ。受け取りやがれ」
ミサカ「……ん」
小さく頷く彼女。そんな仕草、一端一端が愛おしくて堪らなかった。
自然に身体が動き、彼女を優しく包み込んだ。
耳元で囁く。
ミサカ「……私は例の白い日にクッキーでも返すことにするよ」
ミサカ「……なら、私もお返しにキスをすることにしました」
ミサカ「そりゃあ楽しみさね」
くつくつ、と笑っていたら――
ミサカ「面倒なので、今返しますね――」
不意打ちされた。
二回戦目は、もはや口淫だった。
――――
ミサカ「寒くないか?」
ミサカ「いえ、貴女といれば」
ミサカ「そうかい」
はらりはらりと雪が舞っている。
世界はこんなにも美しくて、優しくて、変わらず残酷だった。
ミサカ「奇遇だね」
そんな場所で私は生きていく。
ミサカ「私もさ――」
――彼女と、二人で。
716 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] - 2011/02/14 23:59:05.34 pwb0T5iTo 11/11同じ顔でやってるかと思うとシュールだな……