913 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸)[saga] - 2011/03/27 20:14:12.83 wGWjfvZAO 1/11ふと思い付いた小ネタスレで落としたけど書きたくなって短めにまとめてきた。荒くて申し訳ないけど数レスもらいます
「ねぇ、朝だよ上条くん。起きて」
なんて、その日はそんなインデックスの声で目が覚めた。
禁書「ねぇねぇ、上条くん。おなかがすいたかも」
上条「ん……ああ、わるい。おはようインデックス」
禁書「うん、おはようなんだよ。上条くん」
上条「…………」
インデックスがこの寮に住みだしてもうかなりの日が経った。
初めはよそよそしかったその態度も接するうちに自然と打ち解けてきたようで、今では飯が足りないと素直に不満をぶつけてきたりする。
それは時折苦しくも嬉しいものであったし、上条はインデックスにとって頼れる存在であるという事に何よりも救われていた。
そんな生活に慣れてきて、それが日常。インデックスと過ごし、寝食と苦楽を共にしていくのは上条にとって日常となっていた。
禁書「ねえ『上条くん』今日のごはんはなんなのかな?」
ただ、たった一つの違和感を除いて。
上条「はぁ、お前は何を期待しているんだか。上条さんの家には日替わりでメニューが変えられるほど食材が豊富に変えられるわけじゃないんでやがりますよ?」
禁書「えぇ~、今日ももやし?たまには違うものも食べたいんだよ~!」
上条「文句言うなって」
禁書「もう、上条くんってば頼りないんだから」
上条「……ッ」
上条くん。
今のインデックスは上条当麻をそう呼んだ。
どうしてこうなってしまったんだろう。と上条当麻は考える。それは何百何千と繰り返した思考。
あの日。
インデックスを救えたと思ったあの瞬間。
魔術によって生み出された『一枚の羽根』がインデックスの頭を直撃してしまった事によって、全てが変わった。
上条「…………」
上条当麻は『あの』インデックスを救う事が出来なかった。
『とうま』と無邪気な笑顔で呼んでくれたインデックスを救う事は、出来なかった。
首輪に一年周期の死からは解放された。
インデックスは助かった。助けられた。
禁書「上条くん?」
けどあのインデックスは、どこにいったのだろう。どうして目の前の少女は『とうま』と呼んでくれないのだろう。どうして『上条くん』なんて余所余所しく呼ぶのだろう。
上条「……学校、いってくるよ」
禁書「うん、行ってらっしゃい。はやく帰ってきてね――」
インデックスはにっこり笑ってそういう。
禁書「――上条くん」
インデックスの姿形をしたその女はにっこり笑ってそう言った。
道端を歩いていると出会ったのは御坂美琴だった。
ミサカ「ミサカはお姉さまではありませんよ。と念の為ミサカはあなたに忠告します」
上条「あぁ、なんだ……御坂妹か」
ミサカ「えぇ」
御坂妹「はじめまして」
上条「…………」
このやり取りも何度目だろう。と上条当麻は考える。初めて御坂妹と会ったのは既に遠い過去のように思える。
上条「……お前、何体目?」
御坂妹「ミサカは検体番号12032ですが。とミサカはあなたの質問に応えます」
上条「そうかよ」
とうと2000台突破か。順調だな、なんて軽口を叩ける程、上条当麻の心は廃れてはいない。
けど、何もしようとしない時点で既に廃る一歩手前には違いない。
上条「…………」
実験は止まらなかった。
決死の覚悟で挑み、勝利を収めたあの戦いは全てが全て、無駄に終わった。
一方通行は立ち止まる事もなく今も実験を続けていて――
御坂妹「実験は凍結しましたよ。と、ミサカは事後報告気味に伝えます」
上条「――え、は? 凍結?マジで?ドッキリなんかじゃなく?」
御坂妹「はい。見直される事になりました」
心に、淡い温もりが灯る。喜び。
上条当麻は久しぶりに喜びという感情を味わった。
そうだ、御坂美琴にこの事を伝えよう、喜びを共有しよう。悲しみに明け暮れたあの瞬間を取り戻す為に、御坂美琴の笑顔を取り戻す為に、笑いあえる未来を作るために――
御坂妹「超電磁砲が一方通行によって一手で殺害された為、計画のシュミレーションを見直す事になりました」
上条「――――」
上条「――は?」
上条当麻はふらふらと夜道を歩いていた。寮で待つ少女の言葉を思いだすが、どうでもよくなる。
御坂美琴が命を捨ててまで止めようとした実験は、どうやら凍結するそうだ。
上条が否定した御坂美琴の行いは、結局実験を永久的に停止させ、残り8000人の妹達を救った。けど
上条「……お前が死んだら、意味ないだろうが」
不幸だ。なんて嘆く余裕も既にない。どうしてこんなにも報われないのか、神様とやらはそこまで自分が嫌いなのか。
上条「ちくしょう」
なんとかしたくても何も出来ない。助けてもやれない。彼女はもう死んでいて自分は救う事も何もできないのだから
「あの、」
そんな自分の後ろにいる存在に上条当麻はようやく気付く、振り替えるとそこには見知った人間を6~7歳程若返らせたような子供が毛布にくるまれながら立っていた。
「あの、助けて欲しいかもってミサカはミサカはあなたにヘルプを伝えてみたり!」
上条「……お前、」
この後、更なる絶望と後悔に突き落とされる事に上条当麻は気付かない。だから、そっと手を伸ばす。
どこまでも報われない不幸で不幸な上条当麻の物語は、終わらない。
920 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸)[] - 2011/03/27 20:20:47.70 wGWjfvZAO 8/11こんな所で。当然打ち止め助ける事なんて出来ませんよね。
ではでは。失礼しました。
922 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県)[sage] - 2011/03/27 20:21:37.92 Spj5bwDfo 9/11うわああああああああ あ
923 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga] - 2011/03/27 20:40:58.47 eaPiIJH/0 10/11おああああ不幸のどん底ってどこにあるんだよちくしょう
乙!
925 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[] - 2011/03/27 22:05:16.75 dMTL8ATDO 11/11>>920
逆に一方通行は木原と和解したり、暗部編で誰も死なせなかったりしてな