(面倒なことになったわね……)
初夏の日差しの下、御坂美琴は溜め息を吐いた。
その原因は、彼女の周りに集まってきた頭の悪そうな不良達。
俗に言うナンパーー否、あるいは輪姦の前フリかも知れない。
だとしても、彼女にとっては何の危険にもならないのだが。
(しっかし……誰も助けてはくれない、か)
ガラの悪い連中が十数人もいるのだから、それも当然だろう。
(……ま、こんな中助けに来ようとするなんて、よっぽどのバカかーー)
「あん?テメェ何だ、文句でもあんのか!?」
と、美琴の思考を遮るように、不良の叫び声。
おそらくは、見ていただけの無関係な一般人にでも絡んでいるのだろう。
そろそろ追っ払うかな、と美琴が前髪から火花を散らそうとしたところで、
「えぇ、そうですねー。
むしろ文句しか出てきません」
その『一般人』の口から、信じられない一言が飛び出した。
「……へ?」
思わず、美琴はそちらに視線を向ける。
立っていたのは、少し背が低い中年の外国人だった。
全身真緑という奇抜な格好をしていて、どことなく爬虫類を連想させる。
(……観光客か何か、かしら?)
大人数を相手にして堂々とした男の態度に、感心する美琴。
「あぁ゛!?どこが気にいらねぇんだ、言ってみろこのクソ外人!」
「そうですねー、どこが、と言えば……」
男は、相も変わらず飄々と話し続ける。
大した勇気だな、と美琴は思うが、その反面無謀だとも考える。
男は痩せていて、どう見ても喧嘩が得意そうには見えない。
それに例え武道か何かの経験者だとしても、この人数を相手取るのは不可能に近いだろう。
いざとなったら自分が片づけよう。
美琴はそう決心して、
「……白昼堂々と盛って、こんなガキのメス猿相手に集団で群がっていることでしょうか」
直後、そのこめかみのあたりでブチリと何かが切れた。
「だ ・ れ ・ が !
ガキのメス猿だゴラアァァァァァ!!!!」
「ッ!?『優先する』!!」
「「「ぎみゃあああぁぁぁ!?」」」
バッヂィィィィ!と、辺り一面を紫電が貫く。
美琴が思わず出してしまった、数百万ボルトもの高圧電流だ。
不良達は自らの身に起こったことも分からずに、ぷすぷすと黒煙を発しながら崩れ落ちる。
「……あーあー、こんな奴等に能力使っちゃった」
ガシガシと頭を掻きながら、自分の未熟さを反省する美琴。
冷静に考えれば、あの外国人はただ単に日本語を間違って覚えていた可能性だってあるのだ。
それを、弁解の余地もなく電撃で気絶させてしまうとは。
あの男が観光客だったならば、学園都市のイメージを悪くしてしまっただろうか。
何だか本気で心配になってきた彼女の耳に、
「……な、何なんですかねーこのメス猿は……」
「…………え?」
信じられない言葉が、届いた。
67 : SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)[] - 2011/12/21 22:21:35.31 XeD+bl8+0 4/4終わり
こんな感じでテッラさんによる再構成
アックアさんとの戦いも考えてる
現行が終わったらスレ立てようと思ってます
いつになるか分かりませんが