35 : 上条「露出の会?」[] - 2012/02/06 00:06:32.54 +mIY4lIDO 1/86レスいただきます
シリアス過多な下ネタ?注意
上条「もうすぐ……春、だな」
黒子「そうですわね……」
上条「……あ、あのよ」
黒子「……何ですの?」
上条「……何でもない」
黒子「……そうですか」
何故、こんなことになっているのだろう。
上条当麻は途方にくれながらも、夕陽を背中に受けて思う。
二人の座るベンチの影が、闇に溶けていく。
横をちらと見ると、細い線で描かれた横顔があり、慌てて視線を前に戻す。
初めは、ささいな好奇心だったのだ。
休み時間、学校のパソコンでインターネットを弄くっていたときのことである。
――「露出の会……?」カチカチッ
――「……何だこれ」
そこで見たのは、新しい世界だった。
投稿された写真と、掲示板しかないシンプルなサイトであったが――上条当麻は、魅了されたのである。
その、背徳にまみれた世界に。
光の中で、それこそ光のような存在を守ってきた上条当麻には、それは新鮮であった。
――「第一ステップは、下着を穿かない……か」
ギリギリ可能だろう第一ステップ。これがもし、最初から全裸で街に繰り出す――などだったら、上条当麻も過ちを起こすことはなかったのかもしれない。
しかし現実は数奇なものだ。
上条当麻が、ギリギリ、大丈夫だろう――やってみても、試してみてもいいだろう! と思える範囲だったのだから。
それからの上条当麻は違った。
口癖であった「不幸だ」という言葉を口に出すことも減り、代わりに――
――「カミやん、最近明るくなったなぁ」
――「何か良いことあったのかにゃー?」
――「とうま、最近ご機嫌だね!」
気分が良く、周りの評判も良い。
これは、上条当麻を次のステップに進ませるには充分だった。
――「第二ステップ……が、ふむ」
上条当麻は次の日から、ぴっしりと学ランの前を閉めるようになった。
男は、守るべき存在が多いほど強くなる。
そのときの上条当麻は、自身の両胸と股間に目線を送りながらそう言ったという。
日に日に、上条当麻は――自身の興奮が抑えきれなくなっているのを感じていた。
――「第三ステップ……は、っ!? パスワードだと!?」ガタガタッ
そんな中での――絶望。上条当麻はまさに顔面蒼白になった。
まさか――まさか、こんなトラップがあっただなんて!
そんな中で掲示板に上がったレス、それが――
――「ようやく第五ステップに進みましたの! ……だって?」
嫉妬、羨望、様々な感情が入り交じる中、上条当麻は閃いた。
――「もしかしたら、パスワードを教えてもらえるんじゃないか?」
そう考えてからの上条当麻は早かった。
接触をはかり、まずは露出についてのトークで相手の気分をおだて――そしてようやく、上条当麻はターゲットに会う約束を取り付けたのであった。
ちなみに何故掲示板上で教えないのか、それは簡単なことだ。
掲示板は、誰にでも見ることができる。
そこでパスワードを教えるなんてしたら――厳しい罰則があるのだという。
ならばメールは?
そう、メールならば可能だ。
しかし、上条当麻は――そして相手も――思ったのだ。
ニッチな趣味を持つもの同士、仲良くしたい。
――友達に、なりたい!
ただただ、純粋に、そう思ったのである。
そして現在――上条当麻は悩んでいた。
上条(もしかして……本当に白井、なのか?)
上条(いやいやいやそんな)
上条(つか! 「デスノ」さんは漫画好きな男の人じゃないのかよ!? 名前的に!!)
上条(……あー、どうすっかな)
上条(わかんねぇ。間違ってたら「間違ってました」ですまねぇし)
黒子「……あの」
上条「はひ!?」ビクッ
黒子「……その、あの……が、学ラン、そんなにぴっしりと閉めて苦しくはないんですの?」
上条(――っ)
上条「だ、大丈夫だ!」
上条(これは、どっちだ!? 知っててか、いや普通の会話だとしても有り得る――っ)
黒子「そ、そうですの」ソワ
上条「そっそれよりお前ずいぶんデカイコートを着てるんだな!」
黒子「」ビクッ
上条「お前らってスカート短いからさ、スカート見えないから穿いてないみたいに見えるな――……って」
上条(あ、あれこれセクハラ?)
上条「……え、えっと白井?」
黒子「……」
上条(まずった!?)
上条「い、いやセクハラとかじゃ……っ」
黒子「……デスノ、ですの。あなたはソゲブさんでよろしいですか?」
上条「っ」
黒子「――おそらく、このコートの下は、あなたの学ランの下と一緒ですわ」
上条「白井……いや、デスノさん……」
黒子「すこし、驚いてしまいましたの。まさか、あなただとは――いえ、申し訳ございません。……パスワード、ですわよね」
黒子は少し肩を震わせたかと思うと、パッと顔をあげた。
その表情は笑ってはいるが、どこか陰りがあって――。気がつくと、上条当麻は強く黒子の細い肩を掴んでいた。
上条「それより……っなんで! なんでお前がこんなこと!!」
――失言。言ってしまった後に口を抑える。
これはステップ五までいっている彼女に言う――言っていい言葉ではない。
白井は睫毛を伏せると、はぁと息を吐いた。
黒子「――それは、あなたも一緒ではないですか?」
上条「……え――」
黒子「わたくし、お姉さまを敬愛しております」
上条「……」
黒子「お姉さまはとてもお強い――けれど、とても弱い方」
黒子「守られるだけでなく、守りたいと」
黒子「――お姉さまの、パートナーでいたいと思っていますの」
黒子「あなたも、……守りたい存在があるのでは?」
上条「……そう、だな。悪かった。何でこんなこと――なんて、バカな質問だったな」
黒子「えぇ……守るべきが多いほど、強くなる。そして、その守るべきものを捨て、本当に大切なものを守れたときこそ――」
上条「わかってる」
黒子「――そうでしたわね」クスッ
黒子は立ち上がった。影が地面を走り、伸びる。
風がコートを捲りあげるが――黒子は、抑えない。
黒子「パスワードを教える前に一つ、お聞きしなくてはなりませんの」
上条「――おう」
黒子「――あなたは、大切なものを守るために、全裸になれますの?」
夕陽を背に受けた黒子の顔はよく見えなかった。
しかし、と上条当麻は拳を握りしめる。
自然と唇が弓を描いているのがわかった。
上条当麻はその熱い決意を胸に灯しながら、腹からわきあげてくる熱情そのままに、叫ぶ。
上条「もちろん!」
守るべきもの。
人によってそのベクトルは違くとも、その思いは同じである。
上条当麻は白井黒子に笑い、白井黒子は上条当麻に笑う。
二人の気持ちが、本当に繋ぎあった瞬間であった。
上条「――で、パスワードって何なんだ?」
黒子「管理人さんがいらっしゃるんですけれどね、その方のハンドルネームだそうでして」
黒子「漢字がちょっと変わっていまして――」カチカチ
黒子「――悪世羅、さんだそうですわ」
おわり
42 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] - 2012/02/06 00:10:40.60 +mIY4lIDO 8/8おわり
僕は穿いているおパンツ派です