937 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga] - 2013/03/08 09:11:35.50 2wS65Wj60 1/10
おはようなんだよ。
8レスほどいただきます。
前怒られたことを教訓にして今回はちゃんとします。
カップリングは上条当麻と禁書目録です。
色々と細かい点は気にしないでもらえると嬉しいかも
「疲れちゃったんだよ……とうま」
小さくて心細くてただ弱いだけの一人の少女、禁書目録はただただ俯く。
その視線の先には遠くに点々とした赤、青、白の光が無数に広がる。
空を見上げれば真っ暗で、雪がひとつひとつゆっくりと舞い降りる。
その中の一つが禁書目録の頬に乗って溶けていく。
その水滴が重力に沿って流れる。
それが雪が溶けた雫なのか禁書目録自身の涙なのかは彼女しか知らない。
上条当麻が禁書目録の前から消えた日から五年の月日が流れた。
その日も今日と同じような、雪がハラハラと舞い降りる少し肌寒い一日だった。
何か特別なことが起きたという訳ではなくただの毎日の中の一日。
「いってらっしゃい、とうま」
いつものように、学校に行く上条当麻を見送った。
禁書目録は知らない。
この日が自分自身の人生を大きく変えてしまうということを。
日が西の空へ沈みかける。
しかし上条当麻はまだ帰って来ない。
何かのトラブルがない限り、もう帰ってきてもいい頃だ。
何かあっ たのかなと心配しつつ禁書目録は上条当麻を待つ。
窓から外を眺める。
少し前まで雪だけだったが、今は雨と雪が入り交じっている。
濡れて帰って来るであろう上条当麻を迎えるために一つバスタオルを胸に抱く。
しかし、いくら待っていても上条当麻が帰ってくることはなかった。
時計の針が全て真上を指した頃、玄関のチャイムが鳴った。
「…とうまっ! おかえりなさい!」
だが、目の前に立っていたのは待ち続けたその人ではなく土御門元春だった。
「もとはる? こんな時間にどうしたの?」
「禁書目録……」
「…」
「……上やんはしばらく帰ってこないらしいにゃー」
「…」
「上やんは今実家に帰っていてしばらくは戻って来れないそうぜよ」
「だから……イギリスに帰れ。禁書目録」
「……意味がわからないんだよ。……なんで」
「上やん以外匿ってくれる人なんていないだろ! 俺は上やんほどお人好しじゃない!」
「でも私はとうまのために待っていなくちゃいけないんだよ!」
そう言われた後、土御門は後ろを向いた。
「それじゃあ、もしだ。もし上やんがこれから先何年も何十年も帰って来なかったら……どうする?」
「とうまは絶対に帰ってくる! だから私は待ち続けるんだよ!」
禁書目録は反射的に断言した。
その間に少しの沈黙が続く。
禁書目録は涙で目が潤んでいた。
「……好きにしろ」
土御門元春は独り言を口にこぼしてこの場を去った。
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「もう五年も経ったんだね……」
上条当麻との限りない思い出が禁書目録の頭を駆け巡る。
目の前には上条当麻はいない。
だから空へ話しかける。
「ずっと大好きだったんだよ。とうま」
「あの時はまだ私は子供だったから……どうしても伝えることが出来なかったんだよ」
「あの時とうまが私をぎゅっとしてくれたとき、涙が出るほど嬉しかったかも」
「とうまはもうここには居ないんだよね」
「今から会いに行くよ」
「何度も何度もうるさいと思うかもしれないけどまた言わせて」
「大好きなんだよ」
禁書目録はそっと目を閉じて身を投げた。
「俺も大好きだ。インデックス」
禁書目録が消えることは叶わなかった。
後ろから誰かが禁書目録を胸に抱き寄せた。
禁書目録は小さな子供のように泣きじゃくる。
いつの間にか雪は止み、東の空が少しずつ琥珀色に染まっていった。
946 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] - 2013/03/08 09:25:37.56 wEbta9Sj0 10/10
終わりなんだよ。
投下中ってなんかどきどきする。
自分のスレ立てたいけどネタないなぁ……
俺はインちゃんしか書かないんだよ。
おかしい点とかあれば、指摘してくれると嬉しいな。
勉強になるんだよ。