323 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] - 2014/04/19 17:17:55.09 W1RxTqv7o 1/4電撃モバイルのパズデックスのページにあるイラスト見て思い付いた小ネタ
地の文で一方×黒子、学生パロ的な何かで2レスお借りします
一日の終わりを告げるチャイムが鳴る。
途端、あちこちの教室から賑やかな声が上がり、それまで静かだった校舎は一気に喧騒に包まれた。
その騒がしい校舎の一角。
まるでそこだけ別空間のように、しんと静まり返った部屋。
長めの髪をツインテールにした少女がノックもせずにドアを開け、中の様子を見て溜息を付く。
「…まったく、こんな所を見られたらどうするんですの」
怒ったように漏らすものの、その口元は笑っている。
少女の視線の先には校長室にでもありそうな仰々しい応接セット。
その上に、
「………、」
長い手足を投げ出して眠る、一人の少年の姿があった。
「あぁもう、また開けっ放しにして…」
肌寒い気がして室内を見やれば、一番右端の窓が開いている。
初夏とはいえ今年はまだ冷える事が多いのに、と少女は呆れながら窓を閉めた。
そのままカーテンも閉めようとして、ふと、ソファの方を振り返る。
差し込む陽光に照らされて、きらきらと揺れる柔らかい白髪。
閉ざされた瞼を縁取る睫は長く、穏やかな寝顔は少女のように見えなくもない。
「まるで眠り姫ですわね」
カーテンを閉めるのは止めて、そっとソファの方へと歩み寄る。
その僅かな時間で前髪を手で直し、襟元のリボンを調え、短いプリーツスカートの裾を軽く払う。
掛けていた眼鏡はサマーベストのポケットに突っ込んで、そのままぐいと顔を近付けた。
触れてしまいそうな程の距離。
薄い唇がうっすらと開いて―――。
「…あら、残念。目覚めのキスの前に起きてしまいましたの」
「寝込み襲おうなンて十年早ェっつゥの」
寝起きで掠れた声が耳朶を打つ。
血のように赤い目に見据えられて、けれど少女は臆することなく笑っていた。
「授業サボって昼寝だなんて、一般生に見つかったら幻滅されますわよ?」
「どォせココにゃ誰も来ねェよ。ずっと”演じ”てンのも面倒だし、寝てンのが一番簡単だろ」
くあ、欠伸をしながらのそりと起き上がる様は猫科の獣のようで。
思わず髪を撫でようと伸ばした手は、寸前で細い指先に絡め取られる。
「逆だろ逆。…撫でられンのはオマエの方」
寝ている時の中性的な、どこか儚げな印象とは真逆の表情に少しだけどきりとする。
「『まるで王子様のような生徒会長サマ』の正体が”こう”だとバレても知りませんわよ」
「別にィ。オマエこそ『真面目でお堅い風紀委員』ってガラじゃねェだろォが」
「まぁ酷い、わたくしは真面目ですのよ?」
学校では、と付け足すと、一瞬の間。
「…じゃァさっさとお仕事しますかねェ。真面目なオマエも悪くねェけどな」
「その言葉そのままお返ししますわ」
くつくつと笑う少年の唇を人差し指でつんと突く。
先刻自分がそうしたように、手早く乱れた学生服を直して立ち上がらせた。
「さぁ、行きましょうか? 生徒会長サマ?」
「あァー、ダリィ…」
一瞬だけ大きく溜息を付いて、
「…そォですね。行きましょうか、風紀委員さン」
上げた顔には、寝ている時と同じような中性的で優しい微笑が浮かんでいた。
「何度見ても慣れませんわね、それ。最早詐欺ですの」
「うるせェ。…で? 今日はドコの見回りをするンですかァ?」
「大会が近いので水泳部と吹奏楽部を。精々女生徒のご機嫌を取ってくださいまし」
拗ねたように唇を尖らせる少女の頭をくしゃりと撫でる。
「はィはィ。終わったらオマエのご機嫌も取らせてもらいますよ、っと」
気だるそうに返す少年は、それでもどこか楽しそうだった。
326 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[] - 2014/04/19 17:21:26.72 W1RxTqv7o 4/4以上、お粗末様でした
あのイラストの一方さんは爽やかすぎて誰だお前ってなった